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七つの欠片

作者: 瀬川ユウ

はじめまして。

瀬川ユウといいます。


この「七つの欠片」が自分の初投稿になります。

この作品は、大学の講義の課題で書いた初めての小説です。


後半の展開が急でいい加減だとは思いますが、なにとぞお付き合いください。


ではでは。

「おい、ユウ。聞こえるか?おーい」

5年3組の教室。隣の席の光輝に呼ばれた気がしたが、僕は前の方の席に座っている幼なじみの七絵のことで頭がいっぱいだった。

 七絵は友達の真由と話していて、時々くすっと小さく笑っていた。

 可愛いなぁ。

「返事ぐらいしろ!」

 光輝からチョップをもらい、僕の心は無理やりこっちに戻された。

「なんだよコウ。ジャマすんなよ」

 そう言って僕は光輝をにらみ付けた。

「まぁまぁ落ち着けって。気持ちはわかるけど、見てるだけじゃどうにもならないぞ?」

「わかってるよ!」

 そんなのわかってる。わかってる、けど……


「悠斗、来年の四月から転校だ」

 6月のある休みの日。外が雨で遊べないからと、家でゲームをしていたら、珍しく家にいたお父さんが、僕にそう言ってきた。

 嘘だ、と初めは思ったけど、お父さんが嘘つかないのを思い出して、何も聞けなかった。

 それからの生活は楽しくなかった。

 何をしても、考えてえも、転校のことばかり考えて不安だった。

 そして10月になって、運動会が近づいた今でも、僕は親友の光輝にしか転校の話をできないでいた。

 せめて七絵にだけは、変な誤解をする前に僕の口から伝えたかった。僕の大切な、大切な幼なじみだから。

 そうおもってはいるけど、勇気は湧いてこなかった。

はぁ。


 そして運動会の日、僕が恐れていたことが本当になってしまった。

 僕と光輝は、クラスの中で足が速かったので、二人そろってリレーの選手に選ばれていた。

「いつ七絵ちゃんに、転校の話はするんだ?」

 リレー前に僕と光輝は、誰もいない体育館裏で準備体操をしながら話していた。

「……いつでもいいだろ」

「よくはないだろ。七絵ちゃんのこと、好きなんだろ?ならはや」

「うるさい!コウのおせっかいはもう、うんざりだ!」

「だけど、七絵ちゃんにはちゃんと言わないと」

「うるさい!転校も、七絵のことも、どうでもいいよ!あんなヤツ…嫌いだ!」

七絵に転校の話ができないイライラと、コウへの八つ当たりから、僕は大声で叫んだ。

カランカラン。

僕たちが物音のした方を振り向いた。

「な、七絵……」

 今にも泣きそうな顔の七絵と、怒った顔の真由がそこにいた。

「……ユウト君。」

「七絵、違うんだ。僕は」

 僕がそう言いかけたとき、バチン。真由にビンタされた。

「自分ホンマにサイテーやな。最近ナナに冷たいと思うとったら、嫌いってなんや!しかも転校ってどういうことなん?何でそない大事なこと、ナナに話してやらんのや」

そう言って真由は、七絵をつれていってしまった。

「……リレーのバトンを届けに来てくれたんだな。」

光輝は地面に落ちているバトンを拾って言った。

「そっか」


――その日のリレーは最下位だった。

 

「コウ、1つお願いしたいことがあるんだけど」

「いいよ。ユウの頼みなら何でも聞くぜ」

「……いつもありがとう」

 僕はこの日、1つの決意をした。




「行ってきます」

 そう言って私は家を出ました。

「ナナ、おはよーさん。きょうもさむいな~」

 真由ちゃんが迎えに来てくれました。

「おはようマユちゃん。そうだね~」

そう言って私たちは一緒に学校に向かいました。


3月です。まだまだ冬も元気です。

運動会からもうずいぶんと経ちましたが、私はあの日以来、悠斗君と一度もしゃべれずにいます。教室で目が合っても、お互いすぐにそらしてしまいます。

悠斗君とは幼稚園からの幼なじみです。

昔から悠斗君は、私がいじめられたり、恥ずかしくて自分の意見が言えなくて困っていると、いつも私を助けてくれるヒーローでした。

子供ながら、結婚の約束さえした仲なんです。……恥ずかしい。

とにかく!その悠斗君が、あんなひどいことを言うはずないと言うことは、私もわかっているのですが、気まずさもあってどうもうまくいきません。

もうすぐ悠斗君が転校しちゃうのに。どうしよう。

そんなことを考えて日々もやもやしていました。

そして悠斗君と一度も話すことなく、ついに終業式の日になってしまいました。


終業式はすぐに終わってしまいました。いや、すぐに終わったように感じました。

悠斗君のことで頭がいっぱいだったからです。

私は終業式が終わってすぐに悠斗君の姿を探しましたが、見つかりません。

「ナナ、いっしょにかえろうや」

「待って、悠斗君に話したいことが」

「あんなやつほっときーや。ナナ、何て言われたかわすれたんか?」

「でも」

「それに、校内探していないんなら、家に帰ってるかも知れへんやろ?」

「…わかった」

 そう言って私たちは家に帰りました。

 

 家に着きました。

私は自分の部屋に入り、テーブルの上に置かれた手紙に気が付きました。

『お前の宝物はいただいた。返してほしければ5年3組の教室までこい』

私は急いで勉強机の中の宝物入れの中を見ました。その中に入れておいたはずの小さなおもちゃの指輪がなくなっています。

幼稚園のころ、悠斗君から結婚の約束をしたときにもらった、大事な指輪です。今は指に入らなくなったので、大事にしまっていたのです。

それを盗むなんて許せません!

何で5年3組なんだろうと疑問はありましたが、私は手紙の指示通り、学校に向かうことにしました。


そして再び学校です。

みんな帰ってしまったのか、校内には誰もいないようでした。

 私は泥棒が周囲に潜んでいないか警戒しながら、ゆっくりと目的地に向かいました。

「ナナー」

 5年3組の教室間近で不意に後ろから声をかけられました。

「マユちゃん?どうしてここに?」

「いいから、はようこれかぶって」

「わ、わかった」

 白いひらひらの付いた布をかぶせられた私は、教室の後ろのドアから中に入りました。

 

 私は目の前に光景に目を疑いました。

 

 机はなく、きれいに並べられた椅子にクラスメイトたちが座っていました。そして中央には人が2人通れるほどのスペースがありました。

「ほら、いくよ」

「う、うん」

私たちは中央の道を、教壇に向かってゆっくりと歩きました。教壇には光輝君が立っており、そしてその横には――黒いスーツを着た悠斗君がいました。

このセットってまさか。

「悠斗、汝いかなるときも、七絵を愛すると誓うか?」

「はい、誓います」

「七絵」

「はい!」

「汝いかなるときも、悠斗を愛すると誓うか?」

「……はい、誓います」

そう言って私は悠斗君を見た。

「七絵、あの時はごめん。本当は俺、七絵のことが好きなんだ」

「私もごめんなさい。ユウト君があんなこと言う人だってわかってたのに。私も、私も好きだよ」

 そう言って私たちは抱き合って、そして――




 4月なのです。

あれからすぐ、悠斗君は引っ越してしまいました。

私たちは大人になったら、もう一度結婚式をあげる約束をしました。

今は離れ離れで寂しいですが、いつかもう一度再会できる日を夢見て……


最後までお読みいただき、ありがとうございます。 


自分は、「七つの欠片」の完全版と新規作品をこれから書いていけたらと考えています。


これからの執筆に活かしていきたいので、アドバイスや感想等ありましたら、ガンガンお願いします。


それでは失礼します。

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