第十七話 焼酎造りに挑戦でござる。
前話からの続きで早速焼酎作ってみました。
『焼酎造りに挑戦』
津島から戻った翌日、早速焼酎造りに挑戦する。
帰り道に津島で買ったこのお酒を材料に、新しいお酒を作るという話をお供の者にしたら、お供の男連中はそれぞれ興味がある様子。
特に、権六殿はどんなお酒かしきりに聞いてきたので、お酒が好きと言うのは史実だけではない模様。
女中さんはお酒なら屋敷にありましたのに。と冷めた感じですが、失敗したら高いお酒が無駄になるから、この安いお酒で良いのと答えておいた。
さて、物置ですっかり埃を被ってた蘭引を用意して、火鉢に五徳を用意させる。
まず、余計な不純物を取り除くために料理用の布でお酒を濾す。
お米のカスとかそういうのが布に残る。
次に蘭引をセットして水にお酒に蒸留酒を注ぎ込む容器も準備完了。
火を付けて暫くすると、お酒の匂いが立ち込め、蒸留されたお酒が滴りだす。
蘭引に入れた酒が残り少なくなると蒸溜完了。空焚きは怖いからね。
さて、出来ました蒸留酒。所謂米焼酎です。
予想では、アルコール度数が四十~五十位の筈?
先程からお待ちかねのマッチョの兄さん二人に毒味させます。
小さな酒坏に注ぐと、無色透明の液体が注がれます。
二人が手を付ける前に、まず注意。
最初は舐めて具合を見ること。大丈夫ならチビチビ飲むこと。
生まれてこの方飲んだことのない位の強いお酒だから注意すること。
二人は神妙に注意を聞き、ゴクリと生唾を飲み込む。
まずは舌で。
強いアルコール独特のピリピリがくるとか。
そしておっかなびっくりチビチビと舐めるように飲んでみると、まず甘い。
そして、飲み込むと喉が焼ける様にカーっと来るとか。
これは舐めるように飲む感じじゃないと、二人にしても強すぎるとのこと。
では次に、汲んでおいた水で半分に割ります。
これで、一般的な米焼酎のアルコール度数の筈。
早速と二人が試飲。
今度は飲みやすいとの事。日本酒の甘みが混ざりっけなしに味わえ、強い割に飲みやすいと口々に褒める。
でも、強いお酒だから飲みすぎるのはダメだよと忠告。
二人が美味しそうに飲んでいるのを見て、弥之助や滝川殿、そして使用人の男性陣も混ざって試飲。
皆口々に美味しいとの感想。
元の蒸留したての焼酎は、更に蒸留すると消毒用のアルコールに使えるはずだけど、もう少し大きな蘭引作らないと、実験の域は出ないかなあ。
使用人に蘭引の使い方と蒸留酒の作り方を教え、瓶の残りも焼酎にしてしまいます。
そして、父の試飲用に取り分ける指示をしていたら、なんと父帰宅。
早速出来上がったばかりの焼酎を飲んでもらいました。
すると、父も美味しいと大喜び。
このお酒は、強いお酒だから沢山飲むのはダメだけど、更に水で割ってもいいし、冷やして果実を絞ったり、温めて生姜と混ぜて飲むと美味しいと思います。と教えた。
兎も角、焼酎造りの実験は成功。
約束通り、陶芸職人さんにも飲ませてあげて、蘭引の大きいのを作ってもらわないと。
今回はちょっと短めです。