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続編のない短編達。

田中さん家のクローゼットは異世界に繋がっている。

作者: 池中織奈

「愛美、これから遊ばない?」

「ごめんね、用事があるの」

「また?」

「うん。ごめんね」

 私、田中愛美たなかあみは教室から出る時に友人から遊ぶ誘いを受けたが、断った。友人には申し訳ないと思うが、先約があった。私は、これから家にすぐ帰らなければならない。

 家へは、高校からあるいて二十分の距離にある。バスも出ているが、短い距離でバスにのるのはお金がもったいないということで歩いている。寄り道もせずに一直線で家に向かった。

 私の家は、どこにでもある一軒家だ。母方のおじいちゃんが立てた家で、二階建てだ。

「ただいま」

 と言いながら扉を開ければ、家の中にいた家族が次々にお帰りといってくれる。

 今日は向こうの家族もいるみたいだ、と声で気づく。

「おおお、愛美、帰ったか」

「帰ったよ。おじいちゃん」

「ふむ、孫はやはりいいな」

 などといっているのは、私の実の祖父である。しかし、彼が私の祖父であると紹介すれば大多数が信じないだろう。なぜなら、私の祖父の見た目は二十代前半である。十六歳の私と変わらないぐらいの若い見た目をしている。黒髪黒目で、見た目は日本人らしいけど服装は、日本の人が見たらコスプレかと勘違いしてしまうだろう。ローブをきている。ファンタジー世界の魔術師とかが身に着けてそうな茶色のローブ。

 でもおじいちゃんにとっては、普通の恰好なのだ。

「あれ、おじいちゃんだけ?」

 私はきょろきょろと部屋の中を見渡す。この部屋の中には五人ほどの人間がいるけど、向こうの家族はおじいちゃんだけしかこの場にいない。

 それが不思議だった。

「ああ、皆、ちょっと予定があってな」

「ふぅん、そっか。忙しいもんね」

 向こうの家族は、忙しい人たちだから仕方がないかと思う。けど、おじいちゃんがいるから他の家族も来ているかなと思ったんだけどなぁ。

「愛美は、今日はどうする?」

「明日土曜日だから、そのまま向こうに行こうかなって思っているけど。お母さん、お父さん、お兄ちゃんはどうする?」

 私はそのまま、向こうに行くつもりだ。お母さん、お父さん、お兄ちゃんはどうするのか聞く。

「俺は仕事があるから行かない」

「私は行くわ」

「俺も行く予定」

 お父さんだけ土曜日だけど仕事があるから行かないらしい。ちょっと残念。でもお母さんと、私の二歳上のお兄ちゃんは行くって。でもお兄ちゃん、大学受験を控えているはずだけどいいの? とは思う。

「すぐ行く?」

「俺はもう少しこっちで日本を味わってから帰りたい」

「おじいちゃん、その格好で外出来る?」

「いや、恭司に服借りる。明日には戻るとルーサに伝えといてくれ」

 ルーサとはおばあちゃんの名前である。おじいちゃん、忙しいはずなのに、こっちで一泊していいのかなとは思うけど、まぁ、いいか。どうせ怒られるとしてもおじいちゃんだけだし。

 そんな会話を交わしたあと、私とお兄ちゃんとお母さんは一階の一番奥の部屋に向かった。そこは厳重に結界が施してある。関係ない人が来たら色々大変だから。というのも、この一番奥の部屋にはいくつものクローゼットがある。白い真っ白なクローゼットの扉を開ける。開けて、私たちは中へと入る。

 そしてどんどん進んでいく。

 クローゼットの先に扉がある。その扉を開ければ、別世界・・・が広がっている。

 そこは、豪華な部屋だ。西洋風の家具が並んでいる。

「誰かの気配がしたと思ったら、やはり、お嬢様たちでしたか!!」

 そんな声が聞こえたと思えば、メイト服を着た一人の女性が笑みを零していた。



 私の家にあるクローゼット。

 それは、異世界に繋がっている。



 どういう経緯で異世界に繋がることになったのか、というとそれは私のひいおじいちゃんの代までさかのぼる。ひいおじいちゃんは、あるとき西洋から一つのクローゼットを手に入れた。そのクローゼット、最初は普通のクローゼットだったらしいが、異世界側での魔力の暴発により、ある日クローゼットから一人の男性が飛び出てきたそうだ。それが、我が田中家の初めての異世界人との交流であると日記に記されている。

 それからずっとクローゼットは異世界とつながっている。いや、そのクローゼットだけではなく、いくつものクローゼットが今は異世界に繋がっている。それはひいおじいちゃんとかおじいちゃんたちが研究してつなげたもので、今私たちが入ったクローゼットはおじいちゃん家に繋がっているけれど、他のクローゼットは色んな場所に繋がっている。クローゼットのある場所は向こうの世界で《知の賢者》と呼ばれているおじいちゃんが人が訪れないようにしているから一部開かずの扉とか言われてたりするらしい。

 ひいおじいちゃんの時代から繋がって、ずっと私たちの家族は異世界と密接した暮らしをしている。

「こうして実家に何度も帰れる生活っていいわ」

 お母さんはにこにこしている。異世界の、ラガンドという国の、侯爵家、それがここである。お母さんの実家っていうのは、おじいちゃんが異世界の人と結婚したからなんだよね、私とお兄ちゃんは異世界人と日本人のクオーターなんだ。おじいちゃんは異世界で魔力とかの関係で若いままなんだよね。おばあちゃんも。日本じゃなくて異世界でほぼ過ごしているし。お母さんは異世界で生まれたけど、日本と異世界の両方で暮らしている。どっちの世界も選べるようにって配慮だったみたい。

 お父さんは普通の日本人だから、最初は戸惑ってたみたいだけど結婚してからうちん家の事情を知ってからもううちん家に染まったってお母さんがいっていた。

 私とお兄ちゃんは生まれた時からこの環境だから、寧ろ異世界に行かない生活が想像出来ないんだよね。ファンタジー小説とか見ていると、異世界に思いを馳せながら読んでいるんだよ。私の夢は、いつか異世界での出来事を小説に出来たらって思ってたりする。それを仕事に出来たら楽しいなって。異世界での出来事を伝えられたら楽しいでしょ?

「今日はお嬢様たち、どうしますか?」

「私は今から冒険者ギルドいってくる」

「俺は研究所行く」

「私は実家でのんびりするわ」

 メイドに聞かれて、私、お兄ちゃん、お母さんが答える。

 私はそれから異世界の服に着替えて、外に出た。私は異世界では、冒険者として活動している。侯爵家の血筋だけど、それを隠して冒険者している。結構楽しい。

 

 それから私は、土日の間、ずっと冒険をしていた。もちろん、宿題もしていたけど。お兄ちゃんは研究者気質で、魔術の研究をこちらでしている。お兄ちゃんは魔術の研究が大好きでこちらでは有名だったりする。日本では有名ではないけど、将来研究者やりたいっていっていた。



 そんな感じで、私の休日は終わった。また来るね、そう告げて私たちは日本の家へと戻るのであった。




 ――――田中さん家のクローゼットは異世界に繋がっている。

思いつきで書いた短編です。

実家のクローゼットが異世界に繋がっていて、それで家族総出で両方で生活していたらという話です。


愛美

高校一年生

普通の高校生として生活中。ただし異世界では侯爵家の血筋で、有名な冒険者

いつか異世界のことを日本で小説にするのが夢


お兄ちゃん

高校三年生。

受験なのに、異世界に行く暇はある。頭はとても良い。異世界で魔術の研究ばかりしている。

研究者になるのが夢。日本でも異世界でも研究がしたいらしい。


お父さん

婿。今回は仕事で異世界にはいっていないが、よく異世界に行っている。

ファンタジーとか好きなので、お嫁さん家が異世界に繋がることをしってとても歓喜していたらしい。異世界生活を楽しんでいる。


お母さん。

異世界人と日本人のハーフ。両方で暮らしている。のほほんとした性格。


おじいちゃん

日本人だけど、異世界でほぼ暮らしている。《知の賢者》とか呼ばれている凄く有名。若々しい。お兄ちゃんの服を借りて日本でもうろうろしていたりもする。




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― 新着の感想 ―
[一言] 話には無いけどお父さんの仕事が気になりました (笑) 平日の午後4時頃には帰宅している。 自営業かガテン系で仕事が早く終わったのか、それとも営業で直帰か? 本筋に関係ないことを考えてニマニマ…
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