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吉姫様の戦国サバイバル ベータ版  作者: 夢想する人
第四章 激動の天文十七年(天文十七年1548)
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閑話五十六 織田信秀 信濃路

信秀率いる尾張勢は美濃へと向かいます。





天文十七年十月 織田信秀



清洲での守護様の出陣の儀の後、我らは直ちに美濃へと街道を進軍した。


美濃からも軍勢が出陣し、加納口に布陣を始めたとの報告。

予定通りに進んでおる。


最近、我らの商圏拡大の影響を受け、伊勢の大湊が商いを伸ばしているそうなのだが、それを見た伊勢国人衆からの矢銭要求が相次ぐらしく、武衛様に庇護を求めてきた。

今の所、伊勢の国人衆らは我らと事を構える気は無いようであるが、吉の言う通り向こうが動き出すまでは下手に干渉せぬほうが良いであろう。


まずは眼の前の戦に勝たねば、東海道を戦無き地とは出来ぬ。


木曽川を越え、加納口の手前で軍勢を休ませると、付近の寺でこの度美濃勢を率いて参陣する義龍殿と会見した。



「新九郎殿、此度の手伝い戦への参陣感謝致す」


「この度はそれがしが美濃勢を率いて参陣致しまする。

 若輩にござるが、宜しくご指導くだされ。


 信濃の安定は我らにとっても望む所。

 武田の如き飢えた狼が隣国より我らの隙を狙うなどと云う事となっては困りまする」


「武田の悪行は知れ渡っておるからな。

 では、よろしくお頼み致す。

 まずは、中山道を通り遠山氏の元へ向かい、遠山七家の当主と会見する予定にしておる」

 

「承った」



美濃勢五千を加え、我らは一路東へ中山道を進み遠山氏の城の一つ苗木城へ向かった。

そして苗木城近くの寺で、遠山氏の惣領格である岩村遠山氏の景前殿ら遠山七家の当主との会見に臨んだ。


「この度は、我らの呼びかけに応えて頂き感謝致す。

 織田備後守信秀にござる」


景前殿が代表して応える。


「我ら遠山七家、武衛様に臣従致しまする。

 正直なところ、間近へと迫る武田がいつ信濃を切り取り、我らに手をのばすのか恐々としてござった。

 美濃斎藤家が武衛様と盟を結び、また尾張の発展ぶりを伝え聞き、我らも武衛様の庇護に縋りたいと願っており申した。

 何卒良しなに」


七家の当主が平伏する。


「頭をお上げくだされ。

 これが、武衛様よりの安堵状にござる。


 では、共に信濃へ攻め入り武田を追い出しましょうぞ」


「承った。

 既に準備はできてござりまする」


こうして我らは更に遠山勢三千と合流し、更に中山道を進み信濃へと入った。


中山道を進むと福島城へと到着した。


付近の寺で木曽義在殿、義康殿親子と会見した。


「この度は、我らの呼びかけに応えて頂き感謝致す。

 織田備後守信秀にござる」

 

「木曽義康にござります。

 こちらは我が父にござります」

 

「木曽義在にござる」


「我ら武衛様に臣従いたしまする。

 信濃国衆は日々武田に苦しめられておりまする。

 何卒、我らも信濃平定の軍勢にお加えくださりませ」


親子で平伏する。

既に親子で話が済んでいるのだろう。


「頭をお上げくだされ。

 これが、武衛様よりの安堵状にござる。

 共に、信濃より武田を追い払いましょうぞ」

 

「ははっ。

 して、これからいかがされるのでござろうや」

 

「これから更に中山道を進み、村井城へ向かいまする」


「承った。

 われら信濃国衆が先導致しまする」

 

こうして、木曽勢と合流し木曽周辺の国衆を加えながら中山道を進み村井城へと到着する。


ここで、軍を休めると近くの寺で信濃守護の小笠原長時様と会見する。


「この度は、我らの呼びかけに応じて下さり感謝いたしまする。

 武衛様より軍を預かっておりまする、織田備後守にござりまする」

 

「小笠原長時である。

 この度は、我らが窮状に良くぞ軍を出して下された。

 七月の敗戦以来我らに武田に抗する余力無く、先月も武田が佐久郡に攻め寄せて多くの城が落城し、村々が乱取りに…。

 

 そして、いよいよ次は我らの方へ攻め寄せるかと恐々としておったら、武田は南の遠江へ軍を進め申した。

 いずれにせよ、南を攻めて軍を戻せば再び我らの方へ攻め寄せるは時間の問題。

 覚悟を決めねばと思っておったところへ、使者が参ったのだ…」

 

「信濃の窮状は噂に伝え聞いておりまする。

 攻める先々で乱取りを行い、人を攫っては売り飛ばす。

 中には根切りに遭った城もあったと伝え聞き申した。

 まさに悪鬼の如き所業にござる。


 武田は今我らの遠江へと攻めていっておるのでござる。

 我らは武田が二度と我らが領域へ手出しせぬよう鉄槌を下す所存。

 その為にも信濃からは武田と武田に与する国人らを一掃致しまする」

 

「おお、頼もしき言葉よ。

 我も我らも覚悟は決めておる。

 

 この上は書状にあったとおり、斯波武衛殿と盟を交わし、共に軍を進めようぞ」


「ははっ。

 共に悪鬼共を追い払いましょうぞ。

 

 これより我らは高遠城を攻める所存。

 速やかに開城せねば目にもの見せてご覧に入れまする」

 

「うむ。では参ろう。

 既に信濃国衆はここへ向かっておる故、随時合流してくるはずじゃ」

 


こうして儂は戦をすること無く、無事小笠原長時様を旗頭に信濃国衆を軍勢に加えること成功し、我らは戦を予感しながら諏訪の高遠城へと軍を進めたのだ。




こうして事前の根回しとタイミングの良さ、更には武田の悪行のお陰で戦をすること無く信濃へと軍を進めました。

今回武田は遠江を攻めましたが、史実ではこの小笠原長時を攻めています。

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