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夏休みの思い出は平安で  作者: 震電みひろ
36/68

36、筑波山の戦い(その3)

もう敵が襲ってこない事を祈りつつ、森の中を歩いた。

前とは違って右手にベレッタ、左手に盾を持っている。

周囲を警戒しながら歩く。

いきなりだった。背後から何かが飛び掛かってきた。

何か被った男だ。

まさか森に入ってすぐには襲って来ないだろうと考えていたが、予想は外れた。

しかし油断は一切していなかったはずだ。

いったいどこから?

瞬間的にベレッタを男の腹部めがけて撃つ。

男は後ろにふき飛んだ。

次の瞬間、またもや背後(つまり進行方向)から男が襲ってきた。

ベレッタを向けるのが間に会わない。

盾を思い切り振ってその男にぶつけた。

だが男はそのまま俺の方に突っ込んできた。

俺は自分から転がり、男に足払いを掛ける。

男は藪の中に頭から突っ込んだ。

倒れた体勢のまま、男の腹部にベレッタの9MM弾をお見舞いする。

その時、目の前の地面が薮ごと盛り上がった。

驚いて見ると、その中から同じように何かを被った人間の顔が出てきた。

俺はその顔にもベレッタを向けると、引き金を絞った。

だが敵も目の前に俺が倒れているとは思わなかったらしく、すぐに引っ込んだので弾は外れた。

これでわかった。

敵はモグラのように地下にトンネルを掘っているのだ。

そして木や草むらの影から様子を伺い、相手の隙を見つけた時に襲ってくるのだろう。

2番目の男が起き上がった。

腹を押さえているが目は闘志満々だ。

たいしたケガにはならなかったらしい。

男は何かを構えた。刀というより特殊なナイフのようだ。

恐れ入ったのは、ナイフにも光を反射しないように泥を塗って迷彩してある。

男が迫ってくる。

だが何かスローモーな気がした。

予感がして後ろを振り向いてみる。

背後には槍を持った男が、俺を刺し殺そうと狙っていた。

俺は槍を持った男めがけて引き金を絞り、結果を見ずに向き直って最初の男の腹部を撃った。

男は倒れた。

どうやらこいつらは2人1組で近距離から敵を攻撃するらしい。

男が被っているのは草を編んだもので、それに木や草や笹などでカモフラージュしている。

盾を拾い、用心しながら歩く。

すると今度は、一群の草が周囲と揺れが違うのがわかった。

男が飛び出してくる。

だがこいつはオトリだ。

後ろを振り返ると、やはり短い槍を持って突っ込んで来る男がいた。

そいつの胸のド真ん中に9MM弾を打ち込むと、正面のヤツを狙って引き金を引いた。

カチッ。

しまった!不発弾だ!

そう思うより早く敵が突っ込んできた。

俺は左胸の脇に冷たいような何かを感じながら、敵と組み合ったまま藪に転がりこんだ。

もつれながらも敵は素早くナイフの2撃目を、俺のノドに振るおうとしていた。

辛うじて左手で相手の右手首を押さえると、反動を付けて左へ起き上がる。

同時にベレッタのグリップ部を、相手のこめかみに叩きつけた。

勢いよく相手はふっとんだ。

おかしい。俺は疑問に思った。

確かにこの時代の人間は小柄で、男でも身長160cmくらいだが、それでも簡単にふっ飛び過ぎる。

周囲を見回すが他に敵はいない。

まだ頭を押さえている相手に近寄り、ナイフを取り上げると被っている物を取った。

女だ。

それもまだ俺と同じくらいの年の!

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