光の中の天使
滝田元気:愛ちゃんのアップからのスプーン!
須藤真由:さゆり、わたし死ぬから!
梶さゆり:早く戻ってきて
竹内淳 :確かにこれだれかに言いたくなるわ
葉山一志:訴訟する。民事の法廷で会おう。
梶さゆり:死刑
竹内淳 :分かりましたごめんなさい
梶さゆり:でも死刑!
竹内淳 :なんかおれ謝ってばっかり
須藤真由:さゆり、抱いて!
川上真弓:さゆり、あーんてして!
梶さゆり:1人増えた?
川上真弓:あーんてして!
リムジンは愛内さんと僕を乗せて走り出した。
「これからどこ行くんですか? 古川さん帰っちゃってやっぱり2人だしいろいろと」
「そこはわたしに任せて!」
「ん?」
「発表、ジャーン、遊園地!」
「いや一番マズいとこ!」
「ナイトプランだからヘイキ、ね」
「でもさすがに」
「弟ってことで」
やっぱりこの人自覚ってものが。
「ヤバイィ、なんか超楽しい!」
「楽しそうですもんね」
「うん、葉山くんも笑顔いっぱいだね」
「え、そうですか?」
「うん!」
「うん、楽しいです。でもお金使いすぎたんじゃ」
「なんか、ファンが推しのグッズ買い込む気持ち分かるわあ。存在するもの全部買いたくなる、用途用に全部」
「そうなんですか」
「葉山くん、今ならなんでも買ってあげるよ」
「……いらないです」
「なんでよー」
さっきの愛内さんが遠く遠く、でもこれは僕だけの愛内さん。うん、そう。そう。
◇◇◇
東京都
某遊園地ーー
家族で行った伊豆のシャボテン公園ですら記憶が曖昧で、頭の中ではこんなとこ初めて来たと言っている。
「行こ」
帽子かぶってサングラスかけて、夕方から夜になろうとしてるけどオーラはキラキラを増している。
「気づく人が50人から5人に減るし、どうやっても気づかれるときは気づかれるし!」
その理論は合ってるんだろうか、顔赤らめて笑うこの人、シャンパン飲みすぎ!
「あはは、何もしてないのにもう楽しい!」
「僕と一緒にいるからですか?」
「そうだよお」
ちょっとからかってやろうかと思ってこっが照れる。
「ねえなに乗る?」
「なにがいいですかね」
「えっとねえ、観覧車とジェットコースター、それにお化け屋敷とフリーフォールにカップ回るやつ、それに」
「ナイトプランなんでそんな時間ないんじゃ」
「あはは」
「それに酔ってるから体調悪くなっちゃいますよ」
「そうかも!」
愛内さんがくるっと回る。酔ってふらつき、咄嗟に彼女の手を取り引き寄せる。
ちょっと抱き寄せる感じ。あれだよねあれ、よくある、よくある、コレ!
「あはは葉山くん大胆! 行こ」
「はい……」
童貞だって分かる、時間の中で全てがそういう方向に走ってる気がする。
ジェットコースターに並び始めたころはもう夜、でも後ろのカップルに気づかれた。小声で「親戚が遊びに来てて」「応援してます」「ありがとうございます」、写真1回と握手でそのまま並んだ。
……弟じゃなかったっけ?
初めて乗るジェットコースターは少しビビったけど、隣りにいる愛内さんのマネして声とか出してみた。楽しい、けっこう、かなり楽しい。こんなに楽しいんだって、また来たいって。
「気持ちわるいかも……」
「でしょうね」
人目のつかないところに愛内さんを座らせ、僕が泣いたとき愛内さんがそうしてくれたように、彼女の背中をさすってみる。
こんな感じかな、ぎこちないかな、でもあのときはしてくれてるだけで安心さが伝わってきた。
「ああもっと乗りたい!」
「じゃああれは?」
見上げる先にある観覧車。
「うん、行こ」
なんかバレてもいいやって、逆にそっちの方が都合いいんじゃないかって、後々怒られてもいいやって、このままどうなってもいいやって、雰囲気に飲まれて愛内さんの手をそっと握って並んで向かう。
さすがに乗り込む直前は明るくて係員さんにバレそう、手を離してたけどやっぱりバレた。
「いいですか?」
「あ、はいどうぞ」
空間の中で隣り合う。
ゆっくり上昇していくゴンドラ、愛内さんは体を僕に預け頭を僕の肩に乗せている。
「1周したら帰りましょ」
「え、もう?」
「また来ましょうね、お酒飲まないで」
「うん」
地上の赤とか黄色とか白のライトが点滅してたり動いてたり、夜で遠い景色は分からないけど東京のたくさんの明かりが、海と空に反射してさらに眩しく光ってる。
それ以上なにか話してもないけど、愛内さんの手をポンってしたら握ってきたのでそのままにしておいた。
永遠ーー。
口に出すのも恥ずかしくなるような、そんな時間軸をずっと語ってしまいたくなる。




