第 話 モルゲンネーベル辺境伯家と二人の令嬢
ヒルデブラント編として第二章になるグランツフェルト辺境伯家の事情を設けて割り込み追加中、第三章としてブラウンフェルト辺境伯家の事情(グランツフェルト辺境伯令嬢エルネスティーネの婚約者)を追加予定のため、話数が混乱しています。
現在、第24話となっている話数を上記により、空欄に変更します。
この『モルゲンネーベル辺境伯家と二人の令嬢』からヒルデブラント編になります。
本文を改稿する予定はありませんでしたが、本文に気になる部分がございましたので言い回しなどを見直し、修正追加を加えて本文を改稿をしました。
この改稿による大きな変更はありません。
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え~っと、第22話の『モルゲンネーベル辺境伯と二人の娘の婚約者』を投稿してから、こちらの話が先の方が良いのでは? と思ったのです(ー_ー;)
新たに第22話となる『モルゲンネーベル辺境伯家と二人の令嬢』を割り込みで投稿します(>_<)/~~。
今回の割り込みで第22話となっていた『モルゲンネーベル辺境伯と二人の娘の婚約者』は第24話となります。話数は直しました。
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ヒルデブラントと婚約者の話が長くなりそうなので章立てしていくか、別にタイトル起こしてそちらに投稿するかどうかで悩んでいますが、とりあえず…………このまま続けます(ー_ー;)。
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話数の抜けている第18話の『異名を持つ帝国騎士の訓練』は現在作成中です。今後、絡んでくる予定の帝国騎士を数名登場させるかどうか……で難航しております。
できあがりしだい第18話を割り込み投稿する予定ですので、話数はこのままになりますm(_ _)m。
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本文の言い回しなど直したい部分があり、追加修正して改稿しました。
帝国北東部に位置するモルゲンネーベル辺境伯領の領都はローテンブルクだ。
領都の中央部に辺境伯邸には位置している。
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モルゲンネーベル辺境伯邸。
先導する従僕が辺境伯邸を訪ね、辺境伯邸の使用人にゲルプタール伯爵の来訪を告げる。
従僕から伯爵来訪の知らせを受け取ったモルゲンネーベル辺境伯家の家令はゲルプタール伯爵の婚約者のモルゲンネーベル辺境伯令嬢アドルフィーネ付き侍女に伝達を行う。
侍女はゲルプタール伯爵の婚約者、辺境伯令嬢に声をかける。
「アドルフィーネお嬢様、婚約者のゲルプタール伯爵閣下がお出でになられるそうです」
アドルフィーネは驚く。
「え? オズヴァルト様が来るの?」
「はい。もうじき訪ねて来るそうです」
「もうじきって、まだ時間はあるかしら?」
アドルフィーネは動揺していく。
「お嬢様、どういたしましょう?」
アドルフィーネは立ち上がり、慌てて指示を出す。
「オ、オズヴァルト様にもらったクレイトに着替えるわ! 急いでちょうだい!」
「畏まりました」
侍女たちは衣装部屋からたくさんの衣装を持って来てはアドルフィーネに伺いをたてる。
アドルフィーネは気に入った衣装を選び、着替えた。侍女たちに軽く化粧を施してもらう。仕上げにお気に入りの首飾りと耳飾りを持って来させる。鏡を見ると婚約者を迎える準備を終えた。
アドルフィーネは婚約者の到着を玄関の間に続く控え室で待つ。
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ゲルプタール辺境伯家の従僕が到着してから、数時間後。
アドルフィーネの婚約者が乗った二頭立ての馬車が辺境伯邸の馬車止めの前に止まる。
御者が降り、車輪に輪止めを噛ませた。馬車の脇に立つと扉を開けた。
男性の従者がまず降りた。最後に金髪で長身の男性が降りてくる。
剣帯に装飾された剣を持つことから、騎士と分かる。
出迎えたのは家令だ。
「ゲルプタール伯爵閣下。いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
「婚約者のアドルフィーネはいるかい?」
「はい、お嬢様は伯爵閣下の来訪をお待ちしておりました」
侍女の案内でアドルフィーネが出てくる。声を出し、手を振った。
「オズヴァルト様」
ゲルプタール伯爵は玄関に出てきた婚約者に声をかけた。
「アドルフィーネ。会えるのを楽しみにしていたよ」
アドルフィーネと呼ばれた女性は婚約者を見上げる。小柄な姿に保護欲が沸く。腰まである長い金髪を彼女はまとめることなく下ろしたままだ。アドルフィーネが動くたびにゆらゆらと揺れる。
「オズヴァルト様、私もです。お待ちしておりました」
ゲルプタール伯爵はアドルフィーネを見つめる。
「俺が贈った衣装。さっそく着てくれたんだね」
「はい、オズヴァルト様がお越しになると聞き、侍女たちに言いつけました」
「とても似合っている」
「本当ですか?」
「あぁ、きれいだ」
アドルフィーネはゲルプタール伯爵の言葉に舞い上がる。
ゲルプタール伯爵はアドルフィーネに訊く。
「アドルフィーネ。今日は連れていきたい場所があるんだけど、少しだけ遠いんだ。大丈夫かな?」
アドルフィーネはゲルプタール伯爵を見上げ、笑顔で告げる。
「えぇ、問題ありません。大丈夫ですわ!」
ゲルプタール伯爵はアドルフィーネの言葉に驚く。
「本当に大丈夫かい?」
「はい!」
「辺境伯家の庭園を見せたくてね」
「ゲルプタール辺境伯家。オズヴァルト様のお屋敷ですよね」
「あぁ、そうだよ」
ゲルプタール伯爵はしばらく考え込み、さらに話を切り出す。
「君の姉君も誘って一緒に行こうと思うのだが、良いかい?」
「オズヴァルト様。それはダメですわ」
アドルフィーネはゲルプタール伯爵の言葉に動揺し、声を挙げる。
オズヴァルトは驚く。
「どうしてだい?」
「お姉さまと一緒じゃ、オズヴァルト様を独占できないわ」
アドルフィーネは必死に抵抗する。
困った侍女たちが姉のエルネスティーネとアドルフィーネの辺境伯第二夫人をそれぞれにつれてくる。
「オズヴァルトさん。ようこそ、お待ちしておりましたのよ」
辺境伯第二夫人はゲルプタール伯爵に声をかけ、娘にも声をかけた。
「アドルフィーネ、どうしたというの?」
「ママ、私とオズヴァルト様のお出かけにお姉さまがついてくるというの」
辺境伯第二夫人はエルネスティーネの姿に驚き、声を出す。
「エルネスティーネ。もちろん、あなたはここに残るのよね」
辺境伯第二夫人はエルネスティーネを凝視し、威圧する。
「えぇ、私は残ります。二人のお出かけを邪魔する訳には参りませんから」
「そんなことを言わずにアドルフィーネのためにもついてきてほしいんだよ」
ゲルプタール伯爵はエルネスティーネをつれていく気だ。
エルネスティーネは正面に目を向ける。
「ゲルプタール伯爵閣下。私の婚約者が訪ねてくるかもしれないのです。私が不在では私の婚約者に申し訳なく存じます。」
辺境伯第二夫人はエルネスティーネから言質を取る。
「オズヴァルトさん。申し訳ないけど、このようにエルネスティーネは残るそうです。私のアドルフィーネにご不満でもありますの?」
辺境伯第二夫人はゲルプタール伯爵を凝視する。
「そのようなことはありません」
「それでは婚約者でもないエルネスティーネを誘うのですか?」
「アドルフィーネも、私だけではさみしいのではないかと思いましてね……」
「アドルフィーネだけでは物足りないと言うの?」
「違います」
「それではアドルフィーネだけで良いですよね?」
辺境伯第二夫人はオズヴァルトを見据える。
ゲルプタール伯爵は言葉に詰まる。
エルネスティーネはアドルフィーネに訊く。
「アドルフィーネはゲルプタール伯爵閣下と二人で行きたいのでしょう?」
「そうですわ! お姉さまと一緒ではオズヴァルト様を一人占めできないからです」
エルネスティーネはアドルフィーネの背中を押す。
「アドルフィーネ。せっかくのお誘いですから、お二人で楽しんで来ると良いわ」
「もちろんですわ」
「アドルフィーネ、君だけ楽しんで良いのかい?」
ゲルプタール伯爵はもう一度、アドルフィーネを諭そうとした。
「オズヴァルト様。お姉さまにも婚約者がいるのです。お姉さまはその婚約者を待っているのですわ」
「会いにこない婚約者を待つのが楽しいのか?」
アドルフィーネの言葉に事実を思い出し、機嫌が悪くなるゲルプタール伯爵だ。
「はい、そろそろ私の婚約者から便りが着くのです」
「会いに来ない婚約者でもか?」
ゲルプタール伯爵の言葉には棘がある。
「閣下。いけませんか?」
エルネスティーネは伯爵を見据え、引かない。
「ヒルデブラント様からお手紙と贈り物は届きます。いつか……会いに来てくれると思います。私はその手紙を受け取るためにも出かけることはできません」
エルネスティーネは言い切る。
アドルフィーネはエルネスティーネを凝視していた。
「お姉さま。ムリしないでね」
「アドルフィーネ、ムリしていないわ」
エルネスティーネはアドルフィーネに声をかける。
「アドルフィーネ。|ゲルプタール伯爵閣下とお二人で行ってらっしゃい」
「もちろん行くわ」
ゲルプタール伯爵は二人の言葉に沈黙していた。
アドルフィーネと辺境伯第二夫人は安堵する。
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家令は玄関前の話し声と騒ぎに気づき、姿を見せていた。それをしばらく観察し、アドルフィーネ付侍女と辺境伯第二夫人付侍女に急いで指示を出していた。
家令は準備が整うと辺境伯第二夫人に声をかける。
「奥様。ゲルプタール伯爵閣下とアドルフィーネ様のお出かけに、アドルフィーネお嬢様の後見人として一緒にお出かけになられてはどうでしょう?」
辺境伯第二夫人とアドルフィーネ、ゲルプタール伯爵の三人は驚く。
「閣下はアドルフィーネ様を伴われて、辺境伯領から少し離れた場所までお出かけになられたいとのことでしたよね?」
「あぁ、友人から景色のきれいな場所があると勧められてね。そこに出掛けたいと思っているよ」
「当家の奥様が後見人であれば、お嬢様に悪い噂がたつのを防げるのではありませんか?」
ゲルプタール伯爵は考え込む。
家令はゲルプタール伯爵に助言する。
「閣下。アドルフィーネお嬢様に辺境伯第二夫人という後見人がいれば、お出かけ先で遅くなり宿泊滞在となったとしても大丈夫です。奥様という強力な保護者がおいでになりますし、当家としても奥様が同伴してくだされば、アドルフィーネお嬢様を安心して送り出すことができます」
「そうか。それもそうか…………」
ゲルプタール伯爵は納得していく。
家令は今度は辺境伯第二夫人を諭していく。
「奥様。アドルフィーネ様と一緒にお出かけになられてはどうでしょうか。未来の旦那様を間近にご覧になられる機会でもありますよ」
第二夫人は娘の婚約者であるゲルプタール伯爵を眺め、まんざらでもない様子だ。
「娘のためにということかしら?」
「はい。奥様とアドルフィーネお嬢様の二人であれば、エルネスティーネお嬢様の心配をする必要性は消えます。お出かけ先でアドルフィーネお嬢様に悪い虫がつかないように監視もできます。この機会を有効にお使いください」
「それも……そうよね。オズヴァルトさん。私も一緒でも良いわよね?」
「もちろんです」
ゲルプタール伯爵は連れていく人物が予定していたエルネスティーネではなく辺境伯第二夫人に変わったが、とりあえず行き先を変えることはない。
「それでは閣下。アドルフィーネ様と奥様をお願いします」
「あぁ、任せてくれ! アドルフィーネの母君が一緒なら、案内する場所でもさみしくならないだろう」
辺境伯第二夫人付き侍女とアドルフィーネ付き侍女たちが荷物を整え、玄関に運んでくる。
「奥様、アドルフィーネお嬢様。お出かけの準備ができました」
アドルフィーネは喜び、辺境伯第二夫人は驚く。
「あら、準備万端ね」
「奥様の荷物もあります。お出かけには数人の侍女もお連れください」
ゲルプタール伯爵は増える人員に頭を悩ませる。
「あぁ、分かった」
「差し出がましいようですが、当家からも馬車をお出しましょう。侍女たちはその馬車にお連れください」
「ありがたい」
「日程は気にせず、ごゆっくりお楽しみください」
「あぁ、ありがとう。定期の便りは出そう」
「よろしくお願いいたします」
ゲルプタール伯爵は家令に声をかける。
「そういえば、辺境伯第二夫人までつれていっても大丈夫なのかい?」
「えぇ、大丈夫です。閣下より、アドルフィーネお嬢様をお一人で遠出させるなら、辺境伯第二夫人を後見人としてつけるようにと以前より仰せつかっております」
家令は言い切った。
「辺境伯閣下が申し出てくれていたのか?」
「さようにございます」
「私も安心して出かけることをができます。閣下に心遣い、誠にありがとうございましたとお伝えくください」
「承知いたしました」
伯爵の従僕と辺境伯家の従僕はゲルプタール辺境伯家の馬車に二人分の荷物を乗せた。
侍女たちも馬車に乗り込み、出発を待つ。
御者は馬車の扉を開ける。
辺境伯第二夫人とアドルフィーネが乗り込み、続けてゲルプタール伯爵が馬車に入る。
御者は扉を閉めた。御者席に乗り、手綱を操ると馬車を走らせていった。
残されたエルネスティーネは三人の乗った馬車を見送る。
次は投稿済みです……(>_<)/~~。
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『第23話 モルゲンネーベル辺境伯令嬢エルネスティーネと会いに来ない婚約者』
(婚約者に会いに行こう)
『第24話モルゲンネーベル辺境伯と二人の娘の婚約者』(投稿済み)
『第25話 ヒューレンベルク宮中伯と巻き込まれた総秩寮長のぼやき(侍従長に持ち込まれた絵姿釣書の行方と宮内官の苦悩)』
(宮内官たちがそろそろ愚痴らせろと告げています……)
『第26話 ブランデンフェルト辺境伯の狙い』
(絵姿釣書の返事待ち……)
『第27話 モルゲンネーベル辺境伯と第一夫人』
(辺境伯の後継者は?)
『第28話 ヒルデブラントと婚約者への手紙』
(返事の来ない手紙は……/サブタイトルは変えるかも)
『第29話 第二皇子、ハインリヒの憂鬱』(追加/この際、名前の出ていた弟君の一人にも登場して貰おうと……)(゜o゜)\(-_-)。
の予定です。
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相変わらず話数の増える怪は続いており、話数とサブタイトルが翻弄されております。
話数とサブタイトルはあくまでも目安として考えていただけると幸いにございますm(_ _)m。
 




