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偽りの帝国騎士と白雪百合と白雪薔薇の巫女 ―リューティエスランカ帝国建国物語秘話―  作者: 陵 棗
第  章 フリードリヒと消えた白雪百合の行方(フリードリヒ編)

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第   話 グランツフェルト辺境伯令嬢の元婚約者とヒルデブラントの隠し子疑惑



 前話『ローミィと母、辺境伯令嬢との出会いと神殿奥院』の後書きで予告の次話『ヒルデブラントの隠し子疑惑とグランツフェルト辺境伯令嬢の元婚約者』ができましたので新規で投稿します。


 内容に併せてサブタイトルを『ヒルデブラントの隠し子疑惑とグランツフェルト辺境伯令嬢の元婚約者』から

『グランツフェルト辺境伯令嬢の元婚約者とヒルデブラントの隠し子疑惑』を変更します。



 例によってヒルデブラント編で書かれていない部分のネタバレ要素、というか……ほぼネタバレ。

 こちらの詳細は別途、ヒルデブラント編にて書く予定です。


 推敲はしましたが、書ききれていない部分があるかもしれないので改稿する可能性があります。


 



 ブラウシュタイン公爵令息でありブラウフェルト辺境伯でもあるアーロイス・ヒルデブラントは五日後に開催されるお披露目に招待者の一人として婚約者を伴い参加する方向で調整を行なっている。

 金鷲騎士団の職掌、第一皇子ヴィリバルト・フリードリヒの護衛を祝賀式典に参加しない同僚に任せ、ヒルデブラントは騎士団詰所から足を伸ばす。

 ヒルデブラントはつい癖で北離宮の庭園に寄っていた。散策路を歩き、花に目を移す。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ヒルデブラントは庭園を進む。

 ヒルデブラントの耳に人の言い争う声が聞こえてきた。しだいに大きくなっていく。

 ヒルデブラントの目には複数の女性が映る。


「あなた! いつまで私のヒルデブラント様の婚約者でいるつもりよ」

「そうよ。ズザンネ様のためにも今すぐにでも婚約を辞退なさい」


 大きな声を出していたのは仕立てたばかりの衣装を着た若い女性だ。おそらく今回のお披露目に呼ばれた令嬢だろう。


 ヒルデブラントは騒動を静観していた。動向を伺いつつ、移動していく。


「このようなところまで来るとはどういうおつもりですの?」

「ヒルデブラント様の婚約者、ズザンネ様を差し置いてお披露目にまで訪ねて来るなど、烏滸(おこ)がましいのではありませんか!」

「…………ヒルデブラント様?」

「そうですわ」

「どちらのヒルデブラント様ですか?」


 言い寄られている令嬢が聞き返していた。


「ヒルデブラント様と申しましたら、ヒルデブラント様ですわ」

「黒鷲のヒルデブラントの異名を持つ、ブラウンフェルト辺境伯令息のヒルデブラント様よ」


 数人の女性が聞くに堪えない罵詈雑言を飛ばす。

 言い寄られている令嬢がヒルデブラントの名に反応しているらしい。


 ヒルデブラントは言い寄られている令嬢がグランツフェルト辺境伯令嬢だと気づき、声をかける。


辺境伯令嬢フロイライン・マルクグレーフィン


 ヒルデブラントの声に振り返ったのはグランツフェルト辺境伯令嬢リヒャルダ・エルネスティーネだ。

 侍女と一緒にいる。


「ヒルデブラント様」

「ブラウフェルト辺境伯閣下」


 ヒルデブラントは改めて声に出す。


「グランツフェルト辺境伯令嬢。遅れて申し訳ない」

「ヒルデブラント様」


 現れた人物の名に驚いていたのはグランツフェルト辺境伯令嬢と二人だけではないようだ。


「……ブラウフェルト……辺境伯閣下?」

「ヒルデブラント様?」


 女性たちは顔を見合わせ、聞き返している。


「ブラウフェルト辺境伯閣下……?」


 ヒルデブラントは騒動を起こしていた女性たちを見据えた。


「黒鷲のヒルデブラント。帝国騎士の異名を引き出してまでそちらの令嬢の婚約者ブラウンフェルト辺境伯令息を持ち上げたいのは分かるが、騎士や帝国騎士の異名は栄誉だけではなく、面倒ごとも惹きつける」

「何を言われようと私たちは引きませんわ」

「異名絡みの騒動に巻き込まれないように気をつけるのだな」


 女性たちはヒルデブラントの忠告を無視し、話題を変える。


「閣下。差し出がましいようですが、ブラウンフェルト辺境伯令息の婚約者はこちらの伯爵令嬢ズザンネ様ですわ。そちらのグランツフェルト辺境伯令嬢ではありませんことよ」


 伯爵令嬢が一歩前に出て、強気に出た。


「私のヒルデブラント様に近づかないでください」

「いい加減にヒルデブラント様との婚約を破棄しなさい」


 ヒルデブラントは会話に割って入る。


「話の腰を折るようで申し訳ないが、グランツフェルト辺境伯令嬢リヒャルダ・エルネスティーネとブラウンフェルト辺境伯令息グスタフ・ヒルデブラント。両家の間で交わされていた二人の婚約はブラウンフェルト辺境伯家側の有責ですでに破棄されている」


 ヒルデブラントは辺境伯令嬢のために事実を告げた。


「婚約を破棄しなさい」


 伯爵令嬢と女性たちが言葉を止める。


「それは本当なの?」


 ヒルデブラントは仕方がなく続けた。


「二人が婚約していた事実は神殿の宣誓台だけではなく、宮内省の婚約記録からも抹消済みだ。勿論、婚約が破棄されたことには陛下にも奏上し、承認を得ている」


 ヒルデブラントは一呼吸置き、さらに続けていく。


「今後、グランツフェルト辺境伯令嬢がブラウンフェルト辺境伯家を訪ねることはない」


 伯爵令嬢は笑みを浮かべ、グランツフェルト辺境伯令嬢を凝視した。


「あら。ようやく婚約を破棄したのね」

「ズザンネ様、喜ばしいことですわ」


 女性たちは周りを放置し、歓喜に沸く。しばらくして伯爵令嬢がこちらを向いた。


「私がブラウンフェルト辺境伯令息の代わりとなる婚約者を紹介しましょうか?」


 ヒルデブラントは即座に返答する。


「間に合っている。グランツフェルト辺境伯令嬢リヒャルダ・エルネスティーネ。辺境伯令嬢の新たな婚約者もすでに決まっている。こちらも陛下に奏上してある。そちらの伯爵家からの紹介は無用だ」


「そういうことを申せず、こちらで紹介いたしますわ。そちらの令嬢にちょうど良い人物がおりますのよ」


 グランツフェルト辺境伯令嬢は伯爵令嬢を見据える。


「ブラウンフェルト辺境伯令息より良いお方に婚約者となっていただくことができましたので、紹介の件は辞退申し上げます」


 グランツフェルト辺境伯令嬢は意志を示し、続けた。


「ブラウンフェルト卿の新たな婚約者がどなたになろうと私には関係のないことです」


 グランツフェルト辺境伯令嬢はヒルデブラントを見上げる。

 ヒルデブラントは辺境伯令嬢を連れ、北離宮から神殿に近い庭園に移動していった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 神殿から迎賓棟に向け、馬車が出発する。

 伝令巫女が庭園に歩く人の姿を見つけ、馬車を停めた。

馬車から降りた伝令巫女はグランツフェルト辺境伯令嬢のもとに歩み寄る。


「グランツフェルト辺境伯令嬢。巫女長が辺境伯令嬢をお呼びです」


 グランツフェルト辺境伯令嬢は受けた。


「ただいま参ります」


伝令巫女はヒルデブラントに


「ブラウフェルト辺境伯閣下にも」



神殿に移動したヒルデブラントとグランツフェルト辺境伯令嬢は神殿に入った。



 神殿の禊場で(みそぎ)を終えたヒルデブラントは禊衣(けいい)のまま、廊下を歩いていた。禊場から神官棟に移動していく。

 廊下を行き交う神官補たちの一人がヒルデブラントの姿を見かけ、声をかける。


「閣下、ブラウフェルト辺境伯閣下」


 名を呼ばれたヒルデブラントは立ち止まる。


「何か用かな?」

「至急確認したいことがございます。閣下のお子様が神殿におられるそうです」


 ヒルデブラントはしばらく考え込み、言葉を選ぶ。


「いや、すまない。いまひとつ、話が見えないのだが…………」


 ヒルデブラントは困惑しつつ、神官補に目を向けた。

 神官補はヒルデブラントにもう一度、言葉にする。


「閣下。閣下のお子様がこちらにいらしているそうですよ」

「すまない。婚約者との婚姻は数年先の予定で、子どもに関してはさらに未定だ」

「…………閣下?」


 神官補もヒルデブラントの返答に言葉を止める。


「そういうことで私以外のお子様ではないかな」


 ヒルデブラントは事実を告げた。


「閣下、閣下のお子様ではないと?」

「私が金鷲騎士団の帝国騎士であることを忘れないでほしい」

「……閣下」

「お子様がいることは少なくとも数年前からエーヴァルトの勅令を守っていないことを意味する。すまないが、事実を確認してもらえるとありがたい」


 神官補はヒルデブラントの言葉の意味に気づき、姿勢を正す。


「畏まりました」


 神官補は(きびす)を返し、確認に向かった。

 ヒルデブラントは謂れのない疑いに困惑しつつも、神官補を待っている。


 しばらくすると神官補が息を切らせながら戻って来る。呼吸を整え、ヒルデブラントに声をかけた。


「閣下、誠に申し訳ありませんでした。閣下のお子様ではなく、フリードリヒ殿下の妹君とのことです」


 ヒルデブラントは安堵する。


「誤解であったのなら構わない。それで、その……、フリードリヒ殿下はそちらにいるのか?」

「いえ、殿下は慰霊塔(マーンマール)がある広場から神殿奥院に向かわれましてございます。それと閣下の婚約者であるモルゲンネーベル辺境伯令嬢も殿下と妹君に同行しているそうです」

「婚約者の居場所も併せての情報、ありがとう」

「それでは私は失礼いたします」


 神官補は一礼すると仕事に戻っていった。

 ヒルデブラントは禊場から神官棟を向かい、奥院を目指す。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ヒルデブラントはひとまず、慰霊塔に足を向けた。第一皇子フリードリヒが慰霊塔に寄り、奥院に向かったと聞いたためだ。


 ヒルデブラントは確認のため、フリードリヒの痕跡を探す。

 庭園を管理している園丁に声をかけた。

 フリードリヒが妹君と連れていたこと。ヒルデブラントの婚約者であるモルゲンネーベル辺境伯令嬢と侍女と一緒に奥院へと向かったことを改めて確認する。


 ヒルデブラントは園丁から花を一束もらい、慰霊塔に花を奉納した。その場でしばらく祈りを捧げる。


 ヒルデブラントはおもむろに立ち上がり、奥院へと歩き始めた。


 


 次話は現在作成中で、下記を予定しています。



▶第   話

『フリードリヒと神殿奥院』→『フリードリヒと神殿奥院の蜂蜜酒(ミート)

(新規作成/呼び出されたフリードリヒ/フリードリヒとヒルデブラントが神殿奥院で合流する予定です)





 話数に関しては割り込み追加している部分が確定しだい、あとで入れる予定です。


 書いていくうちに話数が増え長くなっていく怪が出没しており、思った以上に増えています(・・;)。

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