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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕は四兄弟の末っ子。

僕の兄、よーにぃの話

作者: 空野雪乃


次男、よーにぃは人付き合いが良いあーにぃと違って人見知り。

人付き合いに関してはとにかく不器用だけど、優しいすぎるんです。だから、あーにぃのために代わりに告白を断り続けちゃうんですよね、好きと言う気持ちが釣り合わないまま付き合うほど、相手の女の子が傷つくでしょうから。


「よーにぃ……、辛いならもう身代わりするのを止めれば良いのに」


自分のことだけじゃなく、親しい他の人に対しても、まるで自分のことのように傷ついて、なんて生きづらい人なんだろうって思う。

よーにぃはいつも辛くなるとこうして夜中に一人、泣いている。


優しすぎるから、弱いのにたくさんのことを背負おうとするのがよーにぃの悪いところだけど、僕はそんなよーにぃが大好きです。



「それが出来たらどんなに楽になれるんだろうな……、だけどそれが出来ないのが俺の性分なんだよ。どうしようもないくらい紳士で優しいあいつのことを、心配性なお前も、ぶっきら棒だけど誰よりも平和主義なユウも大好きだから、俺は損な役回りをしたって構わないんだよ」



その言葉一つで、よーにぃの気持ちが強く強く伝わってきて。

だけどね、よーにぃ。それじゃダメなんですよ。このままじゃ、よーにぃが倒れたらみんな共倒れになって僕がいる意味がなくなってしまうでしょう?


本来ならあーにい、よーにぃ、ゆうにぃ三人兄弟だったんです。

君達三人は幸せになるシナリオなはずなのに、何度やり直しても幸せに何故かなれなかったから、僕は見守っていて欲しいと頼まれた。


だけど、わかっているよ。周りから見れば損な役回りだけど、そんな今がよーにぃにとっては幸せなんだと言うこと。

だからね、その損な役回りを奪ったりはしません。だけどね、よーにぃ。



「演じることに疲れた時に一人で泣かないでください、お願いだから。

これは僕の我儘なんです、僕も一緒に悩ませてください。

僕はちゃんと知っています、あなたがどんな人なのかを。どんなに演技続けたとしても、僕はあなたのことを忘れたりなんかしないから」



よーにぃ、どんなに演技が上手でもね、僕らはわかっちゃうんですよ。

よーにぃが苦しい時、どんな顔をしているとか。悲しい時にする演技の癖とか、兄弟だからこそ見抜ける変化があるから放っておけないんです。


よーにぃが悔いなく、自分の好きなことに打ち込んで欲しいんです。


夢中になって誰かを演じる、演技に打ち込んでるよーにぃが好きだから。

一つのことを一途に夢中になれるよーにぃが好きだから、だからお願い。

自分を苦しめるようなことをしないで、よーにぃはちゃんと幸せになって。



「そうすることで、月ちゃんにそんな怖い顔をさせずに笑顔で居てくれるなら、よーにぃはそうする。だがな、月ちゃんがそれで無茶するなら俺は損な役回りをやり続けるよ。

月ちゃん、お前は何を抱えて生きているんだ……?」



それはあなたが知らなくて良いことですよ、と内心そう答える僕。

だって答えてしまえば、あなたは責任を感じるでしょう? と思いながら、



「僕はね、よーにぃ達が幸せになってくれればそれで幸せなんですよ。だから、お節介をしてしまうだけなんです」



こんなにも簡単に、僕は嘘を吐くことが出来てしまう。そんな僕なのに、こんなに幸せで良いのだろうか?

こんな優しい日常は、何か物足りなくて。僕は反省せず、心の中で前世とは違う刺激を求めてる。



僕は嘘つきだ。











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