レポート09
ロック・ゴーレムを視認できる位置まできてだが、俺は聞いてみる。
「スズネはそういえば《メイン職業》は何なんだ?」
「《ソルジャー》よ?」
「そんなハンマーもあるんだな」
「《ソルジャー》とその上位職の専用武器ね。15レベルから装備できるけど、ヒカクも目指してみる?」
「いや、俺は盾とメイスで行く予定だからいいさ」
「そう……まあ、上位職は私もまだまだ遠いのよね」
「何レベルからなんだ?」
「40レベルでまた試験クエストが開放されるわ」
「スズネでもあと10レベル以上必要ってことなんだな」
「そういうこと……それに私は部活とかもあるから、そんなガンガンいこうぜプレイはできないしね」
「ふうん……まあ、とりあえずロック・ゴーレムを発見したわけだが……まだたむろってるな」
「3体ね。無傷だと難しそう……って、そういえばまだパーティー組んでないじゃない」
「……そういえばそうだな。システム上は組んでいなかったな」
「システム上以外に何があるのよ?」
「気にするな」
とりあえずメニューを開いてみる。
どこをいじればいいかさっぱりだ。
「私がリーダーで誘うから、入って」
そういってすぐに――
『“スズネ”にパーティーに誘われました。加入しますか?』
《YES》ボタンを押す。すると、視界の端にスズネの名前とHPバーが表示されるようになった。
なるほど、これがパーティープレイか。
「よし、いくわよ!」
「おーう」
準備を済ませた後に、俺はスズネと共に、走りだした。
作戦はこうだ。いや作戦じゃなく性格はこうだ。
まずは、スズネがレベルと筋力に任せてハンマーをロック・ゴーレムに振り下ろす。
そして乾いた大地が衝撃と風圧で砂煙を巻き上げる。
俺はそれを眺め続ける。
完璧な作戦だな。
「早く来なさいよ!!」
「いや、だってもうそいつ倒したらクリアなんだけど……」
「そんなことは知らないわよ!! レベル11になるまでは倒し続けるわよ。というか、ロック・ゴーレムがドロップする《岩石の素》が3つほしいのよ!」
「そういうことか……まあ、了解」
このゲームは衝撃や音の概念が思いの外、雑にしっかりしている。この言葉は間違いではない。
というのも明らかにこれはそんなに響かないだろうっていう距離から、音を拾ってモンスターがよってきたりする。でも、音を立てると聞いてくるというリアリティが楽しいから、雑でしっかりしていると俺は思う。
「くらえ、俺の必殺技《石投げ》!!」
その後、11レベルといっていたのに12レベルになるまで倒し続けた。とにかく、スズネが欲しいと入っていたアイテムがドロップしないのだ。
まあ実は俺には6個もドロップしてるわけなんだが。
「やっと、終わったわ!」
「お、おう。おめでとう……じゃあ《ソルジャー》に進化してきていいか?」
「B連打したくなるわね」
「ひどい……」
「冗談よ。いってきていいわよ。私はちょっと武器屋に行ってくるわね」
「あいよ~」
年齢が近いということが判明してから、段々とフランクに接することができるようになってきた。だが、これはネット効果だからな、勘違いするなよ俺。