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少し変わっただけ  作者: 涼夜 雪
3/8

すこし変わっただけ

木魚と鐘の音が鳴り響く。

ずっとずっと広がっている線香の香り、

鳴り響く念仏を、いかにもな僧侶が唱え続ける。

そこの前にあるのは、おそらく彼であっただろう物の入った棺桶と、黒く縁取られた入れ物の中で、

昔の、私のよく知る彼が笑顔でこちらを見ていた。

彼の両親とは、交流がありこうして葬式に出向いたものの、笑顔が素敵だったおばさんは涙に顔を歪め、物静かだったおじさんは、涙を堪えているのか眉間に皺がよっている。

「この度は、ご愁傷さまです。」

社交辞令を述べ、焼香を行う。

私は、あの時からおかしくなってしまった。

悲しみをもう感じないのだ。

前までは、少しの事で一喜一憂出来た。

それなのに今は、なにがあろうと何も感じない。

ただただ虚無なのだ。

それを認識した時笑いがとまらなかった。

自分がおかしくて、それでもこの悲しみを感じない事が嬉しくて、嬉しくて

世間的には、おかしくなったというのだろう。

それでも私の中では、おかしくなっていない。

そう、

少し変わっただけなのだ。

私の人生の数ページが、

少し変わっただけなのだ。

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