青白く光る女性
信じられなかった。
あの人だけは消えてほしくないと思っていたのに。
窓が一つしかない小さな部屋。窓際のベッドに横たわるその女性は、全身からほのかに青白い光を発している。
僕はたまらず女性に駆け寄った。
燐光に包まれる彼女の美しい白い肌。昨日まで元気だった彼女が突然こんな風になってしまうのは、きっと消えてしまう前兆に違いない。
――なんでこの人なんだよぅ……。
ポロポロと涙が頬を伝う。
彼女とはずっと一緒に過ごしてきた。あの窓から、何度一緒に朝日を眺めてきただろう。
――僕を独りぼっちにしないでよ。
とめどなくこぼれる涙。その滴がポトリと彼女の柔らかな唇に落ちた。
「ホ、ホクト……」
ゆっくりと目を開けたその人は、僕の名前を呼ぶ。
「泣かないで。私はまだ、消えたりしないから」
そんなこと信じられない。だって君は、こんなにも光っているじゃないか。
「ごめんね、ホクト。抱きしめてあげられなくて。もう私、顔しか動かすことができないの」
彼女の体を見ると、手足はすでに硬直してしまっているようだ。
「しばらくしたら、私は、今の私じゃなくなっちゃうけど、この世界にちゃんといるから。絶対、ホクトのこと忘れないから……」
そう言って彼女は静かに目を閉じた。
――ダメだよ、目を閉じないで!
僕の叫びも空しく、彼女の体はピクリとも動かなくなった