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国賊転生英雄の革命戦記  作者: グロール
2/5

仲間との再会

 数時間後、国境の関所に到着したコウヤとアルバートは通行許可証をヴィッヘンラント兵に見せ、ヴィッヘンラント共和国に入国した。

 日が落ちたあと、港町ネメスについた。街は建物から漏れる明かり以外ほぼ真っ暗であった。

ネメスは国際貿易の新興都市として次々と新しい洋館やアパートが建てられていた。

「さて、着いたからにはまず、宿探しでしょうな」

アルバートはふっと呼吸を整え、右手を腰にやった。

「いや、その必要はない。」

コウヤがアルバートにそう言うと、アルバートはきょとんとし、首をかしげた。

「どういうことでしょう?」

「"あて"がある。まぁ、ついてこい」

そう言うと、コウヤは先導して足を進め始めた。

ネメスには役所等の行政機関が集約した広場が中心地として成立しているが、港湾の倉庫集積地と中心地の中間辺りでINNとヴィッヘンラントの言葉で書かれた札がぶら下がっている5階建てのレンガ造りの建物をコウヤたちは見つけた。

「ここだ。」

コウヤがそう言うと、建物のドアを開けた。

近くから老若男女の喧騒とした音色が聞こえてくる。

そんな中、コウヤたちはまず入口すぐ隣の窓口に行き、そばにおいてあった水晶玉に手をやった。

すると、騒ぎ声がする方からはいはーいという声が聞こえてきて、フワッとした紫髪で20半ば程の若女将がお盆を持ちながらやってきた。

「少々お待ちくださいね!」

と、若女将が早口で言いながら、事務室に入り、受付対応に移る。

「お客様お待たせし…って、あ。」

若女将がコウヤを見た途端、口を止めた。

「コ、コウヤ閣下…!」

「久しぶりだな、エセル」

「コウヤ殿、この方は…?」

「この人は私が私有してる間諜組織であるイレニア情報部、通称『I2A(Irenia Intelligence Agency)』の本部長アルスター・エセル。今はヴィッヘンラント中心に動いてもらってる。エセル、補佐のアルバートだ。」

コウヤが二人を紹介すると、アルバートとエセルは会釈をした。

「閣下、臨時の情報本部兼寝室を御用意してあります。ついてきてください。」

エセルがそう言うと、受付から出て、三階の奥の部屋へと案内された。

コウヤが部屋に入るや否や、部屋の中で業務に当たっていた面々が一斉にコウヤの方を向いて御辞儀をして言った。

「「お帰りなさいませ。閣下!!!!!」」

何処のメイド喫茶だよと内心突っ込んだコウヤであったが、気を取り直して部下たちに激励した。

「うむ。ご苦労だ。引き続き業務を続けてくれてくれ。」

「「はっ!」」

情報部一同敬礼して事務業務に戻った。

「閣下一同、左手にある部屋に閣下専用休憩室がございます。そちらで体をお休め下さい。」

「わかった。」

そう言ってアルバートは個室に入った。

個室に入って荷物を窓際にある木の机に置く。

ついでに外の景色を堪能しようと窓を開けた。

窓を開けると、涼しい夜風が部屋に入り込んで来て、満天の星空と三日月が夏の雰囲気を醸し出していた。

しかし、宿の下の通りを見るとそんな雰囲気とは程遠い、禍々しい空気で満ち溢れていた。

フード付き外套を纏った人が5人程が集まって組織的に行動をしていた。

あるものは港方向へ行き、あるものは中心街の方へ移動する。

すると、指示役と思われる人がこちらを睨み付けてきた。

コウヤは彼と目が合い、その瞬間とんでもないオーラを彼から受け取った。

コウヤはそのオーラに少し後退りした。

しばらくして、ドアを叩く音が聞こえた。

そして、エセルの声が聞こえた。

「閣下、御報告がございます。」

「入ってくれ。」

はっとエセルが言ってコウヤの休憩室に入る。

ついでに2人掛かりでコウヤが先程みたような外套で覆われた人を捕縛していた。

「先程、宿の近辺を彷徨いていた怪しい男を捕縛しました。右手の甲にこのような紋様が…」

ひし形の枠の中に剣が描かれている。

そのひし形の下にG.A.Uと刻まれていた。

コウヤは目を丸くさせた。

そして、エセルの方を見ると、エセルも唾をぐっと呑み込み頷いた。

「閣下、この紋様は…」

「間違いない。帝国政府が保護している闇ギルドの組合員だ。」

コウヤは睨み付けるようにしてこうも言った。

「長く生かすつもりは無いと言うことか…」

そして、コウヤはエセルに指示をした。

「エセル、この男は縄で手足を拘束して外に放り出せ!」

「はっ!」

「それと…」

コウヤはニヤっと気持ち悪い笑みを浮かべながら呟く。

「手紙を添えてやれ。国賊の英雄は着実に反撃の用意がある…と。」

「わ、分かりました。」

エセルも流石にコウヤの笑みに顔を引きずらせつつ、捕縛した情報員2名にコウヤの指示通りに指示し、手紙を携えて、外に放り出した。

「さて、これでただ亡命生活という訳にはいかなくなったな。」

コウヤがはぁとため息を吐くと、アルバートとエセルが後に続いた。

「いいえ、コウヤ殿が行っていたイレニアでの実績は確かなものです。それはイレニアの民がよく理解しているでしょう。きっと、彼らはコウヤ殿の御帰還を心よりお待ちしていることでしょう。」

「閣下、我々、イレニア情報部は閣下に忠誠を誓った人が集まっております。閣下の指示一つで何事もやり遂げてみせましょう。」

2人の決意を受け取ったコウヤは頷き、早速指示を出す。

「よし、まずは部屋に戻って、計画を練ろう。」

「「はっ!」」

そしてコウヤと一行は部屋に戻り、計画の立案を開始した。

そう、イレニアを奪還するための、そして、来るべきグレイシア帝国との全面戦争を…

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