第1章 第6話 科学研究部
「申し遅れました。私、門矢七海と言います」
放課後。昼休みに俺たちに注意してきた俺と同じくらいの身長の女子が丁寧に頭を下げてきた。
「五十嵐くんにはぜひ科学研究部に入っていただきたいのですがいかがでしょうか?」
科学研究部……科学研究部か……。
「かっこいい……!」
科学だろ? 科学……絶対にかっこいい。理科は苦手だけど、逆に科学研究部に入れば成績が上がるかもしれない。
「うん、まずは見学からお願いできる?」
「そう言っていただけてうれしいですっ」
昼休みは強気に睨んでいた門矢さんだったが、俺の返事を聞いてぱぁっと笑顔を浮かべた。
俺が見学を決めた理由。それは科学がかっこいいというだけではない。あの巨人2人に対抗できる、かわいい女の子。そして俺と同じくらいの身長! もし、話していていい感じだったら……ぜひ付き合いたい。
「科学研究部って何するの?」
「基本的には補助ですね」
「補助?」
「科学研究部は私含め2人の部員で構成されています。そしてもう一人は私たちのクラスの不登校生なのですが、彼女の実験の手伝いだったり、実験体になるのが主な活動です」
「実験体……かっこいい……!」
「ほ、本当ですか……?」
なぜか門矢さんは引いているが、実験体ってかっこいいじゃないか。絶対暴走とかする。かっこいい。
「ていうか不登校なのに部活にはいるの……?」
「それについては実際に見ていただいた方がいいかと。では行きましょうか」
そして向かった先は、教室がある校舎から少し離れた古めの校舎。聞いてみると昔使用していた校舎で、取り壊すにも予算がかかり、今は部室棟になっているらしい。科学研究部の部室はその1階の角部屋。薄汚れた「理科室」と書かれた部屋だった。
「ヘイ、ナナミ。彼が例の転校生かい?」
その中にいたのは、綺麗なブロンドの髪を持った女性。国まではわからないが、まず間違いなく外国人だ。なのに……と言ったらなんだが、身長が低い。座っているからわからないが、俺や門矢さんと同じくらいの身長だろうか。
「紹介します。彼女はカリーナ・ジョイル。不登校生ですが、天才です」
「ちゃんと登校しているじゃないか。知らないのかい? ジャパンのギムキョーイクは授業を受けなくても卒業できる。定期テストでは全科目1位だから問題ないだろう?」
そう……なのだろうか……。わからないが、なんか間違っている気もするが……とにかく。
「はじめまして、五十嵐大樹です」
「よろしくダイキ。にしても……」
彼女は立ち上がり、俺の全身をじろじろ眺めている。立ったからわかったが、俺よりわずかにちっちゃい。小さいな……。
「ゴーカクだよダイキ。いい人材を見つけてきたね、ナナミ」
「でしょう? 彼なら最高の実験体になってくれるはずです」
なんか不穏な会話をしている……。でも最高の実験体って……まさか俺の中には強大な闇の力が眠っていたりするのか……!?
「俺の能力ってなに!?」
「能力? その日本語はよくわからないが、君にはすばらしい才能がある。それを覚醒させる研究を行っているのさ」
「才能!? 覚醒!?」
なにそれすごいかっこいい! 俺が期待を滲ませていると、ジョイルさんは言った。
「ズバリ、身長を伸ばす研究だ」
「入部します!」
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