禊哭の美女
モノローグ
〜跡形さえなくなった心が 脈を早め
荒々しい愛の糸が 私の四季を早める
僅かな灯を辱める日々さえ
ドレスを裂くほどの 誘惑と困惑
例えば拒絶する方が 例えば逃避する方が
指先は絡まるだけだと
目に障る罰で追い込まれる前に 目に余る罪で吸い込まれる前に
服した弱さを手放すために 避け続けた嘘で軸を模った〜
本当に欲しいものがあるなら、本当に望みがあるのなら、本当に守りたい誰かがいるのなら、
それは、絶対に口にしては行けない。
言葉と意は、いつももすれ違う。
一度違った道に合流点はない。
言葉にすればそれは嘘になる。
嘘は、虚ろだ。
そこには何もありはしない。
そんな虚ろとなった目は、虚空を見上げ、
干上がった舌は、最期のサイレンを望んでいる。
ここにも一人、数奇な運命に翻弄され、言葉によって枯れ葉となった少女が一人。
「アンドロメダ姫は、ポセイドンのどの娘よりも美しい。」
母のその一言がその惨状を決定づけた。
一言、たった一つの言の葉が……。
ポセイドンは、アンドロメダの母のこの発言によって怒髪天を衝かんばかりに立腹し、
アンドロメダの母国の破壊とアンドロメダ自身の蹂躪のため、ある刺客を送り込んだ。
「アンドロメダの母カシオペア。
我が娘達を侮辱することは、私、ポセイドンを汚辱したのも同義である!!
この恨み晴らさでおくべきか!
大鯨ティアマト!
アンドロメダの国エチオピアを壊滅し、アンドロメダを蹂躙してこい!!」
「御意!!」