現在地不明。イタイ人と遭遇.2
気紛れで下界に降りた神は休憩するために趣のある石像
(おそらくお地蔵様)の中に入る。
ワンコが通りかかってお地蔵様にマーキング。
神激怒。
トラックを操りワンコを轢き殺そうとする。
そこに僕登場。
ワンコを庇って轢き殺され、ご臨終。
という経緯らしい。
だいぶざっくりした感じだが、冗談じゃない。
神ってもうちょっと器が広いもんじゃないのか。
そんなくだらないことで殺人を犯すことになった運転手も不憫だ。
…あぁ、経緯を聞くと思い出すフシギ。
トラックに轢かれるって思いの外 痛かったな。
なぜか傷は残っていないけど、だんだんズキズキしてきた。
口の中に逆流した血の匂いも気持ち悪かった。
あの鉄の匂い…、あ、吐くから思い出すの止めとこ。
「ん、どうした。間抜けな顔が更に間が抜けて、一周回って
凛々しく見えるぞ。
あぁ、そうか。幾千もの罰を下しても余りあるほどの蛮行を
犯したあの畜生を一瞬で召してやろうとした私の慈悲深さに
感銘を受けておるのだな。
よいよい、神として当たり前のことをしたまでだ。
それにしても、運転手のおらん乗り物の操縦というのは
面倒だな。興が削がれて、あの畜生を見逃すことにしてしまったわ」
乗ってなかったのか…、良かった…。
となるわけがない。なんでこんな誇らしげなんだコイツ。
僕はそのせいで人生が本当の意味で終わったんだが。