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夏休みの思い出は平安で  作者: 震電みひろ
52/68

52、祭りの前夜(その4)龍神神社への潜入

【前回までのあらすじ】

主人公の高校2年生・宮元駿馬は、同級生の柴崎、宇田川、吉岡と一緒に「今までにない画期的なリゾート」に招待された。

だがそこは、大企業がタイムマシンを開発し、平安時代に作ったリゾート地だった。


そこで出会った白拍子の少女・海月に一目惚れした宮元は、彼女が2週間後に行われる「龍神祭り」で、生贄として利根川に静められる運命であることを知る。


海月を救うため、リゾート地を脱走して坂東に向かう宮元達4人。

途中で坂東を支配する平将門と出会うが、彼の出す試練をクリアし、将門の信頼を得ることが出来た。


龍神祭りの前日、海月の故郷の里を訪ねるが、既に龍神神社の神主が連れ去ったと言う。

生贄の娘は、祭りの前夜を神主と過ごさねばならないと言う。


怒りに燃えた宮元達4人は、海月を神主の毒牙から救い出すため、龍神神社に向かった。

俺達は龍神神社に着いた。

筑波の山麓の神社と違って前にも述べたとおり、防御もしっかりしてある。

その割に門番は2人と少ない。

祭りの時期に、ここを襲う者はいないのだろう。


正面突破を考えていると、ミズハがやってきた。

「ここの裏手の方に高い木があって、そこの枝から敷地内に入れるよ」

さっそく行ってみる。

確かに大きな木があり、その太い枝が神社内に侵入していた。

俺達はさっそくその木をよじ登る。

枝から塀の上に降りる。


みんなすぐに飛び降りようとしたが、俺は「待て!」と言い、先にリュックを落としてみる。

それからそのリュックが落ちた所に飛び降り、まわりの安全を確かめた。

みんなに言う。

「いいぞ」

みんな飛び降りてきた。

柴崎が聞いた。

「何したんだ?」

「ワナが無いか確かめたんだ」

「気にしすぎじゃねぇか?」

ミズハは笑っていた。

彼女には、俺の行動の意味がわかるのだ。


神社内の森の中を走る。

突然、俺は足を止めた。

宇田川が聞く。

「今度は何だ?」

俺は茂みの中のツル草を指差して言った。

「鳴子が張ってある」

みんなが驚いて、俺が言ったツル草を良く見てみる。

雑木に引っ掛けて鳴子が仕掛けてあった。

柴崎が

「すげえ、おまえ、ランボーになれるよ。おまえ、あの筑波山行きから変わったな」

と感心したようにつぶやいた。


確かにその通りだ。

自分で言うのも何だが、俺はこの数日で戦士として著しく成長していた。

しかしミズハだけは面白そうに笑いを堪えている。

彼女にしてみればこれが当たり前で、現代人の注意力の無さの方が驚きなのだろう。


やがて神社の社に着いた。

だが社は大きい上に幾つもある。

どれだか迷っていると、柴崎が建物を指差しながら言った。

「一番前の拝殿じゃない。それから両脇の社も違うだろう。拝殿から壁で仕切られた後ろの本殿か、その奥にある社、または宝物殿などのあまり人が来ない所だ」

俺が本殿、柴崎がその横の社、宇田川が宝物殿を見てみる。

ミズハは他に建物がないか見て回った。


本殿にはいない。

横の柴崎も手を振っている。

宇田川の宝物殿もいないらしい。

ふと見ると本殿から奥の林の少し離れた所に、小さなお堂が建っている。

ここからしか森の陰になっていて見えない。

そこに違いない。

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