2 妹と仲良くしたい
扉がノックされる。
どうぞ~と声を出すとすぐにそれが開いた。
「あれ、アイちゃん来てたんだ?
久しぶり。」
この世界の俺の妹だ。
ここに来た最初のころは疎まれていたが、
勉強を教えたり、買い物に行ったりと、
最近は仲良くやれている。
なので、オブラートに包まずに直球で聞く。
「香菜は愛のこと嫌ってないのか?」
「ちょっ!?」
奇声が聞こえたが無視する。
「アイちゃん?
う〜ん、そうだね…うん、別に平気。」
うわっ、天使がおるとか俺に隠れて拝んでいるが、
気にしないで、
間髪入れずに聞く。
「なんでなんだ?」
「いやいや、秀ちゃん、理由なんていいじゃないですか、
別にほら、カナちゃんが優しいからですよ、
ええ、そうに決まってます、はい。」
そうですよね?とどこか裏があるのを否定したいようだ。
しかし、現実は無情。
香菜は笑顔でこう言った。
「いえ、カナに害がないからですよ。」
「…?」
俺は疑問符を浮かべ、
愛は苦悶の表情を浮かべなにやら捻れている。
あと少しでなにやら、生み出しそうだ。
もう少しか。
「ちなみに害ってどんなことがそれにあたるんだ?」
あなたもう私のHPはゼロよ、
なんて聞こえるが、気のせい、気のせい。
「う〜ん、すぐには思いつかないけどたとえば、
お兄ちゃんを恋のターゲットにするとかしたら、
アイちゃんのこと殺しちゃうかも…な~んてね。」
うん、なぜか寒気を感じたような。
「あ〜、あと男が嫌いになったからって、
私にアタックしようとしたら、
軽蔑して、Gを見るみたいな目で見ちゃうかも…
今思いつくのはだいたいそんな感じかな?」
香菜は質問に答えると、宿題やるの忘れてた〜、
とか言って部屋を出て言ってしまった。
香菜は一体何をしに来たんだろう?
「ちょっと、秀ちゃんっ!!」
「え、なに?」
「いやいや、なに?じゃなくて、
興味なくしたように本を読み始めたりしないで。
酔った酒飲みにするようなそんな表情もしないで。
面倒くさいなじゃないから、
さっきも言ったように私のHPはゼロだからね。」
「はあ…で、なにかあった?」
「あった…うん、あったからっ!
ちょっと、秀ちゃんっ、あなたねぇ…っ!」
はいはい、分かった分かったと、
ペットの犬をあやすように頭を撫でる。
本当に面倒臭い。
よしっ!さっさと適当に言いくるめよう。
「だってお前、百合がしたいんじゃなかったのか?」
「へ?ええ、そうですとも。」
「なら、裏があるなら、
早めに知っとかないとまずいだろ。」
「うん…まあ、それは…確かに?」
よしよし上手くいった。
「ところで、香菜はお眼鏡にかなった?」
俺がそう聞くと、愛はなにやら周りを見渡して掠れるような声で答えた。
「…えっと保留で。」
確かに早めに知っておいて良かったかも、というつぶやきが聞こえたような気がした。