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40話 戦の後始末

 一週間後。セルメイル王国・王都ラムレド。その王城の中庭に、五十余名の貴族らが集められていた。皆、白装束を身に付け神妙に地に座している。国王を軟禁し、オカヤマに攻め入ろうとした反オカヤマ派の家臣たちである。オカヤマ戦勝後、それを知らされた彼らは自分たちの失敗を認め、投降したのだ。


 その先頭にいるのは反乱の首魁であるメルタニー公爵。その前に主君エルゼンがやってくる。


「陛下……」


「メルタニー……。貴様に私心がなかったことは私が一番よく知っている。あの暴挙もこの国のためと思ってのことなのだろう」


「されど実りませんでした。まさか、ティエリア王女の説得によって軍までもがオカヤマへ翻すとは……。これほどまでに魔族との共存を受け入れられようとは思いもよりませんでした」


「先ほど、小早川金吾から感謝の書状が届いた。助勢の礼といずれ私をオカヤマに招待したいとのことだ」


「お受けするのが宜しいでしょう」


 それは、あのメルタニーとは思えない返事だった。ここに至って彼も魔族を認めたのである。この世が変わろうとしていることを受け入れたのだ。されど、そこに頑迷固陋がんめいころうの居場所はない。


「私は今もって魔族との共存は反対です。しかし、オカヤマが勝利し、対魔連合が瓦解した以上、我が国の道は彼の国との同盟しかありません。我々、反オカヤマ派を罰せれば、陛下が進める共存政策の障害はなくなることでしょう。それをもって最後のご奉公とさせて頂きます」


「……祖父の代からの勤め、ご苦労だった。メルタニー」


 エルゼンがその暇乞いとまごいを受け入れると、控えていた兵士が寄ってくる。……抜き身の剣を手にしながら。


「セルメイルの今後の栄達、心からお祈り致しております。それでは失礼を」


 最後にメルタニーは両手を地に付け、頭を下げた。それは礼であり……準備だ。


 差し出された首に兵士の剣が振り下ろされる!


 こうして反逆者五十余名の死刑執行によって、メルタニーの反乱は幕を閉じたのであった。




 オカヤマでは戦勝祝いの祭りが開かれていた。街中活気に溢れ、人間も魔族も分け隔てなく喜びを共にしている。それはオカヤマ城・大広間での酒宴も同じ。ティエリアとラナは魔族との宴を朗らかに囲み、その魔族たちもまた魔王を討ち果たした人間を讃えていた。実に奇怪な光景だが、これこそが新しい世の姿なのだろう。


 そして、その中心にいるのは勿論金吾。その和気藹々《わきあいあい》をさかなに、隣の上座のファルティスの酌を受けていた。


「これで目先の脅威はなくなった。人間側は対魔連合の瓦解で大人しくならざるを得ないし、中にはセルメイルのようにオカヤマに与しようと考える国も現れるだろう。人間たちを更に取り込めるはずだ。魔界でも野良魔族たちがブラウノメラを討ったオカヤマに加わりたがるだろうし、国作りがより励めそうだな。この国にはまだまだ娯楽が足りない」


 楽しそうに今後を語る金吾。この世界にまだまだある未知の娯楽に想いを馳せているのだろう。


 更に、酔ったティエリアとラナが仲良く舞いを披露し始めると、魔族たちの喝采は最高潮に達する。天下一の繁華街を目指す共存国家オカヤマは実に順風満帆だった。


 ただ、彼の傍にいたファルティスだけは知っていた。


 金吾が心の底からは笑えていなかったということに……。


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