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グリプス・サーガ・オンライン  作者: ゆっき/Yuyu*
第1話 グリプス・サーガ・オンライン購入と少女との出逢い
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レポート06

 何かに遭遇することはなく、俺は辿り着いた。

 砂岩のような崖などが見える、岩でできた町《ロックスソルド》。

「うっし、舗装された道の近くでレベル上げしてから《ソルジャー》になるか!」

「お疲れ様。それじゃあ、私はここでお別れかしらね」

「あぁ、そういえばそうだな……お疲れ様でした。ありがとう」

「いえいえ、こちらこそ。ゲームでは助け合いが大事だから当たり前のことしただけよ」

「そうか、そんじゃ」

 時間的に、夕飯までもう少しあるし1レベルぐらいあげられるかな。スズネに手を降ってその場を離れる。

 その後は少し割愛するが、石人間と比べれば弱いと感じてしまう同レベルのモンスターをバッタバッタと倒していたら、9レベルまで上がることができた。

 そして、ポーションの補充に《ロックスソルド》に戻ってきた。ここまでだいたい1時間ぐらいだ。すると、さっきの場所になんかうずくまってる褐色少女がいる。

「もぅ……またやっちゃったぁ……なんで、こう最後に私は甘いのかしら」

 ブツブツ言ってるな。ネットコミュニティの取り方を学ぶためにも、声をかけることに挑戦してみよう。幸い大人数の中からひとりではなく、あそこでうずくまっている少女に話しかけるだけだしな。

「あの~、大丈夫ですか?」

「えっ、あ、いや、あの、なんでもない――あっ」

 驚いたように立ち上がって距離を取られたが、至極当然だから傷つかない。ただ、少女は数少ない知った顔だった。

「あ、スズネじゃん。クエスト終わってから何かあったのか?」

「あ、いえ、そういうことはないんだけど。その……うぅ」

 何故か口ごもってしまう。一体なんだっていうんだ?

 ――もしや、俺と同類のリアルではコミュ症タイプ?

 いや、それにしては俺にはすぐ話しかけてくれたしな。違うよな。

「…………」

「…………」

 岩の町をバックに褐色肌のハンマー少女の絵は、結構いいなとかどうでもいいことすら考え始める沈黙が過ぎた。

「あ、あの!」

「は、はい!!」

 沈黙を破ったのは彼女だった。ていうか、俺も驚いて気をつけの姿勢をとってしまった。

「と、友達登録いいですか」

 えっ、いや待って。あれほど沈黙やうずくまって深刻そうだった理由がそれなのか。いや、助け合いが大事って言ってた人が、そんなわけないよな……そんなわけないよな!?

「……ど、どうぞ?」

「じゃ、じゃあ……」

 すごい、ゆっくりぎくしゃくとした動きをするスズネ。そして、通知音が聞こえてメニューを開くと《フレンド》の欄に新着アイコンがでている。

『スズネから友達申請が届いております。認証しますか?』

 俺が《YES》を押すと、フレンドの中にスズネの名前が追加された。というか、初めてのフレンドだから一番上に配置された。

「あ、これって、認証すると相互で登録されるのか?」

「えっ? えっ!? ま、まって、確認するわ」

 すごいあたふたしている。もしかして、さっきの予想マジであたってる?

「と、登録されてるわ!!」

 すごい笑顔になった。

「じゃ、今日は夕飯だから一旦落ちるわ。またな」

「う、うん。またね、ヒカク!!」

 そのままの満面の笑みで手を振られて、俺はメニューから《ログアウト》を押してゲームを終了する。

 そしてゲーム機を外して、自室のベッドに座り意識を落ち着かせる。

 ――めちゃくちゃかわいかった。


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