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3話:12歳

  転生してから12年。いろいろあったが、まあ平和に暮らせている。


 今の俺の立場は落ちこぼれ。

 魔力が無く、その他もろもろの理由からそう呼ばれるようになった。

 魔力はどんなに少ない人でも必ずMP1はあるそうなのだが。

 地球に魔力が無かったからと俺は考えている。

 勿論、悠子は最初っから規格外なので問題なし。


 そんな評価を受けている俺だが、そう呼ばれている理由の一つに、いつもだるそうにしているから、というものがある。


 いつもだるそうにしているのには勿論理由がある。



 魔力が無いと分かった自我が戻った日。その日から俺は自分にかかる重力と持っている物の重力を増加させているのだ。


 自分にかかる重力を、1日に0.5倍ずつ増やしている。つまり2日で1倍である。それを毎日12年間0.5倍ずつ増やしていっている。

 

 普通だと3日以内にダウンしてしまうのだが、俺には[自己回復]がある。

 筋肉が千切れた瞬間に回復し、また重さで筋肉が千切れる。

 この繰り返しのせいで毎日筋肉痛なのだからだるそうにしているのも仕方ないだろう。


 今の重力増加無しの体重が計ってないから正確には分からないが、40キロ位だ。マッチョではなく、細身だが内側には筋肉がぎっしりとつまっている。

 なにせ、自分の体重だけでも12歳の時には物凄いことになっているのだから。

 1日0.5倍で一年365日だと182.5倍。それに12年だから12をかけると、2190倍。体重が40キロだから……87600キロだ。

 ギネスブックにのっている世界でもっとも体重が重い人の100倍はあることになる。


 自分にかかっている重力と同じ重力を持った物にもかけているので、卵を持っただけで、へとへとだ。


 そうやって俺は異世界だからこそできるやり方で体を鍛えている。

 この世界には魔物がいて危険な世界だ。弱者は強者に守って貰うため頭をペコペコさげご機嫌をとり、強者は弱者を虐げる。

 弱肉強食。この世界はまさにそれである。


 「エド~ご飯できたわよ~」

 このおっとりとした感じの声は、この世界でのマイマザー。

 夕ご飯ができたようだ。悠子と共有している部屋を出て階段を降りダイニングに向かう。ギシギシと床が鳴るのは俺の87600キロもある俺の体重のせい。

 普通は床がぬけるのだが、悠子にお願いして硬化魔法をかけてもらっている。

 硬化魔法とは、対象物を硬化させ耐久力を上げる魔法である。


 「お、おいしいそうな匂いだな」

 漂ってくる焼き肉の香り。今日は明日、俺達双子の入学式であるため、お祝いだ。


 入学する学校は魔法学校。悠子が何万年に一度の才能を持っているため、魔法学校の校長が自ら家に来て頭を下げ入ってくださいとお願いにきた。

 悠子に誘いが来たのは魔法学校である。俺は魔力がないのでどう頑張っても入れない。

 だから悠子は断った。お母さんも悠子が決める事だと言って口を出さなかった。


 俺と一緒がいいという理由だけで断られた校長が納得するはずも無く、悩んだ結果、俺を特例で魔法学校の生徒にして、同じクラスにする、という条件で悠子は受け入れた。



 「えへへへ~、お兄様のために頑張ったんだよ」

  お兄様。それがお母さんの前で悠子が俺を呼ぶ時に使う呼び方である。


 「あぁ、ありがと」

 頭をポンポンと撫でてやると気持ち良さそうに目をほそめる。


 「あらあら~」

 お母さんが頬に手を当てて羨ましそうに見ているが見なかったふりをし、椅子に座る。

 「では、食べましょうか。2人の入学を祝って乾杯」

 「「乾杯~」」


 カチンとコップをぶつけて中の液体を飲み干した。

 うん。おいしい。ブドウジュースである。


 「はい、あ~ん」

 悠子が肉をフォークで刺し、俺の口へともってくる。

 ハムッ


 「うん。おいしいよクリス」

 クリスとは悠子、クリスティのあだ名である。

 「えへへ~」


 「あ~、私も~」

 お母さんもフォークで肉を刺し、口元に持ってくる。

 はむっ


 「おいしいよ、母さん」

 

 「あ~私、もう一回。あ~ん」


 自分で食べたいのだが……。

 そんな俺の心の声は2人に聞こえないまま、お腹がいっぱいになるまで食べさせられた。



眠い……

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