負けたくない
あいつにだけは
そう思ってきた
誰よりも親しくて
近い友人
親友ともいえる存在
いつも、いつも
隣を走ってきた
お互いがお互いに
負けたくなくて
追い抜こうとしてた
いつか、いつか
追い抜かして
先の方で笑ってやる
そう思ってた
なのに
なぜお前は倒れている
血を
たくさん流して
うつぶせになって
そこにいるのは俺のはず
なんで
なんで
俺を助けた
なぜ俺をかばった
「・・・お前の、勝ち、だな」
そんなことない
笑うなよ
喋るなよ
確かにお前は死んで
俺は生きてる
でも、俺は
勝ったなんて思えない
思えるはずがない
親友の命を犠牲にして
生きてるのに
もう勝負はできない
俺も、お前も
お互いに勝てないままだ
でも、もし
来世というものがあるのなら
そこでも俺は勝負を挑もう
お前の勝負を受けよう
そして、また競い合おう
笑い合おう
ああ、だけど、できることなら
この世で
“お前”に勝ちたかったな