可愛いベイビー?
「あー、だー」
あうー。…ハッ?!
僕は何をしていたのだろう。
えーと、上でカラカラ回るものが触りたくて一生懸命手を伸ばしてて…じゃなくてっ!!
そうだ、あのイタイ人が意味分からないことを言ってから、いつの間にか
ここにいたんだ。
ふっと頭の中に『第二の生』という言葉が浮かぶ。
そうだ、たしかあの自称神はそう言った。
その言葉のまま考えるとすると、ここから僕の新しい人生の幕開け?
いやいや、ちょっと待ってくれJK。
さっきのは全部夢。そうだろう?
だって、そうじゃないとしたら今のこの状況から考えるに…
「あらあら、フミヤくん起きちゃったのね。じゃ、ミルクの時間にしましょっか」
僕の今の身体年齢…0ちゃい。
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哺乳瓶でンクンクとミルクを飲みながら、今の状況を整理してみる。
幸せそうに哺乳瓶を僕の口に当ててくれているのは、僕の今生での
母親、つまりママンらしい。
二十代前半と思われる彼女はとても優しそうな顔をしていて、実際
僕を本当に愛してくれていると感じる暖かさがある。
視界のボヤけ具合や今さっき少し出した言葉から察するに、多分今の僕は
生後二ヶ月ぐらい。
いやぁ、前世で家庭科の時間に赤ちゃんのページ詳しく読んでて良かった。
人生何が幸いするか分からない。
それと、この世界について。
母親の格好や家具を(まぁ、ぼやけてよくは見えないが)見てみると、それは
歴史の教科書なんかで見た中世ヨーロッパの平民の家、という感じだった。
つまり、日本じゃない。
やっぱり異世界なのだろうか。いや、けれどまだそうとも限らない。
タイムスリップとか、なんかそういう…。
「ただいまー。君、聞いたかい。最近ゴブリンどもが隣町の家畜を攫ってるらしいよ」
おお、この人が僕の父親だろうか。随分と華奢だな。
えーと…ゴブリン?あ、盗賊団の名前がそういう名前か、そうかそうか。
「フミヤくんが外に出る頃には、王国の騎士様がこの村周辺の魔物を
退治してくれるようになればいいわねぇ」
…うん、魔物と呼ばれるくらい危険なのか。それは怖いなぁ。
「うーん、僕にスライムくらいなら倒せる力があればいいんだけど」
「危険なことはやめて、あなた。この子と家を守ってくれるだけで十分よ」
ダメだ。もう絶対これアレだ。
モンスターいちゃう系の世界だわ。