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偽りの帝国騎士と白雪百合と白雪薔薇の巫女 ―リューティエスランカ帝国建国物語秘話―  作者: 陵 棗
第  章 フリードリヒと消えた白雪百合の行方(フリードリヒ編)
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第   話 陛下の伝言は、有無を謂わさぬ呼び出し

 前話の『フリードリヒの行方』で予告の次話、サブタイトル『陛下の伝言は、有無を謂わさぬ呼び出し』ができましたので、投稿します。


 投稿にあたり、サブタイトルを下記のように変更しました。



【旧】

『陛下からの伝言(謁見予約)』

(陛下『黙って帰らず、挨拶ぐらいはせよ』)



【新】

『陛下の伝言は、有無を謂わさぬ呼び出し』



 サブタイトルは変更するかもしれません。


 第5話 通過儀礼と園丁

 ’20(R02)年12月19日 修正




 遠くから声が聞こえる。何度も呼ばれるので侍従長は振り返る。


「ビスマルク卿!」

「何かね?」


 宮務官は振り返った男性に驚き、慌てて返す。


「侍、侍従長? よ、呼び捨てしてしまい申し訳ありません」


 宮務官は侍従長に一礼する。


「ご令息のビスマルク卿は?」


 侍従長は息子が向かった先を示す。


「息子ならあちらの方に向かったぞ」

「ありがとうございます。それでは失礼します」


 侍従長は息子の部下である宮務官を見送った。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 しばらくして侍従長は再び、園丁に声をかける。話題は庭園に関してだ。


「なぁ、リヒャルト」


 侍従長は園丁を名前で呼び掛ける。


「侍従長?」


 名で呼ばれた園丁は驚き、声が上擦る。


「今年の庭園も百花繚乱のごとく、見事だな」


 リヒャルトも改めて仕事を止め、立ち上がる。


「侍従長、それはもちろんです。今年はお披露目の儀式がございますからね」

「そ、そうだな……」


 侍従長はしばらく沈黙して空を見上げる。


「そういえば、今年は招待客が多い。こちらもいつも以上に大忙しだよ」


 ビスマルクはため息を吐く。

 園丁は仲間内の情報を。


「ビスマルク卿。すでにご承知かと存じますが、今年は帝室公爵の五家が揃うとのことですよ」

「あぁ、そういう話を聞いている」



「五大公爵家のローゼンシュハウス・ヘルツォーク・タイン公爵家フォン・ローゼンシュタインブラウシュ(ハウス・ヘルツォーク)タイン公爵家・フォン・ブラウシュタインヴァイスシュ(ハウス・ヘルツォーク)タイン公爵家・フォン・ヴァイスシュタインシュヴァルツシュハウス・ヘルツォーク・フォンタイン公爵家・シュヴァルシュタイングリューネシュハウス・ヘルツォーク・フォンタイン公爵家・グリューネシュタイン。今回は五家の当主が揃うため、それを目当てに出席しようとする貴族も増えると思われます」


 侍従長はお披露目の儀式について考え込み、告げる。


「そうだな。増えるのはどちらかと云うと公爵家に売り込みたい貴族とも云うな」

「それにブラウシュタイン公爵家ではご令息のブラウフェルト辺境伯閣下がお迎えになる婚約者の辺境伯令嬢をお披露目するのではないかと云う噂も広まっています」


「この際、新たに迎える婚約者もお披露目してしまおうと云う話だそうだ」


 侍従長はブラウシュタイン公爵から聞いた話を伝えた。


「えぇ。それにロイ(ハウス・)ヒテンシュグロースヘルツォーク・タイン大公家フォン・ロイヒテンシュタインからも大公殿下が出席されるのではないかと囁かれております」


 侍従長は耳を疑う。


「リヒャルト。欠席者に名を連ねることが多い、あの大公殿下が、か?」

「そういう噂があります」

「まぁ、確かにそういう噂はこちらにも聞こえてはきている。だが、リヒャルト。あくまでも噂は噂だ」

「左様にございます…………」


 侍従長にとっては儀式に参加しようとしないロイヒテンシュタイン大公は悩みの種である。しばらく考え込み、ため息を吐く。


「ただ……。そうなると大公殿下関連の面倒ごとも増えそうだな」


 リヒャルトも沈黙し、告げる。


「なかには公爵家や大公殿家とお近づきになりたいと考える貴族もそういうことでお披露目を控えた令嬢だけではなく主だった貴族が揃うのでありませんか?」


 侍従長はリヒャルトに目を向ける。


「その話の多くはローゼンシュタイン公爵家の園丁筋からの情報か……」


 ビスマルクは忙しい理由を知り、納得した。


「左様にございます」


 リヒャルトは姿勢を正す。

 ビスマルクはふとある記憶が甦る。


「手入れは公爵家の園丁が行っていることになっているのだったな」

「はい。公爵閣下のご厚意で面倒をおかけしております」

「公爵家には伝えておこう」

「私どもはお披露目の招待客の目に留まらぬよう裏の通用門から退出する予定となっております」


 リヒャルトは一礼する。

 ビスマルクは伝言を思い出す。


「あぁ、忘れるところだった」

「何でしょう」

「陛下から卿に()()()を頼まれた」


 リヒャルトは驚き、侍従長に訊く。


「へ、陛下? ……私にですか?」

「あぁ。今回ぐらいは用事が終えてさっさと退出せず、少しは顔くらい出せと仰っておられたので伝えておくよ」

「ビスマルク卿。そちらはご勘弁を――」


 リヒャルトは慌てている。

 ビスマルクは思い出したようにさらに告げていく。


「あぁ、そうだ。もう一つ、巫女長や神官長も神殿の庭園に咲く花の礼を言いたいから、そちらにも顔くらい出して欲しいと仰っておられたぞ」

「……ビスマルク卿、それはご命令ですか」

「あぁ、命令だ」


 リヒャルトは拒否権がないことを知る。


「侍従を通じて謁見の日時と時刻を告げる。受け入れてくれるな――」


 ビスマルクはリヒャルトの肩に手を乗せ、念を押す。


「今日の出立はなしだ。頼む」



「侍従長。出かけている娘が戻らないと出立はできません。御意に従います――と、くれぐれもお伝えください」


 リヒャルトは降参した。


次話は下記のサブタイトルになる予定です。



▼第 話 

『フリードリヒと北離宮』

(作成中/第一皇子とローミィの行方)



▼第 話 

『フリードリヒと禊、そして通過儀礼』

(改稿中/ローミィをつれて神殿へ)





 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 話数に関しては話数が確定しだい入れます。


 話数が増える怪は神出鬼没で、思った以上に増えています。

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