城砦都市ヘルズ
見えてきましたよーあれが城砦都市ヘルズです」
セルシウスは、雪原の丘の上で指を指してコウヤを呼んだ。
城塞都市ヘルズ……
四角形の巨大な赤茶色の城壁に城が見える。
一見町は無さそうに見えるが城を囲む凍った氷の下に都市がある。
極寒な環境に国民が凍えない様に初代ヘルズの国王が建設した城砦都市だ。
コウヤは、洞窟で紅茶を飲んだ以来飲まず食わずで5時間近く歩いたおかげで疲れている。あまりの空腹で、雪を食べたくらいだった。
「や、やっと着いたのか……もう俺は、ヘトヘトだ……」
コウヤは刀を杖がわりにし城塞都市の門の前へ進む。
「で、でけえ……なんだこの高さは……」
赤茶色の城壁に門があり、商人の馬車なのか門を潜り抜けていく。
「あ、あれ門番とかいないのか?」
城の門番とか定番中の定番だろ?あまりの寒さでサボってるのか?
セルシウスはコウヤの手を取り笑いながら言う。
「いえいえー門番は城の中です。1階は解放されてまして地下に町があるんですよさぁ行きましょうっ!」
———セルシウスは疲れているコウヤを引っ張って城へ向かう。
「おいセルシウス引っ張るな!俺の恰好大丈夫なのか?!手形とかいらんのか?!
シャツとジーパンだぞ!真冬の北海道で歩く短パン小僧並に変だろっておい!話を聞けぇ!」
セルシウスとコウヤは、城砦都市ヘルズの城の中へ入ったが……
「何者だ!貴様!その恰好はなんだ?怪しい奴め!」
城の中へ入った瞬間、×印に槍をかかげられ門番に止められた。
いかにも中世時代のヨーロッパ風の鎧と兜の兵士だ。
「ほぅら見ろいわんこっちゃない……」
コウヤの予想どおりに門番に怪しい奴呼ばわりされやれやれといった感じで溜息をつく。
元の世界の服装なのも変だし何より夏の半袖のシャツとジーパンだぞ……
いくら魔法で寒さを無効にしているとはいえ、兵士に説明した所でわかってくれるはずもない……
セルシウスはコウヤの前で立ち説明する。
「私達は怪しい者ではございません……私は、大精霊セルシウスこの者は私の付き人みたいなものです。安心してください。」
セルシウスは門番に一瞬だけ元の大精霊の姿になりすぐ元の少女の姿に戻った。
「こ、これはセルシウス様!どうぞお通りください!」
門番達はコウヤ達にかかげていた槍を元の位置に戻し敬礼した。
「ま、まじで通れたすげえ大精霊……」
横でふふんどうだといわんばかりにセルシウスは笑ってみせる。
「まずは宿屋に行きましょう今後の事はそこで話しましょう。
あとこれはモンスターの命の源のコアみたいなものでしてお金になります。
これを売れば1週間は大丈夫ですが最初だけですよ?」
セルシウスはバックから紫色をした石をコウヤに渡した。
「へぇこれがモンスターのコアなのか……こんなのが金になるとはねぇ……」
コウヤは、指でつまんだコアをかかげじろじろ見たが、何がすごいのかわからない。
「その事も後で説明しますよとりあえず地下に降りましょう」
セルシウスは城の中の地下へと続く階段へと案内した。
「こりゃすごい……2度びっくりだ……」
城砦都市ヘルズの町は、氷の天井から降りそそぐ光で照らされ住民達が店の前で行列を作っていた。酒場らしき店からは豪快な笑い声が聞こえ、商人たちが商売をする為、店をテント状に開いて机に商品を並べて商いをしている。
商売している商人にモンスターのコアを売ってお金に替えた。
「さあ夜になる前に宿屋に行きましょう作戦会議はしないと!」
セルシウスの案内で宿屋にチェックインした後、コウヤの部屋にセルシウスが椅子に座る。
「さて今後の事ですが……コウヤまず最初に言っておきますが、いきなりモンスター退治でお金を集める事はお勧めしません」
「えっ?なんでだ?モンスター退治とか定番なんじゃないのか?」
(モンスター倒して金を得るのはRPGの基本じゃないか……その他じゃアイテム探しか?)
「じゃあどうやって金を稼ぐんだ?アイテムを探すのか?」
コウヤは手をぶらぶらさせて半笑いで言ったが……
セルシウスは真剣な顔をしてコウヤの顔に近づく。
「働いでください!働くざるもの食うべからずってあなたの世界の言葉ですよね?」
(……はっ?)
「働くっていったって仕事は?どうやって働けばいいんだ?」
コウヤは額には汗が出て青白く変色する。
セルシウスはニコっと笑顔になり
「そんな事は知りません働く仕事は、あなたが決めてください仕事の斡旋場所は冒険者ギルドに行けば仕事を紹介してくれますよ!あと今日の日報を日記帳に書いてくださいね!」
(ちょっと待て!異世界行っても仕事をやるのか?!モンスター倒して金ゲットじゃないんか?)
「セルシウスさん?なんでモンスター退治はダメなのでしょうか?」
コウヤはセルシウス様に涙目になって言うが……
「決まっているでしょう?今あなたがモンスターに立ち向かっても弱いからです!すぐ死にます!ゲームオーバーです!オワコンです!」
(正直にいいやがってこのアマがぁぁぁぁ)
「魔法の修行は?モンスター倒して俺は強くなるんじゃないのか?!」
コウヤはRPGの定番を口に出すが・・・
「何を言ってるのです?モンスターを倒しても強くなれる訳ないでしょう?経験値なんて概念この世界にはありませんよ?戦闘技術の向上はあってもステータスの上昇なんてありません」
(えっ?じゃあ俺はどうやって強くなるんだ?訳わからん!)
「とにかく働きなさい!いいですね!今後の事はそれから説明します!あと、鍛冶屋にもちゃんと行ってくださいね。切れない刀じゃ本当にこの先で死んじゃいますよ!」
セルシウスは椅子から立ちあがって扉の前でおやすみなさいのお辞儀をしてから出て言った。
「ま、まじなのか……」
コウヤは扉の前で唖然としていた……




