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天空

 空が、青い。

 どこまで無限に広がる青一色の世界に、俺はただただ見とれていた。


 そこに欲はなく、また感情もなく、情がないのであれば恐れや憂い、憤怒快楽という感情だってない。

「……」

 無限にどこまでも、澄渡る世界で俺は思った。

 俺はもう、死ぬんだなと。

 青い空が俺の元から離れ、重力が俺を拒絶し、地面に吸い込まれるように落下していく。

 どうしてこんな羽目になってしまったのだろうか。

 なにが俺をそうさせたのだろうか。

「見えない。また、あいつのとこには届かないのか」


 天空の遥か先にある城をみながら、俺は手を伸ばす。

 何度も挑んでも、俺の手は彼女に届かない。

 ごめんと百回叫び。




 俺は地上に激突した。

 彼女の笑顔を記憶に残して。

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