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偽りの帝国騎士と白雪百合と白雪薔薇の巫女 ―リューティエスランカ帝国建国物語秘話―  作者: 陵 棗
第  章 フリードリヒと消えた白雪百合の行方(フリードリヒ編)
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第   話 フリードリヒの行方

 前話の『ローミィと白い花のお花畑と兄?』で予告の次話、サブタイトル『第一皇子フリードリヒの行方』ができましたので投稿します。



 投稿にあたり、サブタイトルを下記のように変更しました。



【旧】

『宮廷園丁と宮廷園丁長オーバーホーフガルテンマイスター



【新】

『第一皇子フリードリヒの行方』



 サブタイトルは変更するかもしれません。




 第4話 園丁の正体と第一皇子の所在

 ’20(R02)年12月19日 修正



 ローミィとフリッツを見送った園丁はその後も北離宮の庭園で仕事を続けていた。


 遠くの方からしだいに声が聞こえてくる。


「殿下――! 」

「フリードリヒ殿下――!!」


 揃いの服を着た第一皇子付宮務官が物々しい雰囲気を醸し出しやって来た。


「こちらの方でお見かけしたという報告だったがすでに場所を動かれたか……?」


 そのなかの一人が声を挙げる。


「殿下付宮務官長。このあたりを捜索してみます」

「頼む」


 殿下付宮務官長が数人の男性に指示を出していた。



 しばらくして男性が一人戻ってくる。


「ビスマルク卿、こちらの方向にはいらっしゃいませんでした」

「そうか……」


 各所に散らばっていた男性が戻って来ると同じ報告が続く。

 ビスマルクと呼ばれた男性が肩を落とす。


「どこにも殿下はいらっしゃないようだな……。困ったな」

「探していない別場所に移動していったのでしょうか?」

「おそらくそのようだ」


 男性が第一皇子付宮務官長に声をかける。


「宮務官長。我々は場所を変えて殿下を探しに行ってきます」

「頼んだぞ」


 数人侍従は侍従長に声をかけると第一皇子の行きそうな場所を確認しにいく。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 殿下付宮務官長は近くの庭園でフリードリヒを探しつつ、移動していた。

 そこには見知った人物がいる。


「父上?」

「あぁ、そこにいるのは息子か?」

「そうです」


 第一皇子付宮務官長の父親は侍従長だ。


「探していているのはフリードリヒ殿下か?」


「はい」

「殿下も陛下と同じように神出鬼没なところがあるから、そのうち姿を見せるのではないか?」

「そうですかね……」


「父上は?」

「私は北離宮で手入れをしている宮廷園丁に用事があってな」

「そうですか。私は殿下をもう少し探します」


「あぁ。こちらでフリードリヒ殿下を見かけたら、お前が探していたと告げておこう」

「よろしくお願いします。父上」


 第一皇子付宮務官長は父の侍従長に挨拶し、第一皇子フリードリヒを探しに向かった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 第一皇子付宮務官長のビスマルク卿と入れ替わるように姿を見せた侍従長ビスマルク宮中伯は、一人の宮廷園丁を探し、庭園を眺めていた。


 侍従長のビスマルクは暫くすると見知った顔した園丁がいることに気づき、近寄った。

 園丁に声をかけた。


「仕事中にすまない」


 声をかけられらた園丁は作業を止め、顔を上げた。


「何かご用にございますか? 侍従長」


 園丁は道具を置き、立ち上がった。

 ビスマルクは庭園に目を向け、言葉をかける。


「相変わらず、見事な腕前だな」

「ありがたき栄誉にございます」


 園丁は侍従長に向かい、一礼する。

 侍従長は改めて園丁を呼ぶ。


「宮廷園丁。いや、宮廷園丁頭オーバーホーフゲルトナーマイスター

「…………侍従長」


 しばらく沈黙した園丁はビスマルクを見据えた。


 静寂を破ったのは園丁だ。


「申し訳ありません。そちらの地位は何度も辞退、拝辞を申し出たはずにございます」


 ビスマルクは咳払いをした。


「貴殿が例の愚行――――。その直系一族に連なる血を引いていることは、陛下も承知の上での判断だ」


 ビスマルクは園丁を見据えた。


「ビスマルク卿。今もこうして帝都に赴き、こちらで問題なく仕事をしていることをよく思わない者たちもいることでしょう。その血を引いているからこそ高位の地位に関しては固辞し、辞退を申し出ているのです」


 ビスマルクは園丁の折れない意志でも譲らない。


「そなたは五大公爵家に仕える園丁や宮廷に仕えている園丁からも一目置かれているのだ。



 特に陛下もその腕前を認めている。類いまれなる技能を持つ貴殿を逃すはずもないだろう。陛下は技量にあった地位を用意した。それだけだ――――」


 侍従長ビスマルクは言い切った。

 園丁は宮廷園丁頭(その地位)を得たいとは思っていない。


「侍従長。私はお披露目の祝賀行事が始まる前には帰郷しようと思っております」

「本当に帰るのか?」

「えぇ、帰ります」


 園丁は侍従長に告げた。


「そうか……」

「はい。祝賀行事の邪魔をしないよう帰らせていただきます」


 沈黙が訪れる。




 園丁は思い出したように告げた。


「そういえば、何かをお探しでしたか?」

「あ、あぁ。そうだったな」


 ビスマルクは息子が人探しをしていたことを思い出す。


「すまないが、第一皇子であるフリードリヒ殿下のお姿を見なかったか」


 園丁は考え込む。


「フリードリヒ殿下ですか……」

「そうだ。お見かけしなかったか?」

「殿下は本日お見かけしておりませんし、こちらにもお出でになられておりませんよ」


 ビスマルクは行方の分からない皇子の所在を心配している。


「そうか……。まったく困ったものだ。しかし……、殿下の脱走癖はどなたに似たものなのだろう……」

「侍従長。間違いなく陛下だと思いますが……」


 侍従長は園丁から事実を告げられる。


「…………確かにそうだ……」


 侍従長はため息を吐く。

 第一皇子付宮務官長からすでに第一皇子が行きそうな場所はすべて捜索済みという話を聞いていた侍従長は空を見上げた。


「殿下はいったいどこにお出でなのだろうな……」

「…………分かりかねます」


 少し前に会っていたフリッツが、実は第一皇子(フリードリヒ)と同一人物だとは思いもしなかった。




 次話は下記のサブタイトルになる予定です。


▼第 話 


『陛下からの伝言(謁見予約)』

(作成中/陛下『黙って帰らず、挨拶ぐらいはせよ』)


▼第 話 

『フリードリヒと北離宮』

(作成中/第一皇子とローミィの行方)






 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 話数に関しては話数が確定しだい入れます。


 話数が増える怪は神出鬼没で、思った以上に増えています。

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