第06話 来るストーカー
急に何か思い付いて訓練場から駆け出して行った綿平優奈を見送っていると、不意に背後から声を掛けられて女性勇者がもう一人ここに残っていた事を思い出した。
「来栖さん、綿平さんも居なくなった事だし、今日はこのまま解散と言う事にしよう。もし王宮内でどこか行きたい場所があれば、騎士の誰かに案内を頼んでおこう」
オレはそう言って執務室に残ってる書類の作成や確認を済ませてしまおうと、もう用が無くなった訓練場から廊下へと向かう。
「来栖さん、何でオレの後をついて来るんだ? それと服の裾を引っ張らないでくれるか?」
「あ、私ったら……アルきゅんさん、どうもすみません」
自分でも無自覚だったのか離した手を後ろへ引っ込めて、モジモジしながら謝ってくる来栖さんを見てると不覚にも少し可愛いと思ってしまった。
「もし良かったらオレが案内させて貰っても良いが、どこか行きたい所はあるか?」
向こうで『まだ仕事があるのに何言ってるんだコイツ?』みたいな顔をしたクロエたちには気づかないフリをして、オレはまだこの異世界に馴染めてなさそうな勇者のケアを優先させる事にした。
「それなら……でも、アルきゅんさんも忙しいと思うし、ご迷惑では……」
「確かに中断してる仕事はあるが、それは夕方にでもやればいいさ。それより今回召喚された勇者のうち、唯一話が通じそうな来栖さんの便宜を図るのは王国側のホストとしては当たり前の事だ。あとオレの事は『アルきゅんさん』では無くアレクと呼んでくれ」
「はい、アレクさんですね。それなら私の事も桃香と呼んで下さい」
それで来栖さんが行きたい場所は王宮内ではなく王都の街だと言う事だったので、オレと彼女は街で目立たない庶民風の格好に着替えてから、クロエたち近衛隊には遠巻きに警護して貰うよう頼んでおいた。
王家御用達の馬車では流石に目立ち過ぎるので、王宮に出入りしている商家の馬車を急遽借り受けて大通りから少し入った路地で降ろして貰った。
久しぶりの王都は天気も良く賑やかで、人々の生活が平和に営まれているのを実感する。ここだけ見てると世界各地で魔族の侵略が行われているなんて信じられないだろう。
「衣服と雑貨なら、この店が人気だとクロエたちから聞いてるがどうだろうか?」
「はい、ありがとうございます。ここならイロイロと気に入りそうな品がありそうです」
桃香と二人で訪れたのは女性用の化粧品とか生活用品を扱ってる店で、いくら女性の案内とは言っても男のオレが入店するのは少し憚れる気がするくらいファンシーな店構えをしている。
なので桃香だけ中に入って貰い、オレはこのまま店の前で周囲を警戒しようとしていたのだが、店の扉を開けた桃香に手を引かれてそのまま中へ誘われてしまった。
店の中は思いのほか広くて魔導式ライトの暖かな灯りが室内全体を照らしている。店内には何かの香が焚かれているのか、ほのかに香るのは何かの花から採れたものだろう。
桃香は店の中をぐるりと回ってから、シャンプーやトリートメント等の他に新製品らしい液体石鹸のサンプルを手に取り匂いを確かめてから購入するかどうかを決めてるみたいだ。
石鹸とか生活用品等の消耗品など特に拘りは無く何でも良いと思ってるオレから見ると、日々の生活を背一杯楽しみながら生きて行こうとする桃香の姿はどこか眩しく見える。
それでも流石に女性用の下着売場だけは勘弁して貰ったが、それ以外の場所は彼女に手を引かれながら回るのも案外悪くないと思い始めた。
「アレクさん、そろそろお腹が空きませんか? ここのお店の方に聞いたのですが、この近くに美味しいランチを出すお店があるみたいなのでご一緒して頂けたらなと……」
恐らくだが、桃香もオレと同じで、これまで異性とこんな風に街を歩いた経験が無いのだろう。オレはそんな彼女を好ましく思い、今日一日くらいで良いのなら日が暮れるまで付き合ってみようと考えた。
「ぜひ一緒に行かせて貰おう。オレも丁度お腹が空いたと思ってたんだ」
いずれそう遠くない未来に桃香も魔王討伐の旅へ出てしまうだろうが、それまでの僅かな時間をオレたちの国で穏やかに過ごしてくれれば良いなと思った。
桃香が教えて貰ったと言う『子うさぎと野苺亭』は先ほどの雑貨店から歩いて十分くらいの距離にあり、大通りからいくつか入り組んだ路地を進んで行けば、段々と狭くなった道幅が二人の距離を近づけて行く。
最初は桃香に手を引かれて歩いていたのだが、狭い路地を二人で進むうちにお互いの身体がくっつきそうなくらい近くなり、引かれていたはずの手はいつの間にか指を絡められて『恋人つなぎ』になっていたが何故かイヤな気はしなかった。
「いらっしゃいませ!」
お洒落なユニフォームのウェイトレスに招かれて、桃香とオレは窓際のテーブル席へと案内された。ここなら外に居るクロエたちから、こちらの様子を確認出来る場所なので安心した。
「さっきはビックリしちゃいました。まさか買い物をするのにお金が要らないなんて、これもある意味キャッシュレスみたいなものですよね? それに頼まなくてもお城まで届けて頂けるなんて元居た世界でもなかなか無いサービスですよ!」
それは、これまでにやって来た異世界勇者どもが、この国のあらゆるモノやサービスに対して元居た世界の島国と同じレベルを要求して来た結果なのだが、それ以外の要因として、この世界の人々が元の世界の『オモテナシ精神』を理解してきたと言うのが大きい。
「本日のメニューをお持ちしま、ヒィッ!!」
先ほどのウェイトレスがお冷やとおしぼり、それとメニューを持ってオレたちのテーブルへと戻って来たのだが、オレと桃香が座るテーブルの正面にある窓を見て悲鳴を上げる。
幸いな事に、彼女が手に持っていたグラスを落とさなかったのは職業意識が高かったおかげだろう。
桃香とオレがお互いの顔を見合せてから、二人一緒に窓の方を確認しようと目だけを動かして見ると……そこには窓ガラスに顔をベッタリと押し付けて店内を覗き見るバケモノ……いや、もう一人の女性勇者である綿平優奈が居た!
「あ、アルきゅん発見! こんなところでユナを待っててくれたんだぁ~」
おかしい……確か、姉上が異世界から召喚したのはこの世界を救う勇者のはずで、まかり間違ってもこの世の闇に巣食う魑魅魍魎の類では無かったと記憶している。
今日のオレは国のホストとして、たまたま相談を受けた勇者が買い物に行きたいと相談を受けたので、その護衛を兼ねてエスコートし、昼食の時間が近かったので街での食事を楽しんで貰おうとしただけなのに、何故か妻に浮気がバレそうになった中年サラリーマンの気持ちが理解出来る気がするのは何故だ?
「いやぁ~偶然だな、ユウナも街へ来てたんだ」
「うん、今さっき来たとこ。ユナもお茶したいな~なんて思ってたら、アルきゅんとモモカちゃんが見えたから一緒にどうかなと思って?」
オレたちが案内されたテーブルは四人用だったので二人掛けのベンチシートをそれぞれ一人で座ってるから、桃香の隣が空いている事実が重くのし掛かって来る。
こんな事なら、店の外で護衛任務に就いてるクロエたちを呼んで座らせておくべきだったと後悔してももう遅い。この場は素直に綿平を店内へと招き入れて、桃香とのランチタイムが穏便に過ぎ去る事を祈るべきだろう。
「どれもみんな美味しそうだなぁ~。ねぇアルきゅんは何にするの?」
このシーンだけ見たら、まるで最初から三人で来店していたかのように自然な雰囲気で綿平優奈がメニューを選んでいる。
桃香が以前に言っていた様に顔だけは良い彼女が瞳をキラキラさせている姿は良いとして、何故君はオレの直ぐ隣に座ってるんだ?
こんな場合は普通なら──まぁ、綿平に常識が通用するなら──と言う前提での話になるが、オレが持つ【前世の記憶】が正しいのであれば、まだ正式にお付き合いしてない友人関係の男女なら、こんな場合は女性二人が同じ側の椅子に座るのではなかったのだろうか?
もしかしたらオレが生きていた時代と男女の距離感が違っているのかも知れないが、俺の左腕に綿平の右肩がピタリと触れているのだが、これは家族とか恋人の距離じゃないかと思う。
だが何故だろう……オレはつい先ほど桃香に手を引かれて狭い路地を二人で通り抜けた時、彼女とも同じくらいお互いの身体を寄せ合って指まで絡めて手を繋いでいたのだが、今の様な嫌悪感を全く感じなかったのは何故だと考えるほどオレは子供ではない。
「ねぇ、アルきゅん。このクィーンサイズパフェなんだけど、ユナと一緒に食べない? 食べてくれるよね?」
身体だけでなく心の距離もグイグイと詰めて来る綿平の事より、先ほどから一言も話す事無く一人で黙々とメニューを睨み続ける桃香の事が気になる。
「アルきゅん、なんでさっきから黙ってるかな? もしかしてユナの隣だから緊張してる?」
つい先ほどまで一緒に手を繋いで笑い合っていたオレが、顔だけ見れば確かに美少女の範疇に入るかも知れない綿平と隣同士で座り、多少は引き攣ってるとは言え営業用スマイルを浮かべながら一緒にメニューを見ている姿を思い浮かべると、とても軽薄に見えて女なら誰にでも甘くイヤな奴としか思えないだろうな。
「その笑顔はオーケーってコトでイイんだよね?」
もしかして桃香からは、そんな風に見えてるんじゃないだろうか? そう思うと急にこの場所から逃げ出してしまいたくなる気分になるが、何より桃香をこの顔だけモンスターの前に一人で置き去りにするなど出来ないし、通路側にドンと座ってる綿平によって既に退路は断たれている。
あれから店内の不穏な空気を察知したクロエたちにより、『王子、そろそろ執務のお時間が……』作戦によって無事救出されたのだが、桃香と綿平はまだ食事中だったので先に王宮へ向かうオレとは別の馬車で送って貰う事となった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
SIDE:綿平優奈
『アルきゅんはユナの推しメンだからね!』ってモモカちゃんには言っておいたはずなのに、訓練場へ戻ったらモモカちゃんと二人でお城の外へ行ったって聞いたアタシは直ぐに追いかけなきゃって思った。
だってモモカちゃんはアルきゅんに興味なんて無さそうだったのに、ユナが『アルきゅん』て呼び出したら『アルきゅんさん』なんて乗っかってきたから、正直これは~と思っていたんだよね。
オッパイが大きいだけでユナよりブスなのに、ユナの『推しメン』に横からちょっかい出すのは正直止めてほしいな。
でもあの二人がお洒落なカフェに入る時、アルきゅんにエスコートされる時のモモカちゃんの顔は乙女ってたから、これはマズイかもって思ったの。
モモカちゃん、女の友情はもっと大切にしてくれなきゃユナとしては困っちゃうコトになっても知らないんだからね?
アルきゅんもモモカちゃんと手を繋いだくらいで意識しすぎだし、王子さまなのにホントにどれだけ純情なの? って感じ……。
だから他のヒトなら絶対にしないくらいユナの身体をアルきゅんにくっつけたのは、ユナの気持ちを二人に知って欲しいから……いや、モモカちゃんに見せつけて諦めて貰おうと考えていたからだよ。
元の世界ではネットアイドルだったユナだから、男子から告白されてそのうちの何人かと付き合ってみたんだけど、結局どのヒトとも長続きしなかったのは、みんなが美少女すぎるユナに対して気後れしていたからなんだ。
だから、こっちの異世界へ呼ばれてユナの美貌と釣り合う男の子を初めて見つけた時『このヒトなら!』って思っちゃった。だからモモカちゃんには悪いけどアルきゅんだけは絶対に譲れない。
アルきゅん、なんでさっきからモモカちゃんばかり気にしてるのかな? アルきゅんの真実の恋人はユナなんだよ? だからもっとユナのコトを見て。お願いなの。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
SIDE:来栖桃香
私がこの異世界へとやって来たのは『勇者召喚の儀』で呼ばれたからみたい。
そう、ネットに溢れている小説なんかでよくあるやつね。それが本当にある事だなんて知らなかったし、まさか自分がそうなるなんて思わなかったけどね。
私以外の四人は、元の世界の友達とか家族と急に引き離されて怒っていたみたいだけど、私には生憎そう言った相手は居なかったから精神的なストレスは感じなかった。
こう言うと何か私が冷血女みたいに聞こえるけど、他者とのコミュニケーションをSNSやネットのアプリに依存してる私たちの世代では普通の事だと思ってる。
私は『感情が薄い』とか『他人に興味がない』なんて良く言われるけど、それはこれまで興味を持てる様な人と出会っていなかったからなのよね。
何をやっても一人でそこそこ出来てしまうから他人に助けを求めた事も無いから、これからも一人で無難に生きて行くのだと思っていた。
でもそんな灰色でも平和な人生を送っていた世界から強制的に呼び出されて、今度は一方的に魔王討伐なんて言う危険極まりない使命を追わされてしまったのだけど本当に大丈夫なのかしら?
幸いな事に異世界へ召喚されたのは、私以外にも男子高校生が三人と女子高生が一人の合計五人も居て、これなら見ず知らずの異世界でも同じ日本人同士なら何とか上手くやって行けそうな気がして少しだけ安心した。
……なんて時期が私にもあったのよね。
みんなと話してみて思ったのだけど、同じ高校生とは言っても男子はまだ子供で自分たちの置かれてる状況を正しく理解してるとは思えない。
だって『魔法スゲー!』とか『魔王は俺がブッ殺す!』とか言ってるけど、この世界の人たちから聞いた説明では私たち異世界勇者であっても逆に殺られてしまうくらい魔族が強いらしいのよね。これって不味くない?
私は受験勉強をしてる時に気分転換で多くのラノベを読んでいたから気付いたんだけど、この異世界はゲームで例えるとハードモードかそれ以上の難易度設定なんだと思う。
それなのに大抵のラノベでは『俺TUEEEE!』とか『俺もしかして、また何かやっちゃいました?』的な作品が多いから勘違いしてるんだと思う。だから男子だけで勝手に死んで貰っても良いんだけど、それだと私を守ってくれる人が誰も居なくなっちゃうから困るのよね。
でも一緒にこの異世界へやって来た男子たちは、みんなこの国の王女様に一目惚れして腑抜けてしまっていたから交渉の余地なんて無かったし、みんな私の胸ばかりガン見するから正直気分が悪かった。
中には訓練の最中に露骨に私の身体に触れて来ようとするスケベも居たから、あんなバカでも腕力だけは強そうだから何処かの部屋へ連れ込まれでもしたら最悪よね。
でももっと最悪だったのは、もう一人の女子高生がメンヘラ女だった事。
確かに顔だけ見ればネットアイドルだと自己紹介されても違和感が無い程度の美少女(?)だったけど、袖口からチラリと見えたリスカの傷痕は普通の高校生活しか知らない私には衝撃的だった。
まさかネットの掲示板で読んだような人が、本当に目の前に居るなんて思いもしなかったから。
それでも相手が危険人物だと事前に知っていれば、話の内容には極力注意して親しくなり過ぎない様に距離感と空気には気をつけた。
最初は優奈の顔に釣られて口説いていた男子たちも話の途中で危険を察知したのか、彼女と一線を越えようとする猛者は居なかったみたい。
だって一度でもエッチするとずっと粘着されそうだし、あんな性格だから最終的には別れ話になった時に背中から刺される未来しか見えなかったんだと思う。
それでも、あの自己中ばかりの男子たちが大きな問題を起こさなかったのは王女様への憧れがあったからで、一目惚れした相手が居る同じ城内で優奈と痴話喧嘩なんてしたく無かったのでしょうね。
この異世界の事を学んで体術の訓練をしているとこの国の王子を見かける事があり、その時は目の保養にでもなれば良いかと思ってた。
王子はこちらの異世界の人なのに私たちが居た世界、それも日本の文化にとても詳しかったので私の興味を引いたんだと思う。
最初は挨拶とか何気無い話題からだったけど、この異世界の事で判らない事を教えて貰ったりするうちに、私たちの事をちゃんと考えてくれてるんだなと思うようになった。
そんな彼に優奈が粘着し始めたのを見て、これはいけないと思った。
だって相手はこの国の王族だよ? いくら私たちが民主主義の国で育ったと言っても異世界には異世界のルールがあるはずだから、そのルールから逸脱した行為をすれば、いくら召喚された勇者だったとしても犯罪者の烙印を押されて国の支援を受けられなくなったらどうするのよ?
だから私はさりげなく優奈が王子と二人きりにならないように気を付けて行動して、出来るだけ王子が彼女から距離を取れるような位置で会話に加わるようにしていた。
でもそんな事ばかりしていたら自分の訓練が疎かになってしまってるのは判っていたんだけど、それでも魔王討伐の旅へ出た時を想像して焦りのようなモノを感じていた。
そんな中、男子の一人がお城を飛び出して行ってボロボロになって帰って来たんだけど、彼の容態よりも『これで出発が先延ばしになる』と心の中で喜んだ私は、やっぱり自分の事しか考えていない女なんだと思われても仕方ないわね。
あと賢者の男の子は図書室に籠もって出てこなくなったみたいだし、聖騎士の男の子は居なくなった。
それから勇者パーティと言っても、私たち女子二人を中心に城の騎士たちを護衛に付けただけで魔王討伐へ行かせる案を、あの王子が却下してくれたと聞いて安心した。
それでも、いつかは生命を掛けた旅に出なければいけないはずだから、自身の能力を向上させるため治癒魔法以外にも適性がある水系魔法の先生を探していた。
でもある程度以上の能力を持つ魔術士は既に仕事を持っていて直ぐに私の希望が通る事は無く、このままでは時間が徒に過ぎてしまうと危機感を抱いた私は王子に直談判を行った。
すると彼は自分が管轄している近衛隊の中から、私と同じ治癒魔法と水系魔法が扱える女性騎士を紹介すると言ってくれて、それ以外にも何か困った事は無いかと聞かれたので街へ買い物に行きたいと言うとすぐに馬車を準備してくれて、王子が直々に護衛をしてくれると聞いて申し訳無いと感じつつも少し嬉しかった。
嬉しかったのは相手がイケメン王子だったからじゃなくて、私の話をちゃんと聞いてくれたから。
私はよく『委員長タイプ』とカテゴライズされるんだけど、それは真面目そうで地味な外見もそうだけど他人と上手く付き合えないというか、友達はそれなりに居るけど親友と呼べる人は一人も居ないので、他の人と一線を引いた付き合い方しか出来ないのが良い方向で解釈された結果だと思う。
そして王子と一緒に買い物したり、街中を二人で歩いていると何故か暖かい気持ちになったんだけど、これは恋とかそんな感じではなくて兄妹みたいな感じかな? 自分でも何故疑問形なのか判らないんだけど、年齢=彼氏居ない歴の私にはその手の話題はレベチすぎて困る。
でも最初は逸れない様に繋いでいた手を、もっと密着させたくて指を絡めてしまったのは無意識だったから私的にはセーフだと思ってる。だって私はそんなにチョロい女じゃなかったはず。
それから二人でお茶にしようと雑貨店で教えて貰ったお店に着くと、何故か優奈がやって来て当たり前の様に王子の隣へ座る。
これまで他人に執着した事が無い私でも、さすがに優奈の行動は目に余ったんだけど私は彼とお付き合いしてる訳でも無いし、ここで何か言うと雰囲気が台無しになると考えて黙って見ていた。
私が何も言わないのを良い事に優奈のアプローチが段々と大胆になってきて、そろそろ我慢の限界になった時、王子の護衛の方がやって来てお城へ連れ帰ってしまった。
今日はせっかく良い雰囲気だったのに優奈のせいでこんな結果になってしまったけど、また次に王子と会うまでに、彼の事をもっと調べておかないと……。




