レポート39
しばらくして、結構な深さの海のフィールドにたどり着いた。小魚などもいなくなって、いるのはプレイヤーか敵かという場所だ。
よく見ると崖の下にも海の空間があり、空洞がある。別のフィールドかダンジョンもありそうだ。
けれど、今日の目的はそれじゃない。
「いたわ。あれよ」
一度海面にあがって、酸素を補給してきたスズネが戻ってきて指をさす。
そこにはたしかに貝があった。大きさは遠くて小さく見えるが、多分人ひとりくらいの大きさだろう。
少し近づいてみると《シー・シェル》という名前が出てくる。レベルは38だ。
「行動パターンとかあるか?」
「体から空気だして、体当たりしたりすごい動いてくるわ。宇宙空間でロボットが動くみたいにね」
「たとえがものすごく一部にしか伝わらねえけど、理解した」
とりあえず、一体に攻撃してみる。すると、海中を貝とは思えぬ速度で動き始めた。もはや魚である。
あと、ここで俺は気づいた。
シー・シェルの体当たりを俺は盾で受け止める。だが、足場は海中で、しかも現在は浮いている状態だ。
「踏ん張れねえ!」
ダメージはないものの体のバランスを崩して、吹き飛んでしまう。
「そりゃ、あたりまえじゃない」
「くそっ、盾なしでやるか」
回避のほうが絶対にいい気がする。俺は盾を背中に装着してヘビーモールを両手持ちに変更する。
「おらぁ!! ――」
数分後。
行動パターンは読みやすくて、何体ものシー・シェルを2人で倒した。
だが、
「全ッ然、素材落とさねえ! 貝柱じゃなくて真珠がほしいんだよ!」
「現実でも真珠なんかが希少価値つく理由がわかるってくらいに、ドロップ率が悪いわね」
周りにいるプレイヤーも、悔しそうな顔してるし、ずっとこの辺にいる人が多いのを見ると……でないんだろうな。
「いくつ必要なんだっけか?」
「2つ必要。一個くらいでたかしら?」
「1個はでたな」
「なんでそんなにドロップ率いいのよ!」
普段と考えたら全くでてねえんだぞ。
それにしても、真珠が必要じゃないならモンスター防具揃えられそうだな。でも、貝殻装備になるかもしれないと考えると男用はどんなんだろうな。
「《ブレイク》ホームラン!!」
ちなみに、こんなに話したりしてるが、ずっと戦ってたりする。攻撃パターンは読みきってしまって、思考にも余裕がでて作業ゲーにちかい状態だ。
この作業はリアル時間で昼になるまで続いた。
「一旦、中断しましょう」
「そうだな……じゃあまた、2時頃でいいか?」
「それでいいわ。何かあったらトゥイッターで言うわね」
「了解した」
憔悴した顔でログアウトしたわけだ。




