レポート10
改めて、一旦スズネと別れて俺はNPCの元へ向かう。
『おぉ! 聞いたぞ! 《ロック・ゴーレム》を倒してきたそうだな!! それだけの力があれば、誰も文句は言わないだろう。お前に《ソルジャー》を名乗る資格とスキルを与える!!』
テキストを読み進めて、終わると、視界に《スキルゲット》と《レベルアップ》の文字が浮かび上がる。どうやらクエストクリアの経験点も結構あったらしい。
「新しいスキルと、10レベルから蓄積されてたスキルポイント手に入ったな……ということは、スキルがとれるということか」
今更になるがこのゲームのスキルはレベルアップで手に入れられるスキルポイントで手に入れられる。《サブ職業》についてはスキルポイントとは別のシステムらしいと聞いたから、《メイン職業》の話になるけどな。
「えっと、とりあえず《ブレイク》っつうのが、基本攻撃スキルで盾を使うなら《シールドバッシュ》っていうやつがあると、盾でぶん殴れるんだな……とらいえずこの2つをとって……あと1個取れるな」
いろいろとある。
《ブレイク》はその名の通り、武器で強打する技、《シールドバッシュ》は盾を使ってぶん殴る技。
その他に《ソルジャー》スキルとしてはソード専用の《スラッシュ》やアックス専用の《竹割り》などがある。
「でもな。メイスだしな……うん? スキルポイント少し多めに使うスキルがあるな。《タフネス》か」
HPの上限が増える常時発動型――つまりパッシブスキルだな。
こんなものまであるのか。知らなかったな。
「よし、これを取るためにスキルポイントはためておこう」
俺はそう決めると、メニューを閉じて――武器屋へと向かってみることにしよう。スズネがまだいるかもしれない。
ご親切なNPCの道案内に従いながら、武器屋へと辿り着いた俺。中にはいろんなプレイヤーがそろっていた。
少しオンラインゲームということをふたりプレイしていて忘れかけていたというくらいだ。
オープンワールドが広いから、意外とフィールドだと人と出会わないのだ。
「おーい、スズネ!」
「ん? あ、終わったの?」
「おう、無事に終わった。そしてレベルも13レベルになった」
「そういえば、結構経験値もらえるわよね……これからどうする?」
「レベル上げとか《サブ職業》なんかに手を出してみたいと思ってるけど、そもそもそろそろ初期装備じゃきついかなって思ってな」
「そう……ねえ、明日もログインする?」
「うん? する予定だぞ」
「じゃあ、明日まで初期装備で頑張るのが吉よ」
「なんでだ?」
「明日イベントが行われてね。初心者向けのイベントで、武器用の素材のドロップ率が上がるのと、武器が入った宝箱がでてくるダンジョンに入れるらしいのよ。だから、明日にそこで素材あつめて、運が良ければ宝箱でゲットよ」
「たしかにそれは願ってもない提案だな……だけど、ダンジョン入ったことねえよ」
「も、もし、夕方からでいいなら、私も付き合うわよ」
「本当か……それならよろしくなんだが」
「ふふっ、だからなんなのよその口調」
「ただ、その物言いだと今日はログアウトか?」
「そろそろ寝ないと明日の部活に遅れちゃうわ」
時間を確認してみると、夜の11時だった。
「……ひとりでやるのもあれだし、俺も寝るかな。明日の夕方のために」
「そ、そうするのがいいわ! ……おやすみなさい」
「おう、おやすみ」
徹夜プレイするつもりだったが、明日に予定ができてしまったなら仕方ないよな。みんなそうするはずだ。俺も今日はログアウトすることにして、メニューを開いた。




