渓谷の美女
混乱するかもしれませんがメインキャラクターの口調も性別もあべこべに描かれています。
モノローグ
〜結局 今まで私を裏切ってきたのは私だ
悲鳴が降り注ぐ丘で
この産声をあげただけ
権力に縛られないように 振り払ったつもりでいた
この執拗がある街で 彼女は何を望んだのだろう
この必要もない街で 私は何をすり抜けたのだろう
引き返すなど無駄なだけ それなら逃げずに そこに行こう
あなたの正しさが 私を何に導いても〜
舞台は変わり夜の帳が下りた校舎裏に佇む二人、否、二体というべきか。
「おまた〜〜。」
間の抜けた様子でメデューサは登場し、
片手にはコンビニのレジ袋をぶら下げている。
「とりあえず常套句として言っとこうか。
せやないと締まらへんさかいな。
よくぞここまで辿り着いた勇者よ!!
だが、」
「ちょっと……」
「ん!?」
「締まってるんですけど!」
「へ!?」
「締まってるんですけど!!
寒すぎて私の血管収縮してるんですけど!!
3時間ですよ!3時間!!
アニメ一本見るのに何時間かかってるんですか!!何ですかその袋!!!」
惚けながら、おもむろに背後に隠し、話の流れを強引に断とうとするメデューサ。
「おっと! そろそろ決闘せなな。
尺足りへんくなるわ、これ。
4、5話の中編でって作者に言われてんねん。」
「ここぞとばかりに作者の都合を免罪符にしないで!!
それに作者も勝手なこと言うな!!!
私の主張をおざなりにしないで!!」
「あ〜も〜、うっさい、うっさい(嫌) !
いいって!!もう流そうぜ。
今ので十分オチたって」
心底面倒臭そうに手を揺らすメデューサにペルセウスは、釈然としないまま剣に手を掛ける。
互いに無形の型のまま一刻が過ぎる。
急にメデューサが驚愕の表情を浮かべ構える。
「まさか!!その構え!?
あ、天翔○のッ」
「違います!
私、そんな奥義使えません。
飛天○○流の使い手ではありません!!」
食い気味に白い目で辟易しながらツッコミを入れるペルセウス。
しかし、おもむろに牙○の構えを作るメデューサ。
ペルセウスは、彼女には自分の都合の悪い話を遮断する特殊な鼓膜でもあるのかと真剣に考える中
○突の構えを完コピさせたメデューサがキメ顔で
「お前の全てを否定してやる。
こい抜刀○!!」
「(怒)!!」
怒りに我を失ったペルセウスは、メデューサのボケ中に三足で間合いを縮め、
メデューサの首先に一閃を繰り出す。
「えっ! ちょっと危なっっ!!」
まさかのペルセウスの天翔○の閃よろしくの一閃がメデューサの首筋を掠め、
尻餅をつき慌てふためくメデューサ。
「い、い、今の当たったらマジで死んどったで!!人のボケ中に不意打ちとか(驚)!!
し、し、神経疑うわ!!
こ、この人でなし!!!!」
目が据わったペルセウスは、ゴキブリでも見るようにメデューサを見下し、
「悪・即・殺です。」
ペルセウスの○突がメデューサの首を穿つ。
ペルセウスは、ゆっくりと目を閉じ、
「私怨はなかった。来世では、まともになってくれ。」
ふと我に返り、ペルセウスは、罪悪感に髪を引かれるようにメデューサとは、反対の方向へ歩き出す。
しかし後ろの物音に気づき、
「え〜〜、これでもう出番終わり?
『小説家になろう』の笑いという名の荒波に飲まれたかったわぁ〜〜!
不完全燃焼やわ〜〜!!
くそ〜(悔) ボケらせろや! もっと俺にボケさせろや!!」
「笑いに対する意識が高すぎる!! っていうかなんで生きてるの!?」
「クッソ〜〜。
湯船で溺れて、現代日本にタイムスリップしたり、上○彩と付かず離れずの関係の中で意味深な言葉で核心に迫ったり、ドラム缶風呂で森林浴をしながら見知らぬジジーと「ヘイヘイHOH〜」とか歌いたかったわ〜〜!!」
「物語をすり替えないで! 世界規模で笑いを取ろうとしないで!!
この話だって作家が知恵熱出しながら必死で考えたんだから!!!」
「ネタが古いし、スベっとるやないか!!!!」
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結論から言うとメデューサは死んでいなかった。
首から下のない人ましてや怪物に生死の概念が適用されるのかは、甚だ疑問だが、二階級特進がどうのこうのと抱腹絶倒する首に祈ってやれる冥福はないだろう。
あまつさえ、脈絡が読みにくい展開が続き申し訳ない限りであるのだが、切断されたメデューサの首から天馬ペガサスが誕生した。
そしてそのペガサスに跨がりメデューサの首を手土産に復路についている。
「僕思うんですよ。敢えて困難な道を選択することで精神的にも肉体的にも成長できると思うって言うか。
やらずに後悔するならやって後悔するべきですよね。」
得意げに内容の薄いことをベラベラ喋るペガサス。
「俺、こいつのこと嫌いやわ。」
「私も。」
ぼそりとメデューサに引き続きペルセウスが呟く。
しかし二人の声などどこ吹く風で、
そんな二人を尻目にペガサスはさらに続ける。
「要するに常に向上心を持って自分が上に立つ時のことを今から考えるべきじゃないですか。
要するに常に受け身の人間って結局、社会じゃ埋もれていくって言うか。
要するに…」
「「黙れ!! 小僧!!」」
二人の怒号が一匹の自惚れの喜色を断絶する。
「お前の言葉は、すべて教科書にでも書いてある!
お前から学ぶことは何もない!!」
「意識と力量が見合っていません。
これ以上、自身の立場を悪くしたくないのなら口は慎まれるべきです。」
「見たか。ペル!これがゆとり教育や! !
社会の厳しさから目を背け、生暖かく半端な綺麗事に縋り付いた社会が生み出した産物や!
俺なんかより、よっぽど化け物やで。
とりたてて特徴のない者には、とりあえず「やれば出来る子」と通信簿に書いてきた教師の怠惰とそれを真に受けた子供が最悪のコラボレーションを果たしたんや!!!」
「ペルって呼ばないで!
基本的にこのサイトのユーザーの年齢層はゆとり世代なので、もう少しオブラートに包んで主張して!!」
「オブラートに包んできたものが今になって破口したんや!!
苦っがい汁が滴り落ちとんわ!!!」