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吉姫様の戦国サバイバル ベータ版  作者: 夢想する人
第四章 激動の天文十七年(天文十七年1548)
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第九十二話 鉄砲試験

先日のアイアンサイトを試験します。





『紀州筒改の試験』



天文十七年三月上旬、父は今頃吉田城に到着した頃でしょうか。

先日のアイアンサイトを試験していた鈴木殿が屋敷を訪ねてきました。


「姫様、先日取り付けて頂いた照準器付きの火縄銃ですが、試した結果中々良好のようですので、一度見ていただきたいのですが」


「はい、わかりました。

 では、作った人にも声を掛けて射的場に向かいましょうか」

 

「はっ」


屋敷の者に佐吉さんに射的場に来てもらうよう伝言を頼むと、鈴木殿と射的場に向かいます。

津田殿も既に来ていて、程なく佐吉さんが清兵衛さんと到着すると関係者が皆揃いました。


「皆さん揃いましたね。

 既に試験をしたとの事ですが、如何でしたか?」

 

津田殿がまず答えました。


「中々良好にござります。

 照準器を取り付けるだけで、ここまで狙いやすくなるとは」

 

鈴木殿も頷きます。


「左様、これに慣れてしまうと、これが無ければ狙うのが難しく感じてしまいますな」


「それほど違いますか。

 では、早速見せていただきましょうか」


「はっ」


鈴木党の人が的を準備します。


位置は大体五十メートルの所と、その倍の大凡百メートル位の所の二箇所です。

勿論、目測ですから実際はもうちょっと遠かったり近かったりするかもしれません。

ちなみに、指で大凡の距離を図る方法なんてのがあります。


「姫様、準備できました」


「はい。

 ではお願いします」

 

鈴木殿自ら鉄砲を構えると、的に向かって撃ちます。


大きくそして乾いた音が鳴り響きます。


そして、次発を弾込めすると、二発目を撃ちます。

そんな感じで、三発ずつ、都合六発を両方の的に打ち込みました。


鉄砲の音は久しぶりに聞きましたが、やはり大きいです。

イヤーマフが欲しくなります。そう言えばこの時代はそう云うのはないですね。


そして、やはり黒色火薬は煙が凄いです。


鈴木党の人が走っていって的を持ってきてくれました。


バラツキはありますが、見事に全弾黒丸の中に入ってますね。


「見事な腕ですね。

 遠い距離でもここまで当てることが出来るなら、更に伸びても当てることができそうですね」

 

「お褒め頂き、有難うございます。

 距離が伸びるほど弾は力を失い落ちていきますし、風の影響を受けますから、中々に難しくなっていきます。

 しかし、この照準器を使えば更に倍の距離でも当てられるかもしれません」

 

「この倍の距離まで届けば、鉄砲衆の安全がより保たれますね。

 鉄砲衆は、槍の距離まで寄られると為す術がないでしょうから」

 

「そうですね。

 普通は槍の距離になる前に退きますが、距離が伸びれば撃てる回数が増えると思います」

 

「鉄砲はまだまだ改良の余地がありますが、弾込め時間の短縮は必須でしょう」


そう言って、津田殿の方を見ます。


腕を組んで黙ってみていた津田殿が口を開きます。


「拙者もそれをずっと考えておりました。

 弾込め時間の短縮法、これを先ず考えてみましょう」


それを聞き、鈴木殿も頷きます。


「それがしも何か方法が無いか考えてみます」


「ではお二方、良き案を楽しみにしておりますよ」


「ところで、芝辻殿。

 変わった形の鉄砲を一つ作って欲しいのですが」

 

声を掛けられると思わなかったのか、芝辻殿が驚いて答えます。


「は、はい。

 どのような鉄砲を作りましょう」

 

「こういうのをお願いします」


図面を取り出すと渡します。


それに描かれてあった火縄銃の形は、後世のタクティカルショットガン。

但しピストルグリップもストックも有りません。

ほぼ機関部だけでこのままでは撃てないでしょう。

銃身をかなり切り詰めれば短筒として使えるかもしれません。


「こ、これは…。

 姫様、これでは撃つことが出来ないと思いまするが、これで宜しいので?」

 

「ええ、この鉄砲を元に色々と部品を取り付けて試すのです」


それを聞き芝辻殿が手を叩きます。


「ああ、なるほど、そういう使い方の銃ですか。

 承知しました。

 では早速取り掛かります」

 

津田殿も納得がいったようです。


「なるほど、こう云うなにも付いていない物をこしらえて、色々と試すと言うのは確かに理にかなっております。

 寧ろ、これであればこそ見えてくるものがあるかも知れませぬな。

 完成品の鉄砲では、どうしてもそれに引っ張られてしまいます故」

 

「そういう事です。

 では、お願いしましたよ」

 

「姫様、面白そうな鉄砲が出来上がってくるのを楽しみにしております」


「うふふ。

 良いのが出来るといいですね」

 

そんな話をしていると、ふと佐吉さんの目が気になりました。

と言っても、睨んでるとかそういうのではなく、ただジイっと何かを考えてその場のやり取り見ているという感じです。


「佐吉さんもまた鉄砲の部品を頼むと思います。

 その時は宜しく頼みますよ」

 

佐吉さんは声を掛けられると、ハッとして返事します。


「はい」


相変わらず素っ気ないですね。



皆の方を向くと、お開きにします。


「では、今日は射撃試験、大儀でした。

 皆さん今日の問題解決、よろしくお願いしますね」

 

「「ははっ」」


射撃場を後にすると、佐吉さんと鍛冶場へ歩きます。


「佐吉さん、その後田植え機の進み具合はどうですか?」


「はい、もう直出来ますので、完成したらお報せします」


「それは素晴らしいですね。

 では楽しみに待ってますよ」

 

「はい」


流石、佐吉さん仕事が早いです。

どんなのが出来上がるのか楽しみですね。



照準器も付き、次は早合ですね。


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