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置いてかないでよ
「やっほー久しぶりー」
彼らしい入り方だ。何も考えていないような
ふわふわとした入り。それでも本人は色々考えて、悩んでる。
「まあ、これ読んでる時俺は死んでるけどな笑」
分かってるよ。さっきあなたのお葬式に行ったもの。
「なんかさ、未練みたいなのあってこのまま死んだら悪霊にでもなりそうだから言っとくわ」
そっかあなたにも未練があったんだね。私にもあったよ。その想いはあなたに伝えることは出来なかったけど。
「大好きだった。楽しかったし、誰よりお前が大切だった。」
私だってそうだ。あなたが大切で大切で仕方なかった。
「もう会うことはないけど、来世にでも会おうぜ
さよならだ。」
待ってよ。どうして置いて行くの。どうして何も言ってくれなかったの。最期くらい私を頼ってよ。
置いてかないでよ。
膨張した感情は、虚無感を飲み込み、涙と嗚咽という形で私の中から溢れ出した。