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吉姫様の戦国サバイバル ベータ版  作者: 夢想する人
第二章 裳着の年 (天文十五年1546)
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第十六話 商人と逢うでござる。

吉姫はいろいろと準備のため商人と繋ぎを作ります。





『近江商人』



これまでは全て父と女中さん任せだったが、裳着を済ませた後は基本的には自由。

逆に言えば、何かあれば責任を問われる立場となったということでもある。


着る着物にしてもこれまで通りお任せでも問題はないが、御用の商人を呼んで好きな着物を買うことも出来る。

とは言え、この時代のやり方がそれなりに理解できるまでは、解るものに任せておけば恥をかくことはないだろう。


既に、眉を剃るのは止めて、生えそろうまでは元々の眉毛に合わせて線を引いてもらってるし、お歯黒も付けない。


閑話休題、情報を得るにしても、何かを手に入れるにしても、或いは人を紹介してもらうにしても、やはり伝手というのは大事で、そういう伝手を一番もっているのは商人だろう。

商人ならば古渡に御用商人も居るが、彼らは弾正忠家に縁の深い津島や熱田の商人達。

勿論、彼らとの付き合いも大事だが、私が欲しいのは遠方迄行商に出かける行商人だ。


とは言え、私の頼れる相手などたかが知れているから、噂の近江商人を和尚に紹介して貰うことになった。


後日、快川和尚の紹介状を手に訪ねてきた商人は蒲生定秀の治める日野城の城下町に店を構える布施屋の源左衛門さん。


扱っている物は主に薬や生糸や綿織物の他、塗椀なんてのも扱うらしい。勿論、頼まれれば探してくることもある程度出来るし、新しい商品があれば扱うことも出来るとか。


それ以外にも、行商に行ってる所ならば手紙を届けたりというのもしてくれるらしい。

とはいえ、現代のようにあっという間に届くわけでもなく、例えば東北などだと半年から一年は掛かるとか…。


源左衛門さんに鉄砲を扱えるか聞いたところ、源左衛門さんは無理だが、国友の鉄砲を扱ってる商人ならば紹介できるが、びっくりするほど高いらしい…。


とりあえず、源左衛門さんにはいくつか売って欲しい物があるので、また尾張に来た時に寄って欲しいということと、鳶職人の加藤さんという人を探してるので、東北辺りに行く時に居たら教えてほしいと頼んだのだった。





『津島に行くよ』



津島にはまだ行ったことが無かったので、父に紹介状を書いてもらい、津島の大橋殿を訪ねていくことになった。


お供はいつもの弥之助と女中さん、それに滝川殿と、何故か今回も権六殿と半介殿。本当に、この二人は暇なのだろうか?

確かに、今年は戦は無かったと思うのだけど。


古渡から津島まで大体徒歩で四里ほど、朝早く出れば昼頃には到着する。

例によって、テクテクと津島街道を歩いていく。


途中、渡し船に揺られたりしながら、勝幡で少し休憩し、津島へ向かう。


どうにも道中会話が少ないというか、女中さんも弥之助も話しかければ答えるけど、自分からは話さないし、権六殿と半介殿はたまに二人で何か喋ってるけど、滝川殿を警戒してるのか知らないけど、話すこともないし。


そんなわけで、滝川殿に甲賀の事を聞こうと話をしたんだけど、山深い土地ですよ。とか、そんな感じの当たり障りのない話しかしないのであまり面白くない…。


それでも、甲賀って薬作る人が居るって聞いたよって話をしたら、薬草に詳しくて薬を作ってる人が居ますよと、教えてくれた。


それで、実は寺で薬草園を作ってるんだけど、って話すると、存じてます。とのことで、だれか薬に詳しい人紹介してくれない?と頼むと、しばし悩み顔で、だれかいるか里の方の者に聞いてみます。と約束してくれた。


昼頃に津島に到着。

大橋殿のところにさっそく訪ねて行って、紹介状を渡すと、よくおいでくださいました。と歓迎された。


お腹が空いたでしょうと、昼餉をご馳走になりました。


港町なのか焼き魚と香の物、それにご飯とみそ汁。この時代だとこれでもご馳走。


食生活もそのうち充実させたいなあと感じたでござる。


午後から大橋殿の店の人に津島の町を案内してもらいました。

さすが大規模商業都市、時代劇で見たような古風で和風な大店の看板の並ぶ大通りもあったり、金物から漆器、陶器、小間物といろんなものが売ってます。


お酒や味噌なんかも売ってますが、醤油はありませんねえ。

聞いてみると、やはり知らないとのこと。


そこで紀州の湯浅の町で赤桐右馬太郎って人が作ってるから買ってきてと頼んだ。

紀州には堺に行く途中で寄るとかで、店の者が行くときに見てくるように伝えますと、請け負ってくれた。


理想は尾張でも作れればいいのだけど?


後は、私は飲みませんが、お酒。

酒屋さんで、どんな物か見せてもらいました。

清酒などではなく、普通に濁り酒で、米が原料とのこと。


ところが、なんと透明のお酒もあるとのことで、先ほど出してきたのが下級武士とかが飲んでる濁り酒。


御神酒とか殿様が飲んでるようなお酒は、諸白という清酒だそうで。


ちなみに、同行の男子達が普段飲んでるのは濁り酒。

女中さんは飲まないそうです。


それに、濁り酒の方が甘くて飲みやすいのだとか。


焼酎というのは知らないとの事。

ならば、作ってみるのも手かなあ。


試しに酒を一瓶買って帰ることにしました。

勿論、安い濁り酒です。


ここでも、鉄砲の話を聞いたが、ここだと堺の商人経由の仕入れになり、これまたとんでもなく高いとのこと。

まあ、私は姫ですから。鉄砲なんて要りません。多分…。


他には本屋で本を見てみましたが、さすがにまだ西洋書は全く売っておらず、これと言って欲しい本は無かった。


お泊りになると面倒なので、何とか日が暮れるまでに帰れるように、と思ったがとても無理だったので、この日は大橋殿の屋敷に一泊。


権六殿と半介殿が夜に滝川殿に何か聞いてたが、何だったのだろうか。


私は気にはなりましたが疲れ果てていたので早々と寝たでござる。


そして翌朝、津島神社にお参りして古渡へ帰ったのだった。



さて、まずは焼酎造りでしょうか。

マッチョな兄さんたちに実験台になってもらいましょう。


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