聖なる夜に
クリスマスじゃないです。聖なる夜だけど
私は生まれつき体が弱い。いつ死ぬのかわからない。いや、いつ死んでもおかしくない。なのになぜ入院しているのだろう?どうせ死ぬのに。
私は病室で本を読んでいた。というよりも何も考えずページをただ、めくっているだけだ。本は嫌いじゃないけど、何度も何度も読んだからこの本には飽きてしまった。「ご飯だよー」女の人が来て私は病院の不味い食事を食べた。そして、また本を読む。次は違う女の人が来て、点滴というものをさせられる。そして、無理矢理寝かされた。まだ眠くないのに。私は窓を見る。窓からは月の光が少し漏れていた。 フワッ いきなり風が吹いて、頰を撫でる。驚いて目を瞑る。窓は開いていないはずだ。私はもう一度窓の方を見る。
そこには1人の少年が立っていた。
「どこから、入って来たの?」「君の願いは何?」少年は私の問いに答えなかった。「外に出たい」私は不可能なことを言った。あれから何年も外に出ていない。「いいよ」少年は私の手を握り、扉の方に行く。いつも動かない足が今日は動いた。
「ねぇ、どこに行くの?」少年は答えない。早足で階段を駆け上がって行く。「ねぇ!屋上には入れないよ」「入れるよ」屋上の扉が開いた。「今日は聖なる夜だから」夜空には星が散らばっている。「わあ!綺麗!」今日は満月だったんだ。月と星が私を照らしている。
「ーー!」誰かが名前を呼んでいる。少年は言った。「さあ、行こうか」「どこに?」
少年は指差して言った。「空」私達は宙に浮かんでいた。
ああ、これから私は綺麗な星になるんだ。