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12 お仕置きのあと

「お〜痛たたたた、こりゃ折れとるで〜。


にいちゃん、どないしてくれるん?」


「…なに?ワンスモアプリーズ?」


「って、冗談、冗談だからっ!


まったく秀ちゃんってば、冗談通じないなぁ、もうっ!」


妙な関西弁のあんちゃんのような口調で、


当たり屋的行いをする愛の頭部に手を伸ばすと、


愛はその冗談をやめた。


冗談?


そりゃあ、通じないだろう。


なんで俺が球技大会で二種目、


それもサッカーとバスケなんていうかなり疲れる競技に出なければ、


ならないというのか?


理由はわかっている。


ならば、元凶に然るべき罰を与えるのは、


妥当ではないかと思う。


「だって、秀ちゃんが寝ているのが、


悪いんでしょ。


ロングホームルームも授業なんだよ。」


「…ちっ。」


「あっ、そうそう。


秀ちゃん、桐生くんになにか恨まれるようなことした?」


「は?なんで?」


「うん、いや、なんかさ…いや、たぶん勘違い…かな?」


いや、おそらく勘違いではないだろう。


愛のことをかばって以来、


桐生龍馬は基本俺を目の敵にしている。


体育の時間にハイタッチなんてしたのは、


余程気分が良かったからに違いない。


ついうっかりだったのだろう。


その証拠にすぐさま睨みつけてきたからな。


でも、そのことを愛に伝えるのは、なにか違う気がしたので、


とぼけることにする。


「ふ〜ん、


ならさっさと帰るか?」


「そうだね。今日バイトは?」


「ない。」


「それじゃあ、どこか遊びに行く?」


「行かない。」


「…いや、普通そこは、


【そうだな、せっかくだから、どこか行くか?


委員長もどうだ?】


でしょ?」


いや、普通じゃないだろ?


百歩譲って、どこかに行くのはそうだとしても、


別に親しくもない、


ただ近くにいるだけ女の子を誘うのは、違うだろう。


ほら、委員長も顔を赤くして困ってる。


「て、ことで、委員長、どっか寄っていこ〜。


今なら秀ちゃんもついてるよ〜ん。」


「なあ、愛あんまり委員長を


「そ、そうですね、愛さんともっと仲良くなりたいですし、


あっ、別に秀介くんが、その…ではないですからっ!」


…。」


「なに、秀ちゃんなにか言った?」


「…いや、別に?」


今なにやら妙なことが聞こえた気がしたが、


気のせいだろう。


第一そこまで仲良くないしな。


「で?今日は先生の頼まれごとはないのか?」


「「…あっ!」」


二人して同時に気がつくか…本当に仲良くなったな…。


「仕方ない。


今日は俺も手伝うから、さっさと終わらせるか。」


「おっ、ラッキー!」


「…ご、ご迷惑じゃなければお願いします。」


それにしても、委員長は真面目だな。


時計とにらめっこして、


俺と時計を交互に見て、


手伝いをお願いすることを決めていた。


ラッキーなんて思っている愛とは、


本当に相手とは大違いだ。


「ああ、迷惑じゃないからな。


で?今日はなにを頼まれたんだ?」


「えっと…実は…。」



それから、


さっさと片付けて寄り道をしに行くことになった。


適当に駅の近くの店を見て、


愛が食べたいというので、鯛焼きを食べて帰ってきた。


タピオカブームは去ったらしい。


まあ、そもそも愛はそれほどタピオカを好いていなかったらしいが…。


まあ、前世でも、そんな高いものを買うくらいなら、


ゲーム買うとか言っていたくらいだしな。



しかし、愛…戦力にならなさすぎだろ…。


結果的に俺と委員長でほぼ全てを片付けた。


なんだか委員長に面倒な子を普段押し付けているみたいで、


申し訳なく感じた。


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