現在地不明。イタイ人と遭遇.3
それにしても、何で僕はここにいるんだろう。
神が僕を殺してしまったことを謝るためにここに呼んだ?
いや、そんな殊勝なこと考えそうになさそうなんだが。
けれど仮にも神なのだし、例えこんな厚顔無恥な態度でも
それくらい…。
「私の計画を邪魔した大罪は…まぁ、不問とすることにしよう。
まずは感謝の言葉を述べよ。ここに矮小なるものを呼んだ私の
器の大きさに。直接神の手により天に召された名誉に。
そして、間抜けにも自分でトラックに突っ込み死んだ身でありながら、
第二の生を享受する己の幸福に!!」
え、この人怖い。何言ってんの。
いや、反省しないのはある程度予想してたからまだいい。
けれど、なんだろう。感謝って。
しかも第二の生?
「本気で何言ってるのか分からない」
あ、本音が思わず出てしまった。
神は、なんでそんなことも分からないんだ。これだから、矮小なるものは。
という顔でこっちをじとっと見た。
えーと、つまり?
「ふぅ、矮小なるものでも分かるように教えてやろう。
今まで生きていた場所とは全く違う世界で、
お前は産まれる。
ちなみにスリルがない人生など全くもって無意味だからな。
色々と準備をしておいてやろう。何、気にするでない。ただの餞別だ。
あの畜生を殺す邪魔をしたばt…ゴホン。私の慈悲深さに感謝し、
生きるとよい」
そう言うと、神は指を鳴らした。
腹が立つほどいい音がなり、
目の前がドロドロと溶けていく。
強烈な眠気を感じながら、僕は切に願った。
___どうか、どうか、叶うことならこんな変人とこれ以降会わなくてもすみますように。