小学2年生。
転校生が来た。
何処からか忘れたけど、少し大柄な女の子。
この女の子の登場が、更に俺を狂わせたのかもしれない。
俺のクラスで、相次いで物がなくなった。
当時は珍しい、ローラー型の水糊。カラーペン。
色々無くなった。俺もその被害者の1人。
俺はたまごっちのくちぱっちが大好きだった。
くちぱっち色のピンを、いつもお守りとして
身に着けていたのだ。
後で付け直そうと、ピンを自分の机の上に置き、
トイレに行った。そして帰って来た時、自分の目を疑った。
ピンが、なかった。
俺は慌てた。友達と一緒に探した。
机の下、机の中、物置の下。
何処にもない、ないないない。
その日は見付からなかった。
そして翌日。
いつも通り教室に入る。
転校生がおはよーって寄ってくる。
俺は再び自分の目を疑った。
転校生の髪に、俺の、ピン。
俺は慌てて、「それ何処で買ったん?」って聞く。
「えー、お母さんが買ってきたから解らへんー。」だとさ。
そして、案の定、転校生のとこから色々出てきた。
まず、糊。
名前のとこにシールを貼って、持ってた。
カラーペン。筆箱の中にあった。
糊だけは持ち主の名前が書いてあったから、
返してくれたけど。後は返してくれなかった。
勿論、俺のピンも。
俺はこれ以来、転校生が嫌いになった。