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異説・桜前線此処にあり  作者: 祀木楓
第16章 長州へ発つ
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後日談

ある日の午後


郁太郎と私は医療用の物品の整理をしていた。


「そういえば……」


「なんだ?」


郁太郎は手を止める。



「あの民間療法なんだけどね。あれって本当に効果があるものなのかな?河豚の毒にあたった人を埋めたやつ」



「あぁ、あれか。あれはだな……迷信だ」



迷信と言い切る郁太郎に私は驚きを隠せず、ポカンと口を開けたまま何も言えずに立ち尽くす。



「迷信だが、それで生きながらえた人もいることもまた事実だ」



郁太郎は付け加えた。



「じゃああれは私たちの力じゃなくて、ただ単にあの人の運が強かっただけってこと?」



私はその場で脱力する。




「迷信だろうがなんだろが、患者を生かせる望みがあるのであればそれを全力でする。それが私たちの仕事であろう?」



そう言い切る郁太郎はやはり、私にとって最も尊敬できる師だ。



「生かせる最後の望みに賭けて、見事その大博打に勝ったわけだ。私たちってもしかしたら相当な強運の持ち主かもしれないね」



「医者が常日頃からそんな大博打に賭けてばかりでは、患者も困るけれどもな」



「確かに。確実な方法で助けられるように精進しよーっと」




「そうしてくれ」




郁太郎は小さく笑うとまた、黙々と手を動かす。



「これからもよろしくお願いしますね。郁太郎大先生!」



「大は要らん。口ばかりでなく手を動かせ」



照れたような表情の郁太郎に、今度は私が小さく笑う。



それにしても……



あの民間療法がただの迷信だったとは……



でも



あの人が助かったことは紛れもない事実。




結果良ければ全て良し!




ということにしておこう。



民間療法は全てを間に受けてはいけないということを学んだ一日だった。





河豚毒にあたったら首から下を埋める。

そんな民間療法が昔はあったようです。

民間療法療法はそれで生き抜いた人が居たらから伝わっていくのもかと思いますが、この民間療法は現在では効果なしとされていますので、このような事態に陥っても皆さまは真似せず医療機関に速やかに受診して下さいね。

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