1/5
0-1
ぼくは、自分がいつどこで生まれたのか覚えていない。
気がついたら、そこにいた。
影の中に溶け込み、静かに存在している小さな影。
ある日、ぼくは公園で、陽だまりにいる一人のおじいさんを見つけた。
おじいさんは、静かに日向ぼっこをしていた。
ぼくは茂みの影に隠れて、ぼんやりとそれを眺めていた。
すると、なぜかおじいさんがぼくに気づいた。
「おや、こんなところに小さな仔猫がいたか。」
ぼくには、言葉の意味はよく分からなかったけれど、柔らかい声と、優しい眼差しがぼくを包んだ。
驚いてぼくは逃げたけれど、なんとなく気になって、次の日もまた、そこに行くことにした。
それから不思議な関係ができた。
ぼくがそばにいると、なぜだか必ずおじいさんは気づき、話しかけてくれるのだ。
とはいえ、ほとんどは一方的な独り言のような内容で、ぼくにはよく分からないことも多かった。
それでも、なぜだか心地よかった。




