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ひねくれものの優しさ

作者: 高原 夕晞
掲載日:2012/03/24

若干男がチャラいかと思います。


 どうしてこんなことになったのか、青年ラテは分からなかった。ラテは今の状況を整理した。

 今ラテは桜の木の下で、女性にチョコをもらっている。青年はきっかけとなりそうな事を思い出そうとした。



 それは、二週間前に遡る。

「付き合ってくれませんか?」

 ラテは快く了承した。彼は女性の頼みを断らないことで有名だ。それを快く思わないものはチャラいなどと言うものもいた。しかしラテの顔は整っている部類にはいるので仕方ないとあきらめるものもいた。


 彼女とラテは喫茶店に入り話を始めた。

「君の好きな人はいったい誰なんだい?」

 そういうと、彼女は驚いた顔をした。


「だって、俺と恋愛したいって顔じゃなかったでしょ? もうじき乙女たちの大活躍する日バレンタインじゃないか。それで、俺に相談に来たんじゃないのかな?」

 彼女はうつむいてしまった。

 ラテは心の中で舌打ちをした。この人は自分と恋愛するために付き合ってくれ、と言ったということだったのだろうか、と一人で考え始めた。


「……あの、チョコを渡したい人がいるんです」

 一人で考えていたラテはその声を危うくスルーしてしまうところだった。心の中でひとしきり慌ててからラテは彼女の言葉を拾った。


「いったい誰に渡したいんだい? 場所とかシチュエーションとか俺が手伝えることはなるべく手伝いたいからさー」

 彼女はラテの言葉に安心したようだった。

「相手は言えないんですけど、それでもいいですか?」

 ラテはもちろんいい。と了承の言葉を言った。


 そして二人はその日の計画を立て始めた。

「どんなチョコを作るつもりなの?」

「どんなものが喜ばれるでしょうか?」


 彼女は毎回ラテに尋ねた。ラテはそれに自分や友人の意見を交えて答えた。

「えっと……渡したい人について調べたりしていないのかな? その人にあったものがあるんじゃないの?」

 彼女はそう聞かれると、恥ずかしげに笑いそして言った。

「その時に驚かしたいですし、それに周りに聞いてもその人の事知っている人いないですし」


 ラテは自分が知っている人物で当てはまりそうな人物を考えてみたが出てこなかった。

「それは俺が知っている人なのかな?」

 彼女はそれを肯定した。


「そうですよ、とてもよく知っている方です」


 ラテには難しいなぞなぞのようだった。

 どれだけ尋ねてもその人物の名前を聞き出すことはできなかった。

 ラテは絶対に探してやるという謎の使命感を持った。



「そういえば、ラテくんって……いつもこんな風に相談を受けているんですか?」

 毎日会って相談を受けていたから不思議に思ったのだろう、彼女はラテに尋ねた。

「あー、まあそんな時もあるかな。俺と付き合いたいって子の中には好きな人にやきもち焼いてほしいって言う理由で付き合おうとする子もいるけど」


 そういうと、彼女はおかしそうに笑った。

「俺なんか変な事言ったかな?」

「いえ、ただタラシとか言われているわりにいい人なんだなと思っただけです。こんなこと誰にでも言ってるんですか?」


 そう聞かれてラテは自分の気持ちに気が付いた。こんな事だれにも話したことはなかった。

「いや、誰にでもってわけじゃないよ。君だから、かな?」

 その言い方に女性は声をあげて笑った。


「そんなこと言ってるから、タラシなんて言われちゃうんですよ。ラテくんは好きな人いないんですか?」

 好きな人と言われて、ラテは心が苦しくなった。ここで言ったら彼女は困ってしまう、そう思ったラテはおどけた口調でこう言った。

「きみだよ、なんていったらどうするんだい? 俺は見事に振られちゃうでしょ?」

 彼女は意味深な笑みを浮かべただけで何も答えなかった。



 その日が近づくにつれて、ラテもなぜか緊張していた。本当は応援しないといけないはずなのに、彼女の恋が結ばれないことを切に願っている自分がいた。

 そして、二人の相談会と言う名のお茶会ができなくなるのもさみしかった。


「いよいよ、明日だね。まあ、がんばれ。あとは自分を信じるのみだからさ」

 ラテはそう言いながらも自分の中に渦巻く黒い感情に自己嫌悪しているようだった。

「ありがとうございます」

 そういった彼女の笑顔さえラテに罪悪感を与えていた。


 そして、当日。ラテはいつも通りたくさんのチョコをもらった。笑顔で受け取りながらも内心ちっともありがたくはなかった。

 下駄箱に入っていた手紙を確認する。ただのラブレターばかりの中のひとつ。放課後に桜の木の下に来てください。と書かれていたものだった。それだけが書かれた手紙にラテは興味をひかれた。


 放課後、手紙の相手もさることながら、彼女のことが気になった。彼女はいったいどんな人物にチョコを渡すのだろう。きっと告白もするのだろう。そんなことを考えながら掃除をしていたせいでラテは集めたはずのゴミを散らしていた。


 掃除を終えラテは桜の木の下へ向かった。

 そこにいたのは、彼女だった。

「あれ、まだ相手来てないみたいだね。寒くない?」

 ラテの鼓動は高まったが、期待をしてはいけないと必死に抑え込んだ。


「いえ、今来ました。ドキドキしていてむしろ熱いくらいです」


 自然に緩みそうになる頬を引き締めて、聞いた。

「それは俺が……渡したい相手ってことでいいのかな?」

 彼女は小さくうなずきそしてラテへの行動を起こした。

「あの……チョコ受け取ってください。それと、ラテくんのことが好きです。よかったら付き合ってもらえますか?」


 ラテはこれが夢じゃないことを彼女には見えないように確かめてそして答えた。

「こちらこそ、喜んで。これからは軽いこと言わないように少しだけ気を付けるね」

 彼女の顔は明るくなり、感激のあまり泣き出しそうになっていた。


「こ、これって……夢じゃないんですよね?」

 そんな姿がいとおしく感じたラテは彼女を抱きしめた。


読んでいただきありがとうございます。

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