たっくんの「朝起きたら金色のう◯こになっていた話」をパパが書いてみた
朝、目を覚ました瞬間、全身に違和感を覚えた。
視界も低く、ぬめりとした感触。手も足も動かない。
どうゆうことだ?形が…変わっている。
「……え?」
布団の上はぐちゃぐちゃだった。
金色に広がる世界、そしてこのニオイ。
昨夜は確かに人間として眠ったはずなのに、
今、私はーー金色のう◯こになっていた。
混乱していると、寝室のドアが開いた。
数年前から別部屋で寝ている妻。
もう見慣れた冷たい無表情な顔が、一瞬で崩れた。
「くさっ!!なにこれ!?きゃあー!!パパ!パパどこなの!?」
大きな叫び声と共に、顔をゆがめた妻が廊下を走っていく。
布団の上を転がって、廊下に出た。
自分を呼ぶ妻の声を聞くのは、何年振りだろう。
そういえば感情的な顔を見たのも久しぶりだ。
不謹慎だが、懐かしさが込み上げた。
妻の叫び声に思わず支えになりたいと思ったが、この姿のまま追いかけるわけにはいかない。
ーートイレに行こう。
今はとにかく、流さなくては。
這うように廊下を進みながら、ふと、胸が熱くなっていることに気づいた。
いつからか無表情で返事もしない妻に、こちらも話すことさえ諦めてしまっていたが、今なら話せる気がする。
すっかり忘れていた、妻との思い出が走馬灯のように浮かんでくる。
どれぐらい時が経ったかわからない中、
謎の使命感でなんとかトイレまで辿り着いた。
迷いなく、勢いをつけて頭から便器へ突っ込む。
だが――
「……うっ…?!」
角度が悪かったのか、便器に頭がつっかえて動けない。
あと少し、あと少しで水面に届くのに。
もがいても、ズリズリと目の前の陶器に色がついていくだけだった。
万事休すーー
諦めかけたその時、背後から声がした。
「え……なんだよ、これ」
息子の声だった。
反抗期真っ只中の中学生の息子は、妻とも俺ともほとんど会話もない。
久しぶりに聞いたその声は、少し大人びていた。
頭を便器に突っ込んだまま、助けを求めようとしたが、声も出ない。
(くそっ……手も口もないから何もできない…!
普段の自分はちゃんと口があるのにどうしてもっと息子と話さないんだよ、
う◯こだって皆トイレまで辿り着けるのに!
普段の俺なんて、もうう◯こ以下じゃないか…!)
もはや何を言っているのか自分でもわからなかったが、後悔と不甲斐なさが押し寄せてくる。
泣きそうになったその瞬間、
身体がぐるりと反転した。
そこには、掃除用具の棒らしきものを手にした息子が便器を覗き込んでいた。
「……こんなの、あいつが掃除できるわけないだろ……俺だって、なんでこんなこと……くそっ……」
息子の掃除用具が腹に食い込み、ポシャン!と大きな音がした。
(お前……大きくなったな……)
息子の成長と優しさに金色のう◯こが涙するのと同時に
「カチッ」と音がして、上から水が流れてきた。
渦に巻かれながら、思った。
もう一度、元の身体に戻れたら――。
このう◯こが流れたら、
きっと、新しい明日が来る。金色に光り輝く未来が。
身体がどんどん軽くなる。
視界が溶けていく。
音もニオイも消え、漂いながら、ただ静かに思った。
――う◯こになれて、よかった。




