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国賊転生英雄の革命戦記  作者: グロール
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宴前の闇の再来

 コウヤたちがヴィッヘンラント共和国の東コーサリア株式会社との反乱協力交渉を行った夜、会社の代表、メンゲルベルク発案による大宴会が開かれた。

昼の交渉のあと、少し時間が出来たコウヤらは外を見て回りたいと言って、商館を一旦あとにした。

外を見て回るというのは口実だ。実は、交渉が始まる前、コウヤたちは何者かに道中つけられていた気がしていた。

その人たちが何者であるのか、調べるために商館を離れたのである。

イレニア情報部は事前に商館に先日コウヤたちを見張っていたグレイシアの闇ギルドの関係者が複数人、潜伏していることを確認していた。

コウヤらはメンゲルベルク交渉の前日にその報せをエセルより受けていたため、万が一に備えて、エセルにコウヤらの武器を持たせ、情報員をネメスの至るところに配置した。

 商館を出ると、門の近くにエセルが待っていた。武器を隠しているエセルが。

コウヤはメンゲルベルクに一礼をしたあと、メンゲルベルクが商館に戻ったのを確認して、エセルに飛び付いた。飛び付いたといってもセクハラなものではない。

「よし。作戦開始だ。」

「「はっ。」」

コウヤとアルバートはエセルに預かっていた武器(洋風の剣)を貰い受け、各自、分散してネメス市街を歩き回った。

しばらくすると、コウヤの後ろに二人ほど追いかけてくるような気配がしたため、人気の少ない街区(ネメス中心部から数ブロック程北東方面に進むと、漁港関係の施設が多くあり、昼間は人気の少ない場所がある。)に誘導した。

その地区に入っていくやいなや、後ろからついてきていた二人がコウヤと距離を足早に縮めていく気配がしたので腰にさしていた剣を引き抜いた。

「何者だ!」

コウヤが叫ぶとそこには薄い黒地の布に覆われた、文字通り黒ずくめの男女がいた。

黒ずくめの人たちはコウヤの剣捌きを咄嗟に避け、男の方は手に紫色の水晶玉の形に整えられた石を取り出し、もう片方の手で火の玉を作り、コウヤに飛ばした。

コウヤに突然火の玉が飛んできたが、コウヤはこれをかわした。

(やつの右手に持ってるのは噂の魔鉱石か…!)

魔鉱石とは10年以上前、魔族がイレニアに侵入して以来、人類社会にもたらされた魔法具である。

産出は魔族の住んでいるグレイシア帝国がある大陸から海を挟んで遥か西方にある未知の大陸だと言われている。

しかし、魔族の侵入によって捕虜となった魔族らとの交流の過程で兵士や闇組織へ広まっていったと言われている。

コウヤは魔鉱石を持つ男に斬り込もうと前に出た。すると横から黒ずくめの女性が妨害しようと短刀でコウヤに向かってきた。

コウヤは足を止め、黒ずく女の攻撃を受け止めた。

そのすぐ、黒ずく男が魔鉱石を両手で高く掲げて詠唱をした。

「ヴァトラーナ」

魔鉱石から火炎放射器の如くコウヤに向かって火が放たれ、コウヤも流石にこれはヤバくないかと若干顔をひきつらせながら、魔法の射程からずれたが、若干左腕の服が焼けてしまった。

「うぉわっぶねぇ…少し遅かったら、火だるまだった…」

コウヤは体勢を持ち直した。

そのとき、黒ずく男女の後ろにイレニア情報部の工作員が応援に来た。

「殿下!」

コウヤを敬称で叫んだ工作員、20代後半くらいの男も着ていたマントに魔鉱石が小さく、ひし形ではあるがはめられていた。

「チッ、ここは撤収するぞ…!」

黒ずくの男がそう言うと、黒ずく女もそれに同意した。

そして、黒ずく男は服の中から筒上の煙玉をだし、地面に叩きつけ煙を焚き付けた。

コウヤとI2A工作員は目を煙から守るために覆った。

煙がある程度収まった頃には、黒ずくの姿はどこにもいなかった。

「取り逃がした…か。」

コウヤが考え込むように顔を強ばらせて言うと、I2A工作員が言った。

「殿下、お怪我はありませんか?」

「あぁ、大丈夫だ。それより君は…」

コウヤがそう言うと、I2A工作員はビシッと姿勢をただした。

「はっ、私はイレニア情報部『ヴィンドモレン連隊』のローレンツ・ヴィルゲナウ少尉であります!」

 イレニア情報部ヴィンドモレン連隊はヴィッヘンラントとその周辺地域で活動している部隊であり、本拠地はコウヤらが滞在してるあのホテルである。部隊章に風車とWDというヴィヘンラントの頭と尻の字が刺繍されている。

コウヤが援護してくれた御礼を言おうとすると、それを察知したのか、ローレンツはおじきをした。

「それでは、私は任務を続行しますのでこれにて。」

コウヤは「あぁっ!ちょっと!」と言ったが、まもなく、魔鉱石で透明化し、姿が見えなくなった。

 夕刻、コウヤたちは再びヴィヘンラント商館の門の前に集合した。大晩餐会の開演である。

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