第百四十九話 母と
末森での暮らしが始まりました。
『母』
天文十七年十二月、もうすっかり冬ですね。
この時代は尾張でも冬になると毎年のように雪が降ります。
美濃まで行くともっと雪が降るそうですね。
末森での暮らしも随分慣れてきました。
こちらに来て一番変わったのはやはり家族が居る事でしょう。
父は守護代に就任して以来、守護館側の清洲の城で執務をしており、折角新しい城を建てたのにあまりこちらには居ません。
引っ越し早々ですが、更に清洲城の方に移るかもしれません。
史実でもあまり長く使われなかったこの城ですが、折角建てた新しい城どうするんでしょうね。
家族と暮らしだしてから、母上に色々と教わりました。
家によって異なるそうですが、作法などこの時代の妻として知っておくべき事など、我ながら本当に何も知らずに来たのですね…。
母は私があまりにも無知なので逆に驚いてましたが、結局は不憫な事をしたと悲しむのです。確かに父は父ですし、乳母もいつの間にか居なくなってましたし、私に奥向きの作法とか教えてくれる人は居なかったように思います。
これまで、あまりにも礼に反するという事はなかったとは思うのですが…。
ちょっと不安ですね。
また引っ越しみたいです。