1 愛を叫ぶ~彼と少女の日常~
短編書きが中編に挑戦したら、連続した短編めいたものができました ←
注・書き方独特?です!
合わない! っと思われたら逃げてー!超逃げてー!!無理はダメよー!!
国が有する巨大魔法学院。
都市の一つとも数えられるその魔法学院にある図書室は、目的や用途によっていくつか存在しており、その中の一つの軽読書コーナーは声を抑えた談笑や紙をめくる音が響き、緩やかな時間が流れていた。
落ち着いた雰囲気の中を、彼も楽しんでいた。
ゆったりした一人がけのソファに座って本を読んでいると、目の前に少女が立ち、叫んだ。
「大好きなんです!!」
「え?・・・はい。」
「本当に大好きなんです!!愛しちゃってるんです。」
「あ、そうなんですか。」
突然目の前で自分に向かって愛を叫ぶ少女をしみじみと眺める。
「大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大好きなんです!!」
「”大”が20個もですか。すごいですね。しかも、ノンブレス。」
肺活量がある子だなぁ と思っていると、視界の隅で そういう問題じゃないだろ!! といった顔が見えたが、目の前で起こっていることが止まるようなことではない。
「で、何がそんなに好きなんですか?」
ぽかん とした顔の野次馬達を視界の隅に入れつつ尋ねる。
「もちろん貴方さまのことですぅぅぅぅぅ!!!」
そのまま両手を広げて抱きつこうとする少女の顔面(主に額)を手を伸ばして止める。
腕の長さ(リーチ)の違いでぱたぱた と少女の腕が宙をかく。
「あ、私のことだったんですね。」
「そうなんですぅぅぅ!!」
なんでしたらちゅーしませんかー!! とか聞こえたがスルーしておく。
「そうなんですかー。」
「そうなんですー!!」
「でも、もうちょっと待って欲しかったですねぇ。」
「えー、なんでですかぁ?」
「もう少しでこの本を読み終えるところだったんですよぉ。」
そういう問題じゃないだろぉ!(本日二回目) とか外野(野次馬達)から聞こえたが、目の前の少女はぱたぱた動かしていた腕を ぴたり と動きを止めた。
「えっ、そ、そうだったんですか・・・!!」
「うん。そうなんだよねぇ。」
「すみません。つい、愛を留めることができなくて・・・」
「そうだったんだねぇ。決壊しちゃったんだぁ。」
「そう。そうなんですよぉー。じゃ、あと15分くらい待てば読み終えますか?」
「そうだね。そのぐらいで読み終えると思うよ。」
「じゃ、私このまま待ってますねー。」
「うん。ちょっと待っててねー。」
そして本を読み始めた。
片手で少女の顔面を支えた状態のまま。
せめて、普通の体勢に戻ってから待てぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
今日も賑やかで穏やかな彼と彼女の日々は過ぎていく。
主人公 → 少女
少女が愛を叫ぶ人 → 青年