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吉姫様の戦国サバイバル ベータ版  作者: 夢想する人
第二章 裳着の年 (天文十五年1546)
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第二十一話 姫ということ

姫とは何か。そういうことを考えます。

『姫ということ』



私は裳着からこっち、大人の仲間入りをした嬉しさから、色んなことをやってきたが、はたと気がついたのだ。


私はいずれ嫁に行く日が来る。

独身を通す人も居るが、私は弾正忠家の長女なので、独身を通すことは勿論、余程の何かがなければ、出家するなんてことも多分無理だろう。

それに私自身、結婚はしたいし、子供だって産みたい。


前世では、結局どちらも叶わなかったから余計にそう思う。


私の希望としては、家中の人間に嫁げればと思っている。それならば、尾張から離れることもなければ、肉親も知り合いも居ない地で孤立無援に一人暮らすこともない。


この時代は、一度他家に嫁に行けば、里帰りなど簡単には出来ないのだ。

勿論、家臣の妻とかに収まれば、話は別だが…。


現時点で、いちばん身近なのは柴田権六殿と佐久間半介殿であるが、どちらも家柄的に重臣とも言えず、今はまだ身分的に私を妻に迎えるなんて無理だろうし、そもそも二人は私の事をどう思ってるのかも判らない。


暇そうによくお供についてくるというのも、よくよく考えればおかしな話で。

この時代、好意があるからと主君の娘に同行したり出来るのだろうか?


そう考えれば、父に頼まれたと考えるのがより合理的なのではないか。

勿論、イケメンな細マッチョをお供に出かけるなんて、私からすればご褒美ではあるが…。


権六殿はいずれ戦で活躍し父の重臣となる。

そうなれば、未だ正室の居ない権六殿を一門に引き入れようと考えるかもしれないし、そのように口添えすることだって出来るだろう。


また、半介殿もいずれ活躍し、史実でも重臣になったが、今の時点ではそこまでは聞かないから恐らく無いとは思うが、退き佐久間は伊達では無いから、チャンスが有れば武功を立ててあっという間という可能性も勿論ある。

退き戦が上手いと言うことは、それだけ前線指揮に抜群のセンスと嗅覚があるということだから。


そして、身近といえば今は側仕えをしている滝川殿。この御仁はよくわからない。

仕事はきっちりやるし、頭も結構いいはず。しかし、どうにも未だ家中に馴染めているという感じがしない。

史実の滝川一益その人ならば得難い人材で、この時期の参入の影響は分からないが、頭角を現してくる可能性もあるのだけど。


閑話休題、家臣の妻に収まるというのは、あくまで私の願望にすぎない。


父の代は兎も角、いずれ父は隠居し、近々元服を果たす勘十郎に家督相続される。

そうなった時に、先日の勘十郎を見ていると、私が尾張に居られるなんてことは考えられない気がする。


政略結婚だと称して、今川や武田辺りの側室に人質同然に送り込まれることだってあるだろう。そうなれば、今ある領地だって横領されない保証なんてまるで無いし、寧ろ横領されると考えたほうが良いのではないか。


そう考えれば、あまりにも大掛かりな事をあの領地でやるよりは、比較的短期で稼げることをやったほうが良いような気がする。

例えば、石鹸とか。


時間の掛かる養蜂とか養蚕とか、或いは硝石とかはやめておいた方がいいのではないか。

特に、仮に父の代に近隣国に嫁に行ったとして、代替わりで敵国になって、その硝石で作られた火薬の詰まった鉄砲で撃たれてはたまったものではない。


例えば史実通り、斎藤と和議を結んで斎藤に嫁いだとして、父からの代替わりで勘十郎が斎藤との和議を反故にしない保証はない。そうなれば、織田家が敵となる。


私は正直、勘十郎の治める織田に戻るくらいなら出家したほうがマシな気がしている。

そう思えるくらい、この前あった勘十郎の印象は最悪だった。



ならば、信用できる兄上を支援するのも手だろう。何か困ったことがあれば助けてもらえるかもしれないし、勘十郎が家督相続後無体なことすれば独立するかもしれない。


今後尾張を取り巻く情勢がどう変わるか判らないが、尾張に残るならば、嫡男たる勘十郎でも私に手出し出来ぬ様、織田家の一族や家臣らに私がそれなりに認められた存在になっておく必要があるのかも知れない。


あまりに勘十郎が酷いようなら廃嫡の声が出るくらいであれば、尚良いだろう。


織田家には優秀な兄が居る。庶兄だからといって、父の血を継いでいることには変わりがないのだから、弾正忠家を継いだって問題ないはずだ。


そのためにも、第三次安祥合戦は絶対に勝ってもらわねばならないし、今川と黒衣の宰相を散々に打ち負かす位の勝利を収めて欲しい。


私が生き残るために…。



そう、この作品のタイトルは戦国サバイバルなのです。

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