4話:それぞれの思い
俺こと龍一がエドガーになってから12年。
魔法学校への入学を明日にひかえた俺は、家をこっそりと抜け出して村のはずれにある森に向かっていた。
森に来た理由、それはけして遠足を楽しみにし過ぎて眠れない小学生のような理由ではなく、自分の本気の力を試しにきたのだ。
森に来たのは誰かに見つからないようにするため。しかし、悠子は俺が家を抜け出した事を知っているだろう。だが今ついて来ていないということは悠子が俺を見逃してくれたということだ。
さて、本気の力を試すというのはつまり、じぶんにかけている重量をとくということだ。
何故自分の力を試すか、その理由は明日から始まる魔法学校にあり、魔法学校に行くと俺は誰かに襲われる可能性があるからだ。
襲われる理由は1つ。
俺は1万年に1人の魔法の才能を持つ妹の兄で、その妹は俺にべったりだ。
今まで妹を引き取りたいと言ってきた貴族や王族、商人が星の数ほどいた。しかし妹はそれを2つの返事で断った。理由は俺と一緒にいたいから。勿論、それで諦めないのが権力者というものである。
ならばと、俺と妹を引き取りたいと言う権力者がでてきた。だが、今度は俺が断った。なぜ両親がいるのに欲にまみれた権力者に引き取られなければならないのだと。
しかし、それでも諦めないのが権力者というものである。
権力者達は俺や両親を殺そうとしたのだ。しかし、俺を殺そうとした暗殺者と雇い主は悠子によって滅ぼされた。
その悠子の活躍のおかげで襲撃はとまった。
しかし、魔法学校では違う。悠子が俺を守れたのはいつも一緒にいたからだ。だが、魔法学校ではずっと一緒にいるということはほとんど無いはずだ。
例え同じクラスで同じ授業を受け、同じ寮の部屋だとしても、トイレや着替え、その他にも離れ離れになる可能性がある。
それに、悠子に守ってもらうのは、元幼馴染みとして、兄として、そして男として我慢できない。
だから俺は自分の本気でどこまでできるか試したいのだ。
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私の名前はクリスティ。前世の名前は悠子である。
私の友達は龍一。私の信頼できる人は龍一。私が尊敬している人は龍一。私の好きことは龍一を見ること。私の好き人は龍一。
龍一がいれば他は何もいらない。
突然だが私には特別な能力がある。こうなりたいと思ったら次の日にはそれが叶っているのだ。その力が私の種族、超越神の能力だと知ったのは最悪の日の事。
龍一が死んだ。事故だった。私が助けようと思えば助けられたのだ。しかし体が動かなかったのだ。
その理由は、り、龍一が私に告白してくれた直後だったからだ。
告白された瞬間、私は天を突き破るような気持ちで感動していたのだ。そしてその直後、龍一は事故で死んだ。だから私も死んだ。龍一のいない世界なんてゴミより価値のないものだ。
気がつくと私は白い、真っ白な世界で、王座に座っていた。
目の前には17人ほどの人が膝まずいている。私には目の前にいる人が神だと分かった。そして私が神を超える存在だということも理解した。
私は自分を理解するためにステータスを開いた。
[名前:夏森 悠子
種族:超越神
身分:神の神
年齢:16
レベル:1
HP:1202312023
MP:∞
スキル:[創造魔法][生命創造]
固有スキル:[思い人]
種族スキル:[身体変化:超越神][超越神の威光][超越級全属性魔法][生命創造:神][虚無魔法]]
[説明:超越神:神を超えた種族]
[説明:[創造魔法]:万物を造れる魔法]
[説明:[生命創造]:生命を造れる(器が必要)]
[説明:[思い人]:思い人のありとあらゆる行動を把握できる]
[説明:[身体変化:超越神]:超越神の真の姿になれる]
[説明:[超越神の威光]:超越神の威光]
[説明:[超越級全属性魔法]:超越級魔法を全属性使用可能]
[説明:[生命創造:神]: 生命、神を造ることが可能]
[説明:[虚無魔法]:全てを消し去る魔法]
私は考えた。また龍一と一緒に過ごすにはどうすればよいか。そして思い付いた。
今膝まずいている神達が造った世界に転生させれば良いのだと。顔の形は前世と同じにしてもらい私は自らの力で転生した。
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やっぱり龍一は凄い。龍一は私を制御するために生まれた種族だと分かった。
[名前:エドガー•アルフォント
種族:零
身分:特平民
年齢:0
レベル:1
HP:5428
MP:0
スキル:
固有スキル:[重力制御]
種族スキル:[超回復][絶対命令][??????]
]
[説明:零:超越神を制御するための種族]
[説明:[絶対命令:超越神]:超越神に対して絶対的な命令を下せる]
最後の種族スキルは、超越神の私ですら見えなかった。やっぱり龍一は凄い。