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吉姫様の戦国サバイバル ベータ版  作者: 夢想する人
第二章 裳着の年 (天文十五年1546)
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第二十話 領地運営はじめました

吉姫は領地に行ったり色々作ったりしてるようです。





『領地運営事始め』



さて、何をするにも先立つものが必要。

お金を稼がなければ、父上におねだりするしかなくなってしまいます。


領地を貰ったのにそれでは流石に格好が悪いので、領民に頑張ってもらいます。


まずは石鹸かなあ、後は時間が掛かるだろうけど、養蜂と養蚕かなあ。

どちらも段階を踏まないと難しいし、結果が出るのは年単位。

他には、綿花は既に兄に頼んであるが、こちらも畑作りから始めなければならない。


後は硝石と、養鶏。養鶏はすぐにでも始めたいな。


色々するには、先立つものが必要なので、手っ取り早く稼げるもので。


塩田は流水式以外は人手が掛かり過ぎてダメ。流水式は連続稼動可能なポンプが要る。

連続稼動可能なポンプというと、平成でも使われてるスクリュー式かアルキメディアン・スクリューのどっちかは必要。動力は川から取れないと人力になってしまう。


スクリュー式は技術的に可能なのかどうか判らない、アルキメディアン・スクリューは大工仕事で作れるはずだけど、どうなんだろうか。

あと、塩田は商業ベースに乗せようとすると、かなりの面積が必要。流水式は他のやつに比べると未だマシだけど、それでも面積が要る。


だから、とりあえずは石鹸の試作から。


いつものメンバーで、領地へ向かうと、まずは鍛冶屋さんと大工さんを呼ぶ。


鍛冶屋さんに、備中鍬とスコップの図面を渡し試作を依頼。


大工さんには、梃子を使った圧搾機の設計図を渡して見てもらう。

大掛かりなものは専用の建物ごと作らないとダメかもしれないが、作れるとのこと。

これがあれば油などの搾り出しが出来るから石鹸作りへの道が拓ける。

本当は、ネジ式圧搾機の方が場所取らなくて良いのだけど。


後は水車小屋が欲しいけど、ちょっと直ぐには無理そうかなあ…。


乙名に焼酎を手土産に圧搾機の設置の話と、新しいモノづくりの話しをする。

それと、新しい農作物を作るための畑を作りたいから、人選を任せる。


乙名は今の村の営みに影響が出て食えなくなったら、面倒見てもらいますよ。みたいな脅しを掛けてくるので、農作業などが楽になる様なことも考えてるから問題ないし、今の村での畑作や漁などの邪魔をして年貢が減って困るのはこっちだからそんな事はしない。

と話をすると、乙名はならいいのですが、と不安げな様子。


とりあえず、乙名の機嫌を損ねても良いことは無いので、油を搾るのに使うという圧搾機の用途を説明し、作業は村の人に頼むのだから、良さそうな場所を選んで設置しておいて欲しいという依頼をしておいた。


乙名と大工曰く、建屋から作る必要があるから、何ヶ月か時間が掛かるとの事で、村での仕事に大きく影響しないように、人を使って作って欲しいと頼んでおいた。


鍛冶屋に頼んだものはどのくらいで出来るかと聞くと、五日もあれば十分出来るとのことだったので、また完成した頃に来ると話し、村を後にした。





『弓づくりを依頼する』



牛さんが弓師を連れて屋敷にやってきた。

弓師は二十代前半位の人で思ってたより若かった。


弓師はこの度はお声掛け頂きまして感謝いたします。太田殿からお噂はかねがね。と、挨拶し、にっこり。


どんな噂なのだろうと、不安になるが、わざわざ足を運んでくれてありがとう。と、挨拶を返す。


牛さん曰く、若いけど腕は良いらしい。


弓師は弾正忠の家でも仕事を頼んでて、武家はお得意様と言える間柄。


武士の中には、自分で弓を作る人も居るらしく、牛さんも自作できるらしい…。が、結構な割合の弓を弓師が手がけている。


ちなみに、弓師自体も武家の人が多く、合戦に出ることもままあるとか。

現地で弓のメンテナンスを頼まれたり、弓衆として合戦で武功を立てることもあるとかで、先日の美濃攻めの時も牛さんと行ってたらしい。


そんな話をひとしきり終えたところで、仕事の話に入る。


頼みたいのはこれを作って欲しいの。と、事前に用意しておいた図面と部品を見せた。


ちなみに、全部ハンドメイドの木工品で、図面を引いてちまちま木を削って作った。


弓師は図面を見ると暫し絶句し、部品を手に取るとしげしげと眺め、そして私の顔をジイっと見た。

どうなの、作れるの?と思わず言いそうになるが、そこは我慢。


更に、弓師は牛さんの顔を見る。牛さんはいつものニコニコ顔を見せながら何も言わず、せっせと帳面にメモ書きをしている。


弓師はまた私の顔を見ると、ふーむ。と溜息を付くと、また図面をみて考え込む。

私は、女中さんを呼ぶと焼酎を持ってこさせ、二人に喉が渇いたでしょう。と差し出す。

既に飲んだことがある牛さんは、おっ、これはどうも済みませんね。と上機嫌になる。

弓師は水でも出てきたのかと思ったのか、クイッと煽り、いつものリアクション。


それを見た牛さんが笑いだし、弓師が困った顔をして、わかりました。

このようなものは作ったことが無いので、うまく作れるかわかりませんが、とにかく、図面を参考に作ってみますよ。


大きさは、これに書かれた大きさでよろしいので?と聞いてくる。

和弓はデカイからね。


私は、この図面通りでお願いします。と改めて頼んだ。


弓師は、承った。では、完成したらまたお持ちします。と言い、ニコニコして筆を走らせてる牛さんを引っ張って帰っていった。


どうやら二人は友人同士の間柄らしい。


うまく完成すると良いなあ。でも、強度がちょっと心配なのだった。

滑車が木製だと、ダメかもしれない。





『アルキメディアン・スクリューを作る』



小刀削りだしでアルキメディアン・スクリューの模型を作った。

半尺ほどの小さなもので、ぱっと見たら子供の玩具にしか見えない。

しかし、意味が理解できる者が見ればこれがどういうものか解る。


田畑への揚水にも使えるし、流水式塩田を作るにも必要なものだ。

恐らく、熟練の大工なら簡単に作ってしまう筈だ。


領地の大工は圧搾機の制作で忙しいはずだから、終わったら試作してもらおうかな。





『領地再び』



いつものメンバーに、牛さんが同行したいというので、牛さんを加えたメンバーをお供に、また領地へ行った。


以前行ってから一週間位経っているので、鍛冶屋に頼んだ物が出来ているはず。


領地に着くと、乙名に差し入れを渡し進捗を聞くと、場所を決めて縄張りを終え、既に建屋の建築に掛かってるらしい。早速見に行くと、既に骨組みが完成していた。

大工にねぎらいの言葉を掛けると、差し入れに焼酎を渡した。


牛さんがこれはどういった建物なのです?と聞いてきたので、これは果汁とかを絞り出す道具を納める建物ですよと教えた。


また帳面にメモしながら絞り出した果汁はどう使うのです?の、問いには太田殿が好きなものも作れますよ。

と答えると、ニンマリ微笑み、それは楽しみですな。と。



ちなみに最近、焼酎は父や屋敷の者が飲んだり、何処かに出向いた時の手土産にしてるそうで、屋敷の使用人たちが作っている。


先日、陶工が屋敷に来た折に、以前の約束の品だと焼酎を渡し、更に大きな蘭引の制作を依頼した。

その際、父が蘭引は暫くは弾正忠家の秘密とするから、許可なく作ることを禁じる。と、陶工に釘を刺し、代わりにうまく実現させた褒美を渡していた。


お陰で何処かに手土産にしたり、客に出すくらいには焼酎が屋敷に在庫されるようになったのだ。


閑話休題、鍛冶屋を訪れると、頼んでいたものが出来たと見せてくれた。

柄もしっかり付いていて、試しに使ってみたら中々良かったらしい。

褒美に、鍛冶屋にも焼酎を渡す。酒好きらしく、えらく喜んでいた。


スコップは旧軍の伝統に倣い円匙と呼ぶことにし、備中鍬は三本鍬と呼ぶことにした。


円匙は弾正忠家でも使うかも知れないから、持って帰ることにし、三本鍬と併せて村で使いそうな数の制作を依頼し、費用は私が出す事になった。


出来上がった品はいずれも申し分の無いもので、技術の高さを褒めたら、槍や刀だって作れると言っていた。なんでも、若い頃は刀鍛冶で修行し、刀も扱う鍛冶もやっていたらしいが、戦で村が焼かれて流民になってここまで流れてきたのだとか。

戦国時代ならではというか…。


これについても牛さんが早速とばかりに使い道を聴いてくるので、実際に使ってもらった。体験レポートが書けるだろう。

牛さんはこれは良いですな。と、しきりに褒め、また帳面に筆を走らせていた。


さて、次に依頼するのははねくり備中と、カルチベーターこと人力耕運機。これがあれば新しい畑も楽に作れるはず。


図面を渡すと、はねくり備中は数日、耕運機は作ってみないとわからないらしい。


村での仕事もあるだろうからということで、また七日かそのくらいしたら来ると話し、村を後にした。


いずれ泊まれる屋敷が欲しいかなあ…。


帰りの道中で牛さんが吉殿は手広いですな。寺で講義してるかと思えば、あの様なところで農機具を作らせたり。

拙者、感服つかまつった。などと神妙そうに言うと、権六殿が、まことこの様なことをしている姫など聞いたことがござらん。と笑う。


半介どのは、それが吉姫でござろう。というとみな納得していたのだった。

どうせ変わり者の姫ですよ。私は。と内心悪態をついた。


古渡に戻ると、父に円匙を見せ、土木工事は勿論、野戦での陣地作成などに役立つ他、いざとなれば武器にもなりますよ。と、話した。


さすが父は聡明であり、手にとって話を聞くや目を輝かせ、うむ、これは良い。早速幾つか作らせ、使わせてみよう。と喜んだ。


父の役に立つのは喜ばしい事ですね。




吉姫が作ってるものが同影響するのかは謎です。

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