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夏休みの思い出は平安で  作者: 震電みひろ
55/68

55、計画

「何かあったのか?」

あまりに俺達の到着が遅いので、吉岡は心配していたらしい。

簡単に事情を話す。

吉岡もその話のヒドさに怒っていた。

「準備の方は?」

宇田川が聞くと

「ああ、ホースもケミカルライトもロープも用意した。後はこれを張って水中に沈めるだけだ。それから宮元の体があまり浮いて来ないように、スキューバのバラストも持ってきた。手頃な浮き袋が無かったから、ホースの先には発砲スチロールを着けるつもりだ」と答える。

ライトは10時間程度持つはずだから、昼過ぎに人目を盗んでロープを沈めることにする。

「本当はスキューバがあればな」

と宇田川が言った。俺は

「スキューバじゃ気泡で余計目立つ上、隠れながら1人じゃ用意できない。ホースで十分だよ。別に川の流れは急じゃないし、水面も荒れてないから」

と答える。

さらに宇田川は

「水深2Mを越えると、水圧でホースでは息を吐く事はできても吸う事は簡単じゃない。それを頭に入れておけよ」

と忠告してくれた。

そこで吉岡が

「俺は考えていたんだが、ホースの先に発砲スチロールを付けて、さらに草の大きな塊でカモフラージュするって言うのはどうだ?大きめに作っておけば、その下に人が2人くらい隠れられるだろう」

それはいいアイディアだ。全員が賛同する。


そこに夢丸がやってきた。

「海月の事はもう大丈夫だ。アンタらにやられて神主は脅えきっているらしい。普通なら俺達の護衛など無用と言うのだが、今日は神主から是非にと頼んで来たらしい。もっとも怪我のため神主は出てこなかったがな」

と言った。

夢丸の意見も聞く。彼は

「俺の手下も多くが龍神祭りに参加するからあまり手助けにはならないが、祭りに紛れて様子を伺うのは俺も手伝うよ。その後、宮元殿が川から用水路に入る場所は、常陸の国側から見張ってよう。何かあったら援護する。宇田川殿の逃走用の舟は手下に見張らせよう」

と言ってくれた。


ミズハは常に海月の様子を、陰ながら見張っていてもらう。

何かあったら柴崎か宇田川に知らせる。


柴崎が

「もしもの時の変更プランも考えておこうぜ」

と言いだした。

「おまえにしては慎重だな」

宇田川がそう揶揄すると

「俺は元々知性派なんだよ」

と笑いながら言う。だが真顔になると

「俺と吉岡がトランシーバーを持っているから、宮元が失敗したら連絡して、ヘリで2人を救出する。吉岡と宇田川は逆に内陸の神社側に逃げるんだ。俺は入水地点で全体の様子を探っているよ。第一プランでは救出ポイントは手下浦だが、第二プランでは巫女の入水地点と神社の前にしよう。その頃には神社は逆に人がいないはずだからな」

と言った。

みんなうなずく。

宇田川の提案で、目晦まし用に火炎ビンも作る事にする。

その夜のうちにカモフラージュ用の浮き草、それに着けるホース、ロープにケミカルライトを結びつけるなどの準備をしておく。

後は運を天に任せるのみだ。

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