表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏休みの思い出は平安で  作者: 震電みひろ
62/68

62、逃走

俺はベレッタを向けた。

柴崎が叫ぶ。

「よせ!ミズハだ!」


ミズハが1頭の馬を引き連れて、こっちに駆けてくる。

俺達の前で停まった。

「乗って!!牛人と兵隊が追いかけてくる!」

ミズハの後ろに宇田川、柴崎と吉岡が馬に乗る。

俺は言った。

「俺と柴崎が乗ってきた馬が、このすぐ先にある。俺はそこに走っていく。みんなもそこに行って海月の事を見てから先に行ってくれ!俺もそんなに遅れないはずだ」

柴崎たちはうなずいて馬を走らせた。


俺は川の方に戻り、高くなっている場所から様子を見てみる。

なるほどミズハの言った通り、正面から牛人と神主が乗った舟、川上と川下から兵士が乗った舟が追いかけてきている。

おおよそ20人はいるだろう。

俺は踵を帰して、最初に馬をつないだ所に走った。

茂みを抜ければすぐだ!


みんな待っていた。

海月までだ!

俺は怒鳴る。

「先に行けって言ったろ!」

柴崎が怒鳴り返す。

「彼女がイヤだって言うんだ。仕方ねえだろ。オマエもすぐに来ると思ったし。」


俺は馬にまたがる。

海月も俺の後ろに飛び乗った。

これでミズハと宇田川、柴崎と吉岡、俺と海月と、3頭の馬に乗ることになった。

突風で海月の編笠が飛んだ。

その時だ。

近くで見ていた農婦がわめいた。

「巫女様だ!生贄の巫女様だ!川に沈んだはずの巫女様がここにいる!こいつらが連れだそうとしているんだ!だれか、ここに巫女様がいるよ!!」

回りに散っていた村人達がどよめきだした。


マズイ。

俺達は馬を飛ばした。

早くゴムボートの所へ行かないと。

村人達が俺達の行く手を遮ろうとする。

柴崎が叫んだ!

「どけぇ!百姓ども!どかねぇと踏み潰すそ!!」

俺達は前をふさぐ人をかわしながら走る。

追っ手はもう川の方から、俺達に向かって走り始めている。


その時、吉岡が叫んだ!

「ちくしょう!無線機が使えない!!」

「何でだ?」

と宇田川が聞き返した。

「わからない。でもウンともスンとも言わねえんだ」

どうしてこうツイてないのだろう。

せっかく途中までうまくいっていたのに。

しかし後半は全て裏目に出ている。


「仕方ない。ともかくゴムボートの所に急ごう!ヤツラはすぐそこまで来ている。」

俺はそう言うと馬を急がせた。

ゴムボートのある最終脱出ポイントは、そんなに遠くはない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ